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[クラブユース選手権(U-15)]感謝、喜び表現し、「心一つ」に戦ったFC東京U-15むさしが初の日本一

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FC東京U-15むさしが初の日本一に

[8.24 日本クラブユース選手権(U-15)大会決勝 FC東京U-15むさし 0-0(PK5-4)鳥栖U-15 帯広の森陸上競技場]

 第36回日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会は24日、北海道・帯広の森陸上競技場にて決勝を開催。FC東京U-15むさし(関東2、東京)がサガン鳥栖U-15(九州4、佐賀)を0-0からのPK戦の末に破り、初優勝を飾った。

 あいにくの雨模様となった帯広の森陸上競技場の気温は19.5℃。真夏とは思えない肌寒さを感じさせる中での戦いとなったが、選手たちは連戦の疲労を感じさせないアグレッシブなプレーを最後まで見せ続け、決勝戦にふさわしい熱い戦いとなった。

 立ち上がりに試合の主導権を握っていたのはFC東京U-15むさし。MF佐藤龍之介(3年)、立花圭吾(3年)の両ボランチを軸にボールを動かしながらプレッシャーをはがしてボールを運び、敵陣へと相手を押し込んでいく。MF菅原悠太(2年)、FW山口太陽(3年)らが積極的にシュートも狙い、鳥栖U-15のゴールを脅かした。

 ただ、我慢の展開になって強さを発揮できるのは鳥栖アカデミーの伝統でもある。「一つになって戦うサガン魂を試合を通してしっかり見せてくれた」と森惠佑監督が胸を張ったとおり、主将のDF大場章太郎(3年)を中心に粘り強くFC東京U-15むさしの攻勢をしのぐ。38分にこの日も絶好調だったFC東京U-15むさしのMF川村陸空(3年)にドリブルからの決定的なシュートを放たれたが、ここもDF古舘宗也(3年)がしっかりとゴールカバーに入り、難を逃れた。

 ハーフタイムでビルドアップでのボールの引き出し方などを修正した鳥栖も盛り返し、MF池末徹平(3年)が巧みに中盤でボールを受けるなど、「試合の中で修正していく」(森監督)部分での強みを発揮。互角の展開へと持ち込んでいった。相手を押し込む時間帯も出てくると、ロングスローを含めたセットプレーでの高さ勝負で優位を占める鳥栖のストロングポイントがより強調される流れにもなっていった。

 だが、FC東京U-15むさしは肉弾戦でも負けていないところをしっかり発揮。DF増田遥希(3年)、沼田青瑳(3年)らDF陣が体を張り続け、危ない時間帯でも声を掛け合って支え続ける。試合を見守っていた北慎監督が「個人としてもチームとしても、戦いながら成長し続けられたし、本当に逞しくなってくれた」と感服するパフォーマンスを披露。いざ自分たちの時間帯となれば、果敢にゴールを狙い続けた。

 いつどちらに点が入ってもおかしくない展開のまま、試合は前後半80分、そして延長20分を戦い抜いたが、最後までゴールは生まれず。決着はPK戦へと委ねられることとなった。

 FC東京U-15むさしにとっては準決勝に続くPK戦となったが、再び全キッカーがゴールへボールを蹴り込んでいく。そして迎えた鳥栖の5番手を、「PKは得意なので」と自ら語るGK小林脩晃(3年)が、足1本を残して当てる見事なセービングで阻止。PKスコア5-4でFC東京U-15むさしが勝ち切り、初優勝を決めた。

 FC東京U-15むさしにとって、これは初の全国タイトル。「クラブユースでも高円宮杯でも準優勝が最高だった」(北監督)チームにとって、大きな栄冠だった。兄弟チームであるFC東京U-15深川は全国タイトルを手にした経験があるだけに、「より良い競い合いができる」(北監督)相乗効果にも期待が集まる結果だった。

 試合後、あらためて優勝の要因を問われた北監督は「まず何より『この状況で大会を開催していただけることに感謝して、サッカーできる喜びを十分に発揮して心一つに戦おう』という話をしてきた中で、その言葉どおりにやって、本当に成長し続けてくれたことが大きい」と語り、「重みのある優勝」を噛みしめた。

 惜しくも準優勝となった鳥栖の森監督は「選手たちは持っているモノを出し切ってくれました」とその健闘を称えた上で「PK戦はどっちが勝ってもおかしくないもの。そこに行く前の時間で、最後のところのクオリティが足りなかった」と総括。そして「ファイナルでPKの末に負けるなんて一番悔しいこと。その悔しさを胸に刻んで、足りない部分をしっかり磨いていきたい」と、さらなる成長を誓った。

 15日に始まった日本クラブユース選手権(U-15)大会は24日、無事に閉幕。大会MVPは優勝したFC東京U-15むさしのGK小林が、同MIPは鳥栖U-15のFW山崎遥稀が獲得した。また大会得点王は8ゴールで鳥栖の山崎とFC多摩ジュニアユース(関東6、東京)のFW増田陽太、大会フェアプレー賞は名古屋グランパスU-15(東海5、愛知)と東京ヴェルディジュニアユース(関東9、東京)が受賞することとなった。

(取材・文 川端暁彦)

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