JFA U-15タウンクラブ・中体連トレーニングキャンプにおいて16日に実施された鹿島アントラーズジュニアユースとの練習試合。U-15日本代表へのステップアップを目指す選手たちの戦いの場だったが、30分3本の形式で行われた試合の1本目は0-3の完敗だった。

「1本目の結果は自分の責任もあったと思う」

　そう振り返ったのはセントラルMFの位置で先発していた伊藤喬崇(HONDA FC U-15)だ。

「あまりボールを動かせていなかったし、守備も前と後ろで間延びしてしまって内容も良くなかった」

　ただ、1本目と2本目の間で「ボランチとDFの間に10番が落ちてくるのをどう観るかといったことを話し合って決められた」とも言うように、後半はバランスも改善。普段からプレーしている右MFに移る中で攻撃に比重も傾けると、「相手DFが縦を警戒していたので」というカットインからの左足シュートを突き刺し、反撃の糸口をこじ開けてみせた。

「ペナルティーエリアのところでは自分から勝負しないと相手も怖がらないので、どんどん勝負していくことは決めていた。左足も他の人よりは蹴れる自信があるので思い切っていったし、イメージ通りだった」

　さらにCKからも追加点を奪って2得点をマーク。1本目の内容が悪すぎたこと、結果として敗れてしまったので納得はいっていない様子だったが、それでも木村康彦監督が「あの得点から流れが変わった」と振り返ったとおり、試合を動かすプレーを見せたのは間違いない。

　この試合では非常に攻撃的なプレーを見せていたが、目標としている選手は少々意外なことに「日本代表の試合を観ていて好きになった」というMF遠藤航(シュトゥットガルト)。「視野が広くて判断力もあるし、ディフェンスでもチームに貢献する」ところを参考にしていると言う。

　遠藤も小学校時代は無名選手だったが、伊藤も「小学校のころはホントにそんな上手くなかったし、トレセンでも下のほうだった。自分は中学に入ってから伸びた選手だと思う」と話す。名門HONDA FC U-15に入ってから徐々に力を付けてこの合宿に招集された成長株だ。ただ、「ここで満足はしていないし、このまま勢いを持って伸びていって自分よりレベルの高かった選手たちに怖がられるような選手になりたい」と意気込む。

　この合宿では自分の課題もあらためて認識しつつ、「よりレベルの高いところへ挑戦していきたいし、チームのみんなを引っ張ってもっと強い組織を作っていけるようになりたい」という気持ちを新たにした。サッカー王国・静岡の成長株は、「もっと上を目指していく」ことを誓っている。

(取材・文　川端暁彦)