beacon

名門・帝京高が中高一貫6か年計画でアスリート育成に着手。日比監督が中学監督を兼任

このエントリーをはてなブックマークに追加

名門・帝京高の日比威監督が今年4月から帝京中監督を兼任(写真協力=高校サッカー年鑑)

 名門校が新しいチャレンジをスタートする。帝京高(東京)の日比威監督が、今年4月から系列の帝京中サッカー部の監督、部長も兼任。ヘッドコーチを片山桂一コーチが務めるほか、帝京高サッカー部のスタッフが中学生の育成をよりサポートする。

 帝京高は、戦後最多タイの全国高校選手権優勝6回。また、インターハイも3度の全国制覇を果たしている。02、06年ワールドカップ日本代表メンバーのDF中田浩二氏(元鹿島)ら多くの日本代表選手を輩出。昨年はインターハイで全国2位となり、プリンスリーグ関東1部でも2位に入った。昨年の3年生では左SB入江羚介(現順天堂大)がU-18日本代表、CB大田知輝(現中央大)が日本高校選抜にそれぞれ選出され、今年の高校3年生もCB梅木怜とFW横山夢樹(U-18日本代表候補)がJ3のFC今治内定をすでに決めている。

 帝京中は現在、特進クラスが1クラスで、進学クラスが2クラス。24年度から進学クラスが3クラスとなる(特進クラスは1クラスのまま)。英語教育も重視する学校で勉強面はもちろん、スポーツの面での選択肢も増やし、色々な社会、場面で活躍する人間を育成したいということが狙いにあるようだ。その一環として、日比監督をはじめとした高校サッカー部のスタッフが、中学生の指導に参加。中高一貫6か年計画で選手を育成することになった。中学では結果よりも、サッカーが上手くなる、サッカーがより楽しくなることを重視。日比監督は「中学校は技術を取得すること。まずはサッカーを楽しむ、自分が上手くなる、学校に来るのが楽しくなるような環境を作ろうと考えています」と語る。

 中学生は普段のトレーニングに加え、週1日は高校のトレーニングに参加して学ぶプランもあるという。日比監督は「高校のアスリートコースと一緒にトレーニングや試合も出来るということも魅力の一つとして考えています」と説明する。帝京高のアスリートコースに通う生徒は質の高いトレーニングに加え、総合的な探究の時間などの授業において、栄養学やトレーニング理論などのスポーツ選⼿として必要な知識を習得中。中学生は彼らのピッチ内外の取り組みを見て、またプレー・判断スピードの速さや強さを体感して学ぶことができる。普段は授業が終わってすぐにトレーニングして17時~18時には下校。また、朝練のみの日を設定するなど、練習開始時間の遅いクラブチームに比べ、多感な中学生が時間を有効活用できるメリットもありそうだ。

 帝京中入学者はサッカー部に入部可能。日比監督は「あらゆる仲間とやっても楽しくサッカーできる選手、文武両道の選手を育成したい。預かった3年間恥ずかしくないような子供の成長をさせて送り出したい」と一人でもサッカーを楽しむ選手、人間的に成熟した中学生が増えることを期待する。一方で日常から可能性を示した選手は、高校リーグ戦の出場機会を得るチャンスも。帝京中高のOBにはGK大久保択生(現清水)がいるが、中高一貫指導で育ったアスリートが外部から帝京高へ入学してきた選手とともに、活躍する可能性も大いにありそうだ。

 帝京中の学校説明会は、5月20日、6月17日、7月1日、9月16日、10月14日、11月18日、12月9日、24年1月13日に実施される予定。将来のために貴重な中学3年間からサッカーの楽しさを教育(共育)し、将来、より上のステージで活躍するサッカープレーヤー、また社会で活躍する人間を輩出する。

TOP