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[国体少年男子]チーム盛り上げたMF森田将光が決勝点!明るく、粘っこく、全員で戦った大阪府が3位に

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後半13分、MF森田将光(ガンバ大阪ユース、1年)が決勝点。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[10.6 国体少年男子3位決定戦 北海道 1-2 大阪府 真岡市総合運動公園 陸上競技場]

 大阪府が国体最終戦を白星で終えた。前半13分にセットプレーから失点。優勝した神奈川県との準決勝では、攻守両面で優位に試合を進めていた前半に得点ができず、1チャンスを決められてリズムを崩して敗れている。冷たい雨もあってまた不安がよぎったが、坂元博晃監督(摂津高)が「先制されて、逆転したことは本当に成長を感じました」と評価する戦いで逆転勝ちを収めた。

 準決勝でともに存在感を放ったゲーム主将MF長田叶羽(ガンバ大阪ユース、1年)とMF福本一太(阪南大高、1年)のダブルボランチが、この日も攻守でチームを牽引。そして、2列目の選手たちがフレキシブルにポジションを入れ替え、相手に揺さぶりを掛ける。

 前半24分には、右サイドから左へ移動していたMF藤井龍也(セレッソ大阪U-18、1年)の鋭い左足クロスが相手DFのクリアミスを誘う。最後は、ポストの跳ね返りをFW東潤之介(興國高、1年)がゴールへ押し込み、同点に追いついた。

 そしてDFの好守もあって1-1のまま迎えた後半13分には、福本、藤井と繋ぎ、負傷の影響でベンチスタートだった大黒柱・左SB西川宙希主将(セレッソ大阪U-18、1年)がクロス。ゴールエリアにこぼれたボールに反応したMF森田将光(ガンバ大阪ユース、1年)が、必死に右足を伸ばしてゴールへ押し込んだ。

 森田は「良いテンポで動かせていたので、『最後来るかな』と思って。相手いたんですけれども、『走り勝ってやろう』と思って、そうしたらGKこぼしてくれて、僕が良い感じに決めました」と歓喜の瞬間について振り返る。

 流れの良い展開の中、森田は「欲を言えば自分が勝たせたい」と得点を狙っていたという。同時にピッチで良く発していた声。「声だけでも、と言ったらおかしいですけれども、目立ちたいので(微笑)。それでチームの雰囲気も上がればそれで良い」。チームを盛り上げていたMFが、「ラストパスや点に絡むことが課題だった」という課題も一つ改善するゴールで大阪を勝たせた。

 坂元監督はDF初瀬亮(現神戸)らを擁して準優勝した13年大会以来の指揮。10年大会でエースを務めたFW南野拓実(現モナコ)のような特別なタレントは、現時点でいないかもしれない。だが、「ここまで粘っこく粘っこくやってきた」という坂元監督が讃えたのはチームの雰囲気の良さ。「今年くらい、こんな声が出ているのは僕がやっている中でなかった。今年は元気、元気。でも、抑えるところは抑えようとしているし」。試合前、先発イレブンは、指揮官が書した「挑戦せよ自分の壁に」「繋」「夢つなぎ 完全粘勝 大阪魂」「いちご一会」「集中力が勝負の神様」という色紙とともに集合写真。最終戦は全16人が出場し、粘り勝って明るい雰囲気のまま大会を終えた。

 森田も「最初集まった時はユース組と高体連組で最初はちょっと分かれていた。でも、徐々にみんなで『この栃木で優勝する』と目標を掲げて一体感を持ってやれていたので。めちゃくちゃコーチともフレンドリーというか喋れますし、ホンマに雰囲気が良かった」と認めた「チーム大阪」の雰囲気。明るく、粘っこく戦った大阪の選手たちは、全国3位という結果を自信に、次のステージへ向かう。

 坂元監督は「プロになるのは逆に当然というか、上に上がるとも限らないし、紆余曲折もしながら必ず活躍してくれると思っているし、僕はただのサポーターになります」とエール。また、森田は「解散しちゃうんで、そこら辺は悲しいところでもありながら、ライバルなので会った時には絶対に負けないぞ、と。あとは今の自分よりも成長したところをコーチ陣やチームメートに見せたいですね」と誓った。全16人が先発し、4試合を戦った経験も糧にまた仲間たちと切磋琢磨。そして成長を続け、それぞれの目標を達成する。



(取材・文 吉田太郎)
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