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23年ぶりV国士舘大、主将GK飯田雅浩がビッグセーブに魂の咆哮!「優勝出来なかったら僕の責任だと思っていた」

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終盤のビッグセーブに吼えたGK飯田雅浩

[9.4 総理大臣杯決勝 国士舘大2-1大阪学院大 西が丘]

 気持ちは痛いほど分かった。試合終了の笛が鳴ると、国士舘大のGK飯田雅浩(4年=青森山田高)は整列に加わる前に、うつ伏せになって悔しがるGK梅田陸空(4年=大阪学院大高)にもとに駆け寄った。「今大会あれだけ止めていた梅田選手がファンブルしてしまったことは、サッカーの神様は残酷だなと思いました」。

 結末は意外だったが、試合自体は緊迫感のある好ゲームだった。後半39分には裏に抜け出されたMF四宮悠成(2年=徳島ユース)と1対1となる場面があったが、落ち着いて前に出て対応。貫禄のセーブを見せると、チームを盛り立てるような雄たけびを上げた。

「正直1点取って、相手に返されてからは、ほとんど相手のペースだった。その中でも流れを持っていかれずに、集中力を切らさずに止められたので、喜びは大きかったです」

 飯田自身、今大会には強い思いを持って臨んでいた。飯田は今大会関東予選となるアミノバイタルカップ決勝で前半17分に負傷交代。代わって出場したGK市橋知弥(4年=町田ユース)がPK戦で大活躍をみせたことで、関東王者として本戦に進むことが出来ていた。

「関東を獲ったからには総理大臣杯を優勝しないと意味がない」とチームメイトを鼓舞してきたという飯田は、「これで優勝出来なかったらキャプテンである僕の責任だと思っていた。仲間に感謝しながら、自分にプレッシャーを掛けながらやれたのかなと思います」」と達成感に浸った。

 国士舘大としては、1999年大会以来、23年ぶりの日本一となった。過去に大学選手権(インカレ)を4度、関東大学リーグを9度制している国士舘大だが、近年は1部と2部を行き来するなど、かつての強さが影を潜めていた。

 ただ今季は飯田やMF綱島悠斗(4年=東京Vユース/東京V内定)やFW棚橋尭士(4年=横浜FMユース/徳島内定)といった1年生から試合に出場する選手が多くいる今年のチームを、名門復活の足掛かりにしたいという思いはチーム全員が強く感じていた。

「国士舘は最近結果が出ていないと言われて自分たちも悔しかった。自分たちが優勝しましたけど、OBの方たちが築いてくれたものがあってこその優勝だと思います」

 しかしこの総理大臣杯の優勝でインカレへの出場権も獲得したことになるが、もう一度チームを引き締めたいとも話す。「インカレは出場権も獲得したので、リーグ戦を戦いながらチームとして成長して、集大成の冬にもう一度日本一を獲れるように頑張ります」。23年ぶりのタイトル奪取となったが、これは名門復活への序章に過ぎない。

(取材・文 児玉幸洋)
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