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ゲキサカ読者が選ぶ夏のMVPは前橋育英MF徳永涼!「現状に満足することなく、ひたむきに、また謙虚に」

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 ゲキサカ読者が選ぶ2022インターハイMVP「GEKISAKA AWARD 2022 SUMMER 高校生部門」に前橋育英高(群馬)MF徳永涼(3年=柏レイソルU-15出身)が選ばれた。

 今回の企画は大会期間中に『ゲキサカアプリ』を使って実施。最も多くのクラップ(拍手=投票)を集めた選手を表彰するもので、徳永にはゲキサカオリジナルトロフィーが授与された。

 前橋育英のキャプテンを務める徳永は、U-17日本高校選抜、U-18日本代表で活躍しているボランチで、非常に強い向上心の持ち主だ。インターハイでは攻守の柱として、またリーダーとしてもチームを牽引。前橋育英を09年以来2度目となる夏の日本一へ導いた。

 今回は徳永にMVPの感想や優勝したインターハイの振り返り、また今後への意気込みなどについて聞いている。

―読者が選ぶインターハイMVP。率直な気持ちは?
「一番はビックリして、自分が選ばれると思っていなかったので、素直に嬉しい気持ちとビックリした気持ちがあります」

―時間が経ったけれど、優勝の瞬間はどのようなものだった?
「そこを目指してやってきたので、凄く嬉しいという気持ちと、一番はホッとしたという気持ちがあって、チームとしては一番難しい時期でもあったので、優勝できてホッとしたという気持ちが自分としては一番大きいかなと思います」

―群馬、学校に戻ってチームメートやクラスメートの反応はどうだった?
「他の部活の人からも『おめでとう』と言ってもらえて、あとは学校に花束とか弾幕が飾られているのを見て、段々優勝したという実感が湧いてきています」

―目指す優勝を実現したことは誇らしかったのでは?
「本当に(山田耕介)監督からも『簡単に優勝と口にするな』というくらい、全国を獲るということが難しいということは、監督の言葉や過去の先輩の経験からも見て分かっていたので、本当に嬉しかったです」

―インターハイは個人、チームとしてどのような大会だった?
「一番はいつも言っているんですけれども、ベンチのメンバーが見えないところで輝いてくれたというのがあって、本当に洗濯してくれたり、練習やアップの雰囲気を盛り上げてくれたのは、ベンチメンバーが一つの目標に向かって一緒に戦ってくれたからだと思うので、メンバーのお陰で優勝できたと思うし、感謝したいと思います」

―その中で自分が前橋育英のためにできたこと、課題になったことは?
「できたことはチームのマネージメントをするところで、毎日毎日、夜、選手だけで集まって、ミーティングして、自分だけが喋るんじゃなくてみんなの意見を確認し合いながらというのを意識して、そういうことがあってチームが団結したし、その中心になれたんじゃないかというのが良かったところです。課題だと自分のコーチングのところで言い過ぎているところとか少なからずあるので、何がその状況で適切か見極める力はもうちょい伸ばしていきたいと思っています」

―プレーヤーとしても輝けた大会だった。
「割りと自分にプレッシャー感じずにできたので、相手にバチッと来られたら自分はあまり輝けないので、上手くポジショニングで相手に触られない位置を探りながら、相手にとってちょっと嫌だなというプレーヤーにはなれたのかなと思います」

―日本一のチームになる雰囲気が作れていた。
「サッカーだけじゃないんですけれども、寮生活もみんなと一緒に過ごすことでいろいろなところで刺激し合えるというのが自分たちの本当に良いところ。他人と競うところではないんですけれども、いつも自主練で自分と向き合ってやっている姿で影響される選手も何人もいるし、サッカーだけじゃなくて、勉強も寝ずに時間を見つけてやっている人とかもいるので、そういうところで全員が刺激し合えるのが自分たちの良いところだと思います」

―前橋育英ってどんな集団?
「仲が良い集団とメリハリをつけれる集団というところがあるかなと思っていて、凄くマジメにやるところはみんなマジメにやるし、ふざけるところは全員が楽しんでふざけているので、そういうオン・オフのところの切り替えはできる集団かなと思います」

―インターハイ通して自分にとって一番印象的な試合は?
「矢板中央戦の逆転したところが一番印象に残っていて、それまでずっとゼロできていて、チームの中でも『ゼロで優勝まで行こう』と話していたんですけれども、先に1点ポンと取られた時に、案外全員が『まだ全然、平気』というモチベーションでいられたのは、この大会を通しての団結とかその成果が表れた試合かなと。そこで山田皓生が2点獲ってくれたのも、チームの雰囲気の良さが出たのかなと思いますし、一番印象に残っています」

―大会を通じて、一番記憶に残っているプレーは?
「米子北戦で前半凄いプレッシャーを食らっちゃって、給水前くらいまで相手の時間だったんですけれども、1本自分がボールを落ち着かせて、タイミングずらして、一本楔を入れたシーンがあって、それでちょっと自分たちのリズムを取り戻せる最初の一歩になったので、あのパスは印象に残っています」

―自分の存在価値を確認する大会になった。
「インハイ通す中でも自分、良かったところもありますけれども、得点できずにチームに迷惑を掛けてしまったところがあるので、振り返って見ると優勝という形は良かったんですけれども、プレミアとか先を見た時に目標とするところはあるかなと思います。声がけのところで締めるところと、しっかり良い雰囲気に持っていくための声がけをするところのメリハリだったり、自分が一つの物事にのめり込みすぎると孤立しちゃうと思うので、そういう自分は言っているけれど、一つ客観的に見る姿勢だったりはもうちょっと伸ばさないといけないかなと思います」

―徳永君は言葉を持っていると思うけれど、咄嗟に思いつくのかな?
「元々、人前で話すとか中学の時とかしていたので自然と出てきているかなと思います」

―前橋育英や代表などでいろいろな人たちと触れ合っていると思うけれど、客観的に「徳永涼」ってどういう人物ですか?
「とにかく良いヤツではないです(苦笑)。良いヤツではなくて、凄く周りの視線とかそういうところを気にしちゃうところがあって、それがいろいろなことに気づけたりすることに繋がっているかもしれない。素直なヤツじゃない、という感じがしますね(苦笑)」

―それでも、自分の好きなところがある。
「物怖じしないところは結構自分の良いところだと。選抜や代表に行った時に、スッと緊張せずに自分のプレーとか、自分が中心となってできるところは自分の良いところだと思います」

―インターハイが終わったあとに代表活動したことでまた、気づきがあったのでは?
「国際試合に出してもらって、日本人とは全然180度守備の仕方とかも違ってきて、海外は球際に命を懸けて来るという感じで、逆にそこさえ自分の技術を持っておけば、一気に展開は変えることはできるという感じにも思えたました。自分はボールを取られることなく、一個前に進めたりすることが特長なので、そういう特長をさらに伸ばすだけだなと再認識と自信にも繋がりました」

―実際失わないところや安定感、アプローチの速さなど国際大会でも特長を発揮できていた印象だが?
「自分の武器をどれだけ世界で通用させられるかは、自分の目標としてチャレンジしていることなのでそこは自信になりますし、だからこそそこのレベルだけじゃなくて、もう一個上の代表やスペインとかブラジルとか世界のトップレベルの強豪とやった時もそこが通用するくらいな力をつけたいという向上心を持ちながらやっています」

―徳島の雰囲気、空気はどうだった?
「自分たちは外出たりするとコロナとかあって、磐田東さんがコロナが欠場した分、自分たちが勝ち上がらないといけないと思っていたので、そういうところはきちんと制限してやっていたのであまり印象はないんですけれども、ちょっと暑かったなというくらいです」

―ピリピリしていたと思うし、ストレスがあったと思うが。
「そうですね。大会終わった後の遠征中の試合以外の疲労感が凄くあって、それで和倉(ユース大会)まで繋がってしまったんですけれども、ピッチ外で緊張して集中力を張ることが多かったので、大変な大会だったんですけれども、それを全員で乗り越えることができました」

―ご両親からは?
「『おめでとう』と話してくれて、あとは『夏獲れたんだから冬も頑張ろう』と言葉をもらいました」

―感謝を伝える方法はいろいろあると思うけれど、日本一を獲ってその思いを伝えられた。
「昔からサッカーの送り迎えしてくれたり、自分のビデオを取ってくれて、帰って、見て、『ここ、どうだった』と話相手してくれるのも凄く親の存在が大きかったし、親の言葉で自分の上手くいくプレーもたくさんあったので、感謝したいですし、だからこそもっとプレミアだったり、選手権も勝ち続けて、もっと感謝を伝えられたら良いと思います」

―すでに切り替えて再スタート。今の自分、今の前橋育英は?
「完全体では全然ないので、その分、コミュニケーションの数が必要だと思うし、チームの仲が良いからこそ仲良い集団で終わるんじゃなくて、一人ひとりが意見を言えるし、怒れるチームというのも自分たちの良さだと思うので、現状に満足することなく、ひたむきに、また謙虚に、一戦一戦に向けて準備して行こうと思います」

―徳永君にとって、選手権というのはどのような大会ですか?
「凄い小さい頃から、2歳、3歳の頃から見てきた大会で、育英を選んだのも選手権で日本一を獲るためだったので、3年間の思いだったりいろいろなことがあったんですけれども、それを全部ぶつけられる大会だと思うので、しっかり準備して優勝を獲りたいなという気持ちですね」

―インターハイ決勝後に、「山田先生に冬も日本一を」と話していた。それへのチャレンジでもある。
「監督はまだ(同年度に)2回優勝を経験していない。2回優勝を獲って、監督を胴上げできるように頑張りたいです」

―冬もゲキサカMVPの可能性があります。
「まずは自分よりもチームを優先して、チームのためにできることをやって、それで自分が活躍できて、こういう賞をもらえたら嬉しいので、それも視野に入れつつ、チームのために頑張りたいです」

ゲキサカ読者が選ぶ2022インターハイMVP「GEKISAKA AWARD 2022 SUMMER 高校生部門」に選出された前橋育英高MF徳永涼(3年=柏レイソルU-15出身)

★ゲキサカアワード歴代受賞者
●2021 WINTER 高校生部門:
MF松木玖生(青森山田3年)
●2021 WINTER 大学生部門:
FW土信田悠生(駒澤大4年)/受賞インタビュー
●2021 SUMMER 高校生部門:
MF松木玖生(青森山田3年)/受賞インタビュー
●2020 WINTER 高校生部門:
GK熊倉匠(山梨学院3年)/受賞インタビュー
●2020 WINTER 大学生部門:
FW砂金大輝(東海大4年)/受賞インタビュー
●2019 WINTER 高校生部門:
MF小山尚紀(静岡学園3年)/受賞インタビュー
●2019 WINTER 大学生部門:
MF中村健人(明治大4年)/受賞インタビュー
●2019 SUMMER 高校生部門:
FW西川潤(桐光学園3年)/受賞インタビュー
●2018 WINTER 高校生部門:
FW染野唯月(尚志2年)/受賞インタビュー
●2018 WINTER 大学生部門:
FW上田綺世(法政大2年)/受賞インタビュー
●2018 SUMMER 高校生部門:
FW西川潤(桐光学園2年)/受賞インタビュー
※所属と学年は当時

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●【特設】高校総体2022
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