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[MOM4302]美濃加茂FW久保田瑛太(3年)_中体連出身のフィジカル系ストライカー。前線で躍動し、2発

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FW久保田瑛太(3年)はターゲット役になりつつ、2ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.27 インターハイ岐阜県予選準決勝 土岐商高 1-3 美濃加茂高 長良川球技メドウ]

 FCV可児出身の技巧派が多く揃う美濃加茂高でアクセントになっているのが、岐阜西中出身の選手だ。濱口敏之監督が「本能的な動きで良い働きをしてくれている」と説明するDF前田創源(3年)は昨年から守備に欠かせない選手。また、10番を背負うMF神山楓杜(3年)もボランチの位置から正確に配球し、攻撃のスイッチを入れる好選手だ。チームのベースを担うFCV可児の選手と彼らのような違いを見せられる中体連出身選手が上手く融合しているのが、美濃加茂が急成長を遂げた理由だ。

 土岐商高との準決勝で、活躍が目を惹いたのは3人目の岐阜西中出身、FW久保田瑛太(3年)。「僕はそこまで足元がある方ではない。一番の武器はフィジカルだと思っている」と話す通り、技術力の高い選手が多いチームにとって貴重なフィジカルタイプ。180cm、75kgというガタイの良さを活かしたポストプレーで周囲の選手を活かすのが特徴だ。

「僕たちは繋ぐサッカーが好きで繋いでいるのですが、どうしても後ろで捕まりやすい。そうした時に蹴って、アイツがいるのは大きい。瑛太は胸が上手く、アイツに蹴ったら何とかしてくれると思って、僕たちは蹴っている」。主将のDF間宮愛翔(3年)が話す通り、チームが後ろから繋げるのも彼がいるからだ。

 前半13分に生まれた先制点も彼を目掛けたロングボールから。相手DFの背後に入ったボールが相手DF陣のミスを誘発。すかさず拾った久保田は「来た瞬間は凄く焦りましたが、外さないように凄く丁寧に打った」と冷静に無人のゴールに決めた。

 2度目のチャンスは30分。MF梅本譲(1年)からのボールを左サイドのMF横井吏玖(3年)がタッチラインのギリギリでオンにすると、素早く中にクロス。「いつも横井君がクロスのターゲットを僕に決めてくれている。彼にボールが入った時は自分のところへ来ると思って、ゴール前に入っていった」とタイミングよく合わせて、2点目を奪った。

 後半10分にはMF大矢幸輝(1年)のスルーパスから、PA内をフリーで抜け出しシュート。このチャンスはバーをかすめてハットトリックとはならなかった。22分には「前日頑張り過ぎたので、疲労が溜まっていた」ため、足を攣らせて交代。「今日の出来は10点中7点ぐらい。マイナス3点は、3点目が決められなかったのとポストプレーの精度。いつも胸など身体全体でボールを落とせているけど、今日はミスが多かった」。試合後はそう反省を口にしたが、ストライカーとしての存在感は存分に示すパフォーマンスだった。

 ストライカーとしての素質を感じさせる選手だが、中学1年生の途中まではGKとしてプレー。同学年にもう一人GKがいたため、身体能力が高い久保田がフィールドにコンバートされたという。最初はCBとしてプレーしたが、しっくりこなかったためFWを務めたところ、早々とゴールをマークし、そのまま定着。中学時代の指導者から、ずっと「お前が決めろ」と言われてきたことで得点への意欲を高めてきた。

 高校でも期待されてきたが、肩を脱臼しやすいなど怪我が多かった。昨年もインターハイ予選前に右足の靭帯を切り、満足にプレーできず。ベスト4まで進んだ選手権予選もスタンドでの応援だった。「自分がいたらなと思って、試合を見ていました」。

 今回は悔しさを味わった同じベスト4の舞台で活躍。インターハイ予選では4戦連発でゴールネットを揺らし、エースとしての輝きを放っている。この勢いを決勝でも止めるつもりはない。「先輩の悔しさを返したい。今まで岐阜と言えば帝京大可児みたいな感じだったので、そのイメージも壊していけたらと思います」。意気込み通り、連続ゴールを続けて再び、チームを勝利に導く。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2023

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