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“伝説のOB”から多くの学び。1-0勝利の立正大淞南GK塚田喜心は島根決勝も「自分の仕事」無失点に集中

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立正大淞南高GK塚田喜心は無失点勝利に貢献

[6.2 インターハイ島根県予選準決勝 立正大淞南高 1-0 三刀屋高 浜山公園陸上競技場]

 令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技島根県予選準決勝が2日に行われ、立正大淞南高が三刀屋高を1-0で下し、6月3日の決勝に駒を進めた。

 午前中に大雨警報も発令された雨の勢いは弱まったものの、水を含んだピッチ状態はスリッピーで、霧が立ち込めて視界が悪くなる時間帯もある難しいコンディション。立正大淞南は前半5分(35分ハーフ)に幸先良く先制したものの、その後は追加点を奪えなかった。

 しかし、1点差の緊張感が続く中でもGK塚田喜心(3年)は落ち着いていた。常に声を出し、味方のポジションを修正しながら相手のカウンターに対応。相手のシュートを前後半1本ずつに抑えたディフェンスラインを最後尾から支え、1-0での勝利に貢献した。
 
 MIOびわこ滋賀U-15から立正大淞南に進み、クロスへの対応や鋭いシュートストップを武器に昨年度から正GKを任されている。今回の予選に臨む前には、昨年度の予選経験者として「予選の雰囲気や、挑むときの姿勢を周りに伝えた」といい、プレー面でも「ディフェンスラインの連係などを話し合って、自分たちの力を取り戻すことができた」と語る状態で全国行きに挑んでいる。
 
 そんな守護神は、“伝説のOB”からも多くを学んでいる。立正大淞南は今年度、同校卒業後にアビスパ福岡で長年にわたって活躍し、数々の『神セーブ』で名を馳せた神山竜一氏がGKコーチに就任。定期的に指導しているほか、この日も含めて公式戦のベンチにも入っており、チームのレベルアップに一役買っている。
 
 1年のときから正GKを任されていた神山氏は、母校を「GKにとっては、すごく良い環境」と振り返る。同校のGKは当時から変わらず、さまざまなパターンのシュート練習に立ち向かいながらシュートストップなどを鍛えており、神山氏も「ポジショニングや、シュートストップの間合い、発見できることが毎日たくさんある。高校時代の練習で、たくさんのことを学んだ」という。
 
 塚田は神山氏から「OBなので、淞南の戦い方を学んでいます。プロで活躍した方なので、練習や試合を見てもらって、必要なことを教えてもらえる」と感謝する。練習や試合後にアドバイスをもらっており、「相手の選手がサイドから中に入ってきたときのポジショニングや、自分たちのCKでの声掛けや後ろの守備の配置を質問して、教えてもらいました。ものすごく勉強になっています」と目を輝かせた。

 6月3日の決勝では出雲高と対戦する。「全国制覇に向けて取り組んでいるので、それに向けて、自分の仕事である無失点に抑えることに集中したい」と語った塚田は、さらに「部員150人の夢、スタッフの方々や応援してくださっている皆さんの思いも背負って戦う」ときっぱり。偉大な先人からの教えも生かしながら、1人だけが任される立正大淞南の正GKとして、3大会連続16回目の出場をつかみ取ってみせる。

試合前練習。元福岡GKの神山竜一氏から指導を受ける塚田

(取材・文 石倉利英) 
●【特設】高校総体2023

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