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[MOM796]早稲田大FW奥田陽琉(3年)_“20歳ラスト公式戦”AT3分の劇的同点弾

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後半アディショナルタイムに同点弾を決めたFW奥田陽琉

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.15 関東大学L1部第6節 明治大1-1早稲田大 AGFフィールド]

 これ以上、敗戦を重ねるわけにはいかない。早稲田大の執念を感じた。

 1点ビハインドの終盤、早大はMF平松柚佑(3年=山梨学院高)のヘディングシュートがクロスバーを叩くなど、可能性を示し続ける。すると後半アディショナルタイム3分、右CKのこぼれ球を拾ったMF植村洋斗(3年=日大藤沢高)がドリブルを開始。右サイドに流れながら2人をかわして中に折り返すと、ニアで待っていたFW奥田陽琉(3年=柏U-18)が頭でねじ込み、今季初ゴールとなる劇的な同点弾が決まった。初勝利こそならなかったが、早大は開幕戦以来となる引き分けで連敗を4で止めた。

「サッカーは1分2分あれば2点入るので、まずは同点にしたいと思っていた。来週(23日)で21歳になる。もっといい選手に、今年はプロになる上で重要になる年なので、次は勝ちだけを求めてやっていきたいです」

 柏レイソルU-18時代はプレミアリーグWESTで13得点を決めて得点王を獲得。高卒でプロ入りしたMF武田英寿(青森山田高、現大宮)やFW染野唯月(尚志高、現鹿島)を上回ってのものだった。

 鳴り物入りでやってきた大学サッカー界では、昨年までの2年間で2ゴールとやや精彩を欠くが、「人間的な部分」で成長があったと自負している。「大学はサッカーだけをやっていればいい環境ではない。高卒プロに負けないような武器、人間的な部分を中心に基礎技術を高めていきたい」と息巻く。

 柏ユースでともに汗を流した仲間たちの活躍には、大いに刺激を受けている。プロの世界では同期のFW細谷真大やFW鵜木郁哉が結果を残し、大学リーグでも先日の対戦で東京国際大のMF熊坂光希(3年=柏U-18)に決勝ゴールを決められた。

「他の誰にやられるよりも同期にやられた方が悔しい。どちらかというと、自分は高校時代目立ってきた立場。その時に脚光を浴びていなかった選手が活躍していると思うと刺激になるし、絶対に負けられないなと思っています」

 最近では柏レイソルの試合を観に行くことにハマっているという。「スタジアムに行くとサポーターの方もざわついてくれて。嬉しいです」。また試合を観に行くときは必ず、細谷や鵜木に連絡してから行くことも明かす。“柏愛”はさらに増している様子。「やっぱり帰りたいなというのは一番にあります。頑張ります」。

 ただ今のままでは声がかからないことは自覚している。「去年もあまり試合に出ていないし、今年も今の位置(途中出場)が続いている。まずはチームで活躍することが大事になってくる」と目標を明確にする。そして「そうすれば呼ばれると思うので、そこは焦らず、だけど余裕を持ち過ぎず。得点だけをみて、やっていければと思います」と力強く話した。

(取材・文 児玉幸洋)
●第96回関東大学L特集

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