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全日本大学選抜は山田新2発も“鬼門”韓国で勝てず…互いに日韓戦ホーム負けなしの因縁は続く

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韓国での日韓定期戦を戦った全日本大学選抜

 大学サッカーの“日韓戦”『DENSO CUP SOCCER 第20回大学日韓(韓日)定期戦』が、9月17日に韓国・安養総合運動場で開催され、全日本大学選抜は延長戦の末に2-3で敗れた。

 同大会は6月25日に、レモンガススタジアム平塚で第19回が開催されたばかり。本来、日韓交互に各年で開催する決まりとなっているが、新型コロナウイルス感染症の影響で2年にわたり中止となっていたため、変則的に今年中に韓国でも開催されることとなった。

 6月に行われた試合では、日本が5-0と圧勝。先日、U-21日本代表への招集が発表されたFW木村勇大(関西学院大4年=大阪桐蔭高/京都内定)がハットトリックを達成し、実力の差を見せつけた。だが、その衝撃の結果に全韓國大学選抜も動いた。6月のメンバーから選手2人だけを残し、監督も含めたメンバーを“総入れ替え”。合宿中にはチェ・ヨンス監督率いるK1リーグの江原FCとトレーニングマッチも実施するなどしてチームの強化を図った。

 一方の全日本大学選抜は、多少のメンバー追加はあったものの、ベースとなるのは6月の試合のメンバー。事前準備は短いながらも、チームワークと攻守両面での連携を武器に韓国に乗り込んだ。

 日本は、GKは飯田雅浩(国士舘大4年=青森山田高/東京V内定)、4バックはDF奥田勇斗(桃山学院大3年=G大阪ユース)、DF山崎大地(順天堂大4年=広島Y)、DF岡哲平(明治大3年=FC東京U-18)、DF三浦颯太(日本体育大4年=帝京高/甲府内定)。中盤はボランチにMF熊澤和希(流通経済大4年=流通経済大柏高/柏内定)とMF植村洋斗(早稲田大3年=日大藤沢高/磐田内定)、攻撃的な左にMF倍井謙(関西学院大3年=名古屋U-18/名古屋内定)と、右にMF齊藤聖七(流通経済大4年=清水ユース/清水内定)、2トップにFW山田新(桐蔭横浜大4年=川崎U-18/川崎F内定)とFW落合陸(東京国際大4年=柏U-18/柏内定)という布陣で臨んだ。

 試合は全日本大学選抜が、鮮やかな連携から序盤の主導権を握った。しかし前半7分、左サイドのMF倍井が鮮やかな突破で好機を演出するも、齊藤が放ったシュートは枠の外に。倍井は同11分にも左サイドから自らペナルティエリアに切り込んでシュート。同31分には同じく倍井の飛び込みに熊澤が走り込むが、どちらもゴールにはつながらない。

 すると30分を過ぎたころから全韓國大学選抜がカウンターを仕掛け始める。韓国はたびたびセットプレーから日本のゴールを狙うも、キャプテンGK飯田がこれをストップ。しかし両チーム無得点で終わるかと思われたが、前半終了間際のアディショナルタイム1分、CKからイ・サンヒョクにヘディングシュートを決められてしまう。

 1点ビハインドで迎えた後半、日本は落合に代えてFW小森飛絢(新潟医療福祉大4年=富山第一高/千葉内定)を投入。巻き返しを図るが、後半7分には韓国に右サイドからの突破を許し2点目を許してしまった。

 しかし0-2とリードを広げられたが、ここから日本の反撃が始まる。失点から4分後の後半11分、相手DFとの競り合いをかわしてゴール前に抜け出した山田新が、落ち着いてシュートを突き刺し1点差に。このゴールで勢いに乗った日本は、その後も山田、齊藤らが積極的な攻撃で韓国ゴールに迫る。

 後半19分には、倍井に替わりMF泉柊椰(びわこ成蹊スポーツ大4年=神戸U-18/神戸内定)がピッチに送り出されると、泉が入りばなのプレーでゴール前に絶好のパスを入れる。これを再び山田が決め、ついに日本が同点に追いついた。

 勢いに乗った日本は主導権を奪い返してたびたび好機を演出。後半30分には、小森が抜け出してゴールを決める。だが逆転かと思われたこの得点は、その前のプレーがファウルと判断されて"幻のゴール"に。その後は韓国GKの好守もあり、2-2のまま90分が終了。試合は延長戦にもつれこんだ。

 延長戦でも日本が優勢に試合を進め、後半途中に出場したMFオナイウ情滋(新潟医療福祉大4年=正智深谷高/仙台内定)、MF寺山翼(順天堂大4年=FC東京U-18/FC東京内定)らが起点となってチャンスを作る。

 しかし韓国の堅い守りをなかなか突破できず、無得点のまま延長後半へ。延長後半からはDF速水修平(常葉大4年=磐田U-18)、MF水野颯太(桐蔭横浜大4年=常葉大附橘高/甲府内定)の2人を投入して流れを変えようとするが、韓国が一気に攻勢に転じる。そして延長後半5分、韓国はカウンターからチャンスを作ると、先制点を決めたイ・サンヒョクに再び決められ勝ち越し点を許してしまう。

 日本はその後、MF藤井海和(流通経済大2年=流経大付属柏高)を投入して同点を目指すが、韓国はGK以外のほぼ全員が日本陣内に入る徹底的な守備でゴールを許さない。結局、2-3のまま試合は終了。韓国が勝利し、大会通算成績を8勝8敗2分とした。

 これまで日韓どちらもアウェーでの勝利がない本大会だが、今回もまたホームチームが勝利となり、日本の"アウェー初勝利"は叶わず、因縁は来年以降の戦いにも続くことになった。

(取材・文 飯嶋玲子)

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