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[MOM825]順天堂大MF寺山翼(4年)_「気持ちで押し込んだ」後半ATの間接FK弾、最下位脱出

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.9 関東大学L1部第16節 国士舘大4-4順天堂大 小出義雄記念陸上競技場]

 判定に抗議する国士舘大の選手を尻目に、順天堂大のキャプテンは自らが決めきることだけに集中していた。

「自分が絶対に蹴ると決めていた。相手にバレていてもいいから自分がと思っていた」

 相手のバックパスによって獲得したゴール手前での間接FK。MF寺山翼(4年=FC東京U-18/FC東京内定)はちょこんと出されたボールを思い切り蹴ると、ゴールを塞いでいた壁の上を通す弾丸シュートを突き刺す。時間は後半アディショナル7分。まもなくして両チームに勝ち点1が与えられる試合終了のホイッスルが吹かれた。

「気持ちで押し込んだという形のゴールです。必ずここで決めて、自分の価値とチームの価値をぐっと高められるようにと思って立っていました。しっかり決められて良かったです」

 寺山らJ1クラブに内定する3選手を擁す今年の順大だが、その寺山らの怪我による離脱もあり、春先から不調。降格圏に沈む苦しい戦いを強いられている。

 さらにこの日は堀池巧監督が大学の業務のために不在。ただ「何かを変えないとこのままで終わってしまう」と考えていた寺山は、少しのきっかけでもプラスに変えようと苦慮したことを明かす。

「今日のゲームはこれからの自分たちを占う大事なゲームと今週の初めに自分が全員に言っていた。何かを変えないとこのままで終わってしまうと思っていました」。寺山はこの日の先制点も記録。言葉だけではなく、背中でもしっかりと示してみせた。 

「ただ負けなかったことは成長ですが、勝ち切れなかったことは課題です。今度は勝ち点3を取れるように気持ちを入れてやっていきたいです」

 そう、後期初の勝ち点を挙げたものの、積み上げた数字はわずかに1。11位に浮上したものの、最下位の12位・早稲田大とは勝ち点1差、プレーオフ圏内の10位・流通経済大とも勝ち点は1差で、3ポイントを獲得し続けなければ、降格圏の脱出はない。

 すべてはこれからの自分たち次第。4失点した事実を受け止め、改善した上で次のゲームに向かう必要がある。寺山も「勝つしかないの一言に尽きる」と気を引き締めると、「残り7試合全部勝てるように、チームとしていい準備をしていきたい」と目線を上げた。

(取材・文 児玉幸洋)
●第96回関東大学L特集

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