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[MOM828]関西学院大FW山田剛綺(4年)_ストライカーとして覚醒しつつあるもう一人のJ内定FW

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.15 関西学生L後期第6節 関学大5-0 甲南大 J-GREEN堺]

 後期に入ってからの5試合で18得点をマークする関西学院大の攻撃を牽引する一人が、来季からの東京ヴェルディへの入団が内定しているFW山田剛綺(4年=京都橘高)だ。

 5得点を奪った甲南大でも、ゴールラッシュの呼び水となるプレーを披露した。

 1-0で迎えた前半38分、「相手が(木村)勇大から奪いきるのは難しいと思うので、こぼれて来るなとずっと意識していた」と、セカンドボールを拾ってゴール前に侵入。GKとの1対1に持ち込もうとしたところを、相手DFにファールで倒された。

 決定機阻止による退場により、甲南大は10人での戦いを強いられ、以降は関学大が一方的な展開に。前半アディショナルタイム2分にはMF美藤倫(3年=東海大付属大阪仰星高/G大阪内定)のミドルシュートをアシスト。後半12分にはFW木村勇大(4年=大阪桐蔭高/京都内定)のシュートがゴール前にこぼれた所を冷静に押し込み、大勝に貢献した。

 この試合での得点により、得点ランキング3位につける10得点目を記録。うち5得点は後期に入ってからの5試合でマークしたもので、ストライカーとして覚醒しつつある。「この夏は勇大がサンガに行ってチームにいなかったので、自分がやらなければいけないという意識があった。他の主力もおらず、僕の所にボールが入ってきたので、自分で何とかしなければと、色々考えた。今までよりも動き出しの部分は意識するようになりました」。

 高校時代はスピードを武器にサイドハーフとしてプレー。大学に入ってからはFWにコンバートされ、入学直後のリーグ開幕戦ではゴールを奪い、鮮烈なデビューを果たした。山田が大学で歩んできたキャリアは華々しく見える一方で、「スピード感が全く違うし、練習に付いて行くだけで必死でした」。

 1つ上にはFW山見大登(G大阪)、同級生にはデビューこそ山田よりも遅れたが、1年生の冬から関西選抜や全日本大学選抜に選ばれる木村がいた。コンスタントに出場機会を掴みながらも、絶対的なエースとまでは言えない存在だったが、「2人の存在は刺激になっていた。やらなければいけない状況にずっといたのが大きかった」。

 元々、スピードはあったが、大学で屈強なDFと対峙するうちに身体の使い方が上手くなり、プレーに強さが増している。速さを活かした前からのプレッシングも持ち味だ。大学で何より変わったのは、動き出しの部分。「勇大や山見君みたいに1人で持って行くタイプではないと自分で自覚しているので、周りをどう活かすとか、自分が点を獲るためには動き出しの部分を磨かないといけない。ボランチやCBの選手とコミュニケーションを取っていたら、ボールが出て来るんじゃないかと考えて、頑張ってきた。まず周りに見てもらうことから、意識しました」。

 デンソーカップチャレンジで準優勝に貢献したこともあり、複数のJクラブの練習参加を経験。「ヴェルディには凄くボールが持てる選手が多いので、背後を抜け出したら良いボールが出て来る」と振り返ったように持ち味である鋭い飛び出しを何度も披露。前線で見せる献身的なプレーも、城福浩監督から評価され、内定を掴み取った。

「プロでもやれる手応えはある」と話す一方で、先ばかりを見据えていない。大学でも出場機会を掴むため、ポジションを争うライバルたちに勝つために目の前の物事を必死に頑張ってきた結果が、今に繋がっている。

「試合に出ることが今の目標。先はあまり見ていないんです。大学もそうで、とりあえず目の前のことを必死にやれば、未来はあるかなと思って、ずっとやってきた。今はまず開幕戦から、メンバー絡めるように頑張りたい」

 目の前の大学生活でも必死でやれば、まだまだ伸びていく。ガムシャラにプレーする山田の成長は、まだまだ止まらない。

(取材・文 森田将義)
●第100回関西学生L特集

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