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[関西]東福岡出身、大阪体育大MF野寄和哉「序列を変えようと」頑張った4年間、掴んだ山口内定

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[10.16 関西学生L後期第6節 大体大2-0 立命大 J-GREEN堺]

 高卒でFC東京に進んだDF中村拓海(横浜FC)、優れたフィジカルを武器にエースとして君臨したFW大森真吾(順天堂大、来季から札幌)、卒業後に今治に進んだMF福田翔生、高2で高校生選抜に選ばれたGK松田亮(東京国際大)など。選手権こそ2回戦敗退で終わったが、2018年度の東福岡高は各所にタレントが揃う魅力的なチームだった。

「東福岡にはスーパーの選手がたくさんいたので、目立つ機会はそこまで多くなかったけど、負けたくない気持ちはあの中でも強い方だったと思う」。当時について振り返るのは、大阪体育大のMF野寄和哉(4年=東福岡高/山口内定)だ。

 高校1年生の時からプレミアリーグで出場機会を掴んでいたが、ラストイヤーに取材を受けるのは、冒頭に名を挙げた代表経験者やプロ注目選手がほとんど。「あの時は『なんでアイツらばかり、こんなに取り上げられるんだろう?』と思っていましたが、今思うとやっぱり凄かったですね。みんな良い選手だと分かっているけど、認めたくない自分がいました」。

 悔しさを感じながらも、自分に足りていない部分はどこなのかは本人が一番分かっていた。大阪体育大への進学は、自らを高める絶好のチャンス。「大学の4年間で絶対、抜いてやろう、序列を変えようと強く思っていました。変えるために、どうしようと考えていました。武器を磨かないといけないけど、攻撃だけやって、上の世界で生き残れるのかって。武器以外の部分を4年間で磨こうと思っていました」。

 身長は小柄ながらも、技術力は確か。寄せてきた相手を冷静に剥がして、パスやシュートまで持ち込める。大学1年目から持ち味を発揮し、コンスタントに出場機会を掴む一方、4年生のFW林大地(シント=トロイデン)やMF田中駿汰(札幌)といった後にフル代表にまで選ばれた実力者たちが、自らを犠牲にしてチームのために頑張る姿を目の当たりにして、心を動かされた。「大地君や、駿汰君みたいな凄い選手が、凄く高いレベルで献身的にプレーしていて、驚きました」。

 大学生活最後の年は、お手本としていた先輩たちのような姿が見えるになってきた。前期は主に左ウイングでプレーし、6得点7アシストと攻撃面で持ち味を発揮したが、現在はチーム事情もあり、4‐3-3のセンターハーフでプレー。攻撃に絡んでいきたいのが本音だが、後輩たちの良さを出すため、相手の攻撃をケアするため、アンカーに近い位置まで下がるなどチームのためにバランスをとりながら、プレーしている。「それ(献身性)が体大の伝統として引き継がれるようにと思って、意識してやっています」と笑みを浮かべる姿からは、大人としての成長を感じる。

 上手いだけの選手ではなくなった野寄には、複数のJクラブが獲得に動いたが、一番初めに練習参加したことに縁を感じ、山口への加入をすぐさま決めた。もう一つの決め手となったのは、「良い目標、良い刺激だなと思った」というベテランたちの存在だ。

 今季限りでの引退を決めたDF菊地光将とDF渡部博文は練習参加した際に「自分の長所を出せ」、「仕掛けるタイプなら、そこを磨けもっと上の舞台やれると思う。やり続けろ」などとアドバイスをくれた。同じポジションのMF山瀬功治は練習前後に1時間近く身体をケアする姿や、「熊みたい」(野寄)という鍛えられたフィジカルが印象に残っているという。

「1年目から全試合に出場したい。上のカテゴリー目指しているので、山口で活躍して、チームを昇格させたい」。そう意気込む野寄はライバルたちに負けないよう自らを伸ばした高校時代、林や田中に感化された大学時代と同じように、周囲の刺激を力に変えて、プロでも羽ばたくつもりだ。

(取材・文 森田将義)
●第100回関西学生L特集

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