beacon

[MOM830]びわこ成蹊スポーツ大GK原田圭吾(4年)_冨安先輩との苦い思い出「いつかあの時はすいませんと言えるように」

このエントリーをはてなブックマークに追加

194cmの大型GK原田圭吾

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.22 関西学生L後期第7節 大体大2-2びわこ大 ヨドコウ]

 結果的にPKストップが勝ち点1に繋がった。

 びわこ成蹊スポーツ大は前半14分、DF大橋滉太(2年=C大阪U-18)がエリア内でFW田原佑真(4年=東海大福岡高)を倒してしまい、PKを献上。先制のチャンスを与えてしまう。

 しかしここでGK原田圭吾(4年=福岡U-18)が意地をみせる。MF野寄和哉(4年=東福岡高/山口内定)のシュートを残した足に当ててストップ。この場面での先制を許さなかった。

 実は原田、大学に入学してからほとんどPKを止めることが出来ていなかった。福岡U-18時代は得意だったというPKストップだが、大学に来てからはなぜか“苦手”になってしまったという。

 今年もリーグ戦では2、3度PKがあったが、ことごとく決められていた。今季の滋賀県天皇杯予選決勝でMIOびわこ滋賀FCと対戦した際もPK戦にまでもつれたが、1本も止めることができていなかった。

 “苦手克服”のためにしたことは、原点回帰することだった。「PKは気持ちかなと思っている。まずは駆け引きからやって行こうと思った」。194cmの長身を生かして相手に圧力をかけ、より相手にプレッシャーをかけるように心がけたという。「今日は止められそうな雰囲気があった」。直後の失点など、前半だけで2失点してしまったことは反省したが、最低限の勝ち点1にホッとした表情もみせた。

 上記したように、原田の武器は何より身長194cmの恵まれた体格だ。「中学生の時はどんぶりごはん3杯を毎日食べていて、部活もきつかったので、夜9時くらいには寝ていました。めっちゃ食べて、めっちゃ寝たらデカくなりました」。小学生の時点でもすでに大きかったが、中学3年間で約30cm伸びたことで、卒業するころには190cmを超えていたという。

 一つの苦い思い出がある。中学の部活で育った逸材は、高校からアビスパ福岡の下部組織に進むことを選択。そこでユースの練習に参加した時に、2学年上の冨安健洋(現アーセナル)と対面した。ただ当時は面識がなく、さらに鼻息荒く参加していたこともあり、1対1で思い切り突っ込んでしまい、怪我をさせてしまったのだという。

 “クラブの宝”が中学生に削られたことに、大人たちは血相を変えて飛んできた。「自分がやったことわかっとーと?」。幸い怪我の程度は軽かったようだが、スタッフにめっちゃくちゃ怒られました記憶が鮮明に残っている。

 ただ今では冨安との再会が、密かな目標になっている。卒業後もサッカーを続ける予定で、いつか同じピッチに立つことを夢に見ている。「向こうが覚えているか分からないですけど、いつか謝れるように。あの時はすいませんと言えるように頑張りたいです」。

 熾烈を極める関西リーグの優勝争い、そしてインカレ出場権争い。今夏の総理大臣杯では史上最高位の3位で終えたびわこ大だが、選手たちに満足する様子はない。「チームでも日本一を掲げている。それを成し遂げたい」。チームが目標に近づけば近づくほど、原田の夢も実現へと近づくはずだ。

(取材・文 児玉幸洋)
●第100回関西学生L特集 

TOP