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[関東]柏内定の拓殖大DF関根大輝、SB転向で変わった人生、大学3年生でJデビュー

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東海大戦にフル出場した関根大輝

[5.27 関東大学L1部第6節 東海大1-1拓殖大 東海大G]

 これまで味わったことのない緊張感が全身を襲っていた。ただどこか心地よい。「緊張は結構しましたね。サポーターの応援も凄く新鮮で。ブーイングも経験したことがなかったので、いい経験になりました」。3日前、24日のルヴァンカップ鹿島戦でフル出場してJリーグデビューを飾ったDF関根大輝(3年=静岡学園高/柏内定)は、そう言って笑みを浮かべた。

 関根は中2日で行われた所属する拓殖大のゲームに先発出場。さすがに「体力的にはきつかった」と振り返るが、終了のホイッスルが鳴るまで試合に出続けた。1-1に終わった結果には不満顔だったが、自身のパフォーマンスについては、「ルヴァン杯で課題が出た中で、早く試合で試したかった。クロスの感覚とか、距離感はやっぱり試合でしか分からない部分が多いので、そこはよかったのかなと思います」と納得の表情もみせた。

 関根の柏レイソルへの加入内定は、5月19日に発表になった。パリ五輪世代となるU-22日本代表候補にも選出される大学3年生には、浦和レッズやFC東京も練習参加の声をかけていたようだが、「最初にオファーを出してくれたクラブに行こう」と決めていたところに、柏から獲得のオファーが届いた。「練習参加も何回も呼んでくれていたし、早くデビューしたい思いがあったので、一番最初のオファーで決めました」。

 ポジション転向が人生を変えていた。高校時代まで187cmの長身を生かした大型CBとして知られた関根だが、大学に入っていきなり右SB転向を指示された。「紅白戦の時にマグネットでポジションが出るんですけど、右にポンと置いてあった」。何の意図があったのか。今でもその理由は知らないという。

 ただ疑問に思うよりも素直に受け入れたこと、そして新たな可能性を探ろうとしたことで、関根の才能は一気に開花した。1年生の後期から右SBで定位置を掴むと、全日本大学選抜に選出されるなど、大学リーグ屈指のDFへと成長していく。紅白戦でSB出場を指示してくれた青木智也コーチ(現松本大コーチ)は、「人生を変えてくれた恩人」になった。

 柏ではOBで現在浦和でプレーするDF酒井宏樹と重ねて期待を寄せる声も少なくないようだ。「自分の名前も“ひろき”なので、凄く言われます。いつも“セキ”と呼ばれているので、レイソルでも“セキ”でお願いしますと言ったんですけど、井原さんからも酒井宏樹に似ているから“ひろき”って呼んじゃうんだよねと言われます」と苦笑いする。

 ただプレー面では遠く及ばないことも分かっており、酒井のような縦の突破が出来るようになることはもちろんだが、自身の持ち味である中に入ってプレーする、足元に長けたプレースタイルに磨きをかけることで、酒井とは違ったサイドバック像を築き上げていくつもりだ。

 正式な入団は25シーズンからとなる。今年は大学で授業があることから、チームに帯同することは難しいというが、4年生になる来年は大学でのスケジュールに余裕が出ることから、「ずっと行っていいよ」という話も出ているという。

 しかし大学でもっと違いを見せることが出来なければプロでは通用しない。プロの試合を90分経験したからこそ、実感していることだ。「プロと大学のリーグは全然違うことが分かった。ワンタッチの質とクロスの精度が課題なので、いつ呼ばれてもいいように意識していきたいです」。世代屈指のSBへと急成長を遂げるJ内定DFが、大学リーグでワンランク上の世界をみせる。

(取材・文 児玉幸洋)
●第97回関東大学L特集

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