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目標は「高卒プロ」。プレミアで「通用する自信がある」。履正社の2年生MF名願斗哉がインパクト大の2発

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後半28分、履正社高の2年生MF名願斗哉がGKの股間を抜くシュートで2点目

[12.12 高円宮杯プレミアリーグプレーオフFブロック決勝 讃岐U-18 0-5 履正社高 バルコム]

 2ゴールはいずれも“衝撃的な”ゴールだった。履正社高(関西1)MF名願斗哉(2年)は前半27分に投入されると、同43分にはハーフウェーライン付近から左サイドを独走。「自分、ドリブルが得意で1対1だったので。スペースめちゃくちゃあったので『空いているわ』と思って行っちゃいました」。一人でPA深くまで持ち込むと、そのまま左足でニアサイドのゴールネットを揺らした。

 約50mの独走ゴール。後半20分に右サイドからのクロスで2点目をアシストした名願はさらに28分、左中間からスピードに乗ってPAへ切れ込むと、「(そのまま)打とうと思ったんですけれども、2人くらい食いついたので切り替えしたら行けるなと思って」切り返し一発で2人を置き去りにする。

 最後は「ちょっと『遊ぼうかな』と思って。股空いていたので『あ、これ股行けるわ』と」GKの股間を抜く左足シュートで2点目を挙げた。讃岐U-18のゴールを守っていたのはU-17日本代表の主軸GK松原快晟(2年)。世代を代表するGKを手玉に取ってみせた。

 この後も、左サイドから中央へ切れ込んで右足を振り抜くなど3点目を奪いそうな勢いの動き。ハットトリックは実現せず、悔しがっていたが、四国王者相手にそのポテンシャルの高さを見せつけた。長身でしなやか、そして緩急自在。相手の動きを止めてから一気に振り切るドリブルと得点力は注目だ。

 以前からドリブルを得意としていた名願は、中学3年の冬にG大阪ジュニアユースの先発を掴んだが、守備意識が希薄だったことなどからG大阪ユースへ昇格できず。他のJクラブアカデミー入りも目指したが、評価を得られなかったという。そして、平野直樹監督の「ウチには良いFWがいる。オマエがアシストとか活躍してやって欲しい」という言葉に惹かれて履正社へ進学。長身ドリブラーは今年、存在感を放ち始めていたが、指揮官は安易にポジションを与えるのではなく、苦手な守備の部分の改善と攻撃での進化を求め続けた。

 飛躍のきっかけは今夏、3、4試合実施したG大阪ユースとの練習試合だという。“古巣”相手に打開、アシストもした名願について、平野監督は「負けたくないという気持ちが逆に自信になった」と分析。名願自身も「自分で打開できる個の力というのを大分自信ついたかなと思います。そこから大分良くなりました」と振り返る。

 その後、選手権予選で注目度を高め、この日はスーパーサブ起用で圧巻の2ゴール。名願は世代を代表する存在にも十分なりうる高校ラストイヤーへ向けて、「最近似ていると思うのが、三笘薫選手。点も取れて、アシストもできて、守備もハードワークもできる選手になりたい。高卒プロを目指してやっています。(プレミアリーグ昇格で)当然レベルが高くなると思うんですけれども、自分は通用する自信があるので、自分の力を出して勝てるように頑張りたいです」と意気込んだ。大事なのはまだまだこれから。22年の主役候補が、貪欲に進化を遂げて春を迎える。 

(取材・文 吉田太郎)
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