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名門、躍動!守備成長、自信も加えた市立船橋が大宮U18に快勝!

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後半10分、市立船橋高はMF丸山侑吾が決勝ゴール

[6.26 高円宮杯プレミアリーグEAST第10節 市立船橋高 2-1 大宮U18 高円宮記念JFA夢フィールド Aピッチ]

 名門、躍動――。高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2022 EASTは26日、第10節を行った。市立船橋高(千葉)が2-1で大宮アルディージャU18(埼玉)に勝利。市立船橋は2勝2分5敗で暫定10位へ順位を挙げている。

 市立船橋の先発はGK田中公大(3年)、右SB佐藤凛音(2年)、CB藤田大登(3年)、CB懸樋開(3年)、左SB北川礁(3年)、中盤中央にゲーム主将のMF太田隼剛(2年)と白土典汰(2年)、右SH土岐泰斗(3年)、左SH丸山侑吾(3年)、FWが郡司璃来(2年)とイジェンバ・リチャード(3年)の11人で4-4-2システムを組んだ。

 一方、ここまで4勝1分4敗の大宮も4-4-2。GK海本慶太朗(3年)、右SB斉藤秀輝(1年)、CB小澤晴樹主将(3年)、CB市原吏音(2年)、左SB作本優真(3年)、中盤中央に石川洸介(3年)と菊浪涼生(1年)、右SH種田陽(2年)、左SH勇内山遥海(3年)、前線に高橋輝(3年)と前澤拓城(3年)が入った。

 立ち上がり、大宮が右の種田を活かした攻撃を見せるが、「(立ち上がりは悪くなかったが、走る、戦う、動かすなど)何でも、相手を上回れていない」(大宮・森田浩史監督)という相手に市立船橋が差をつける。球際、切り替え、運動量の三原則の部分を発揮する市立船橋はセカンドボールを収める回数、郡司やイジェンバが前向きにボールを持つ回数を増加。郡司のラストパスに土岐が走り込むなど、ゴール前のシーンを作り出して行く。

 大宮は21分、高橋が抜け出すがGK田中と左SB北川に対応され、こぼれ球をシュートへ持ち込むも決め切ることができない。逆に24分、市立船橋は右ハイサイドで佐藤の縦パスを受けた郡司が大きな切り返し。PA角から感覚で放ったという左足シュートを鮮やかに決めてリードを奪う。

 大宮はサイドチェンジをSHまで通すが、そこから先の崩しで苦戦。43分に右クロスから菊浪の放ったヘッドはGK田中の守備範囲だった。後半開始から大宮は勇内山に代えてMF仲丸慎太郎(3年)を投入し、種田を右サイドへ移す。一方の市立船橋も、イジェンバとFW森駿人(2年)を入れ替えた。

 後半10分、市立船橋が次の1点を奪う。この日中盤で抜群の運動量を発揮していた白土の好守でボールを奪い返し、そこからの切り替え速い仕掛けで丸山が相手の守りを攻略。一気にバイタルエリアを駆け上がり、左へ展開する。これを郡司が1タッチでラストパス。走り込んだ丸山が右足で押し込み、大きな2点目を挙げた。

 市立船橋は、波多秀吾監督が「奪ってからというところは一つ特長かなと思っています。スペースが結構あるのでワンツーとかドリブル突破のところでチャンスができるぞという話がコーチからもミーティングでもあったので」と説明する狙い通りの一撃。市立船橋は試合を通してチーム、個々の守備も光る内容だった。

 後半、北川、懸樋、藤田、佐藤の4バックがいずれも相手のスピードに乗った仕掛けや抜け出しに対応するシーンがあったが、ガッチリとブロック。個の力で止め切っていた。その上でチャレンジ&カバーも徹底。1対1で絶対に負けないこと、そして三原則をどの位置でも、どの状況でも「ブラさずやれている。かなり自信はついている」(北川)ことが好守、そしてインターハイ予選から続く結果に繋がっているようだ。

 波多監督が「特に守備が安定してきたなと。守備の成長は凄く大きいなと感じました」と振り返り、元主将でJ1、J2で計300試合以上出場している増嶋竜也コーチも「市船は守備のところがしっかりしていないと崩れてしまう。今、守備としては凄く良くなってきている」と評した守りで大宮を封じ続けた。

 大宮は14分に作本を左SB浅井一彦(2年)へ、16分には菊浪を191cmFW磯崎麻玖(1年)へスイッチ。市立船橋も14分に土岐をMF大塚清瑚(3年)と入れ替えた。大宮は小澤と市原の両CBが競り合いの強さを見せ続け、左の種田が前への強い姿勢を示す。そして、浅井のロングスローなどで相手の守りにプレッシャーを掛けるが、1点が遠い。逆に市立船橋は強みに変えてきたセットプレーで追加点のチャンスを作り出す。

 後半29分、大宮は前澤をFW石川颯(2年)と交代。市立船橋も39分に丸山と郡司をMF内川遼(2年)とFW青垣翔(3年)へ、43分には藤田をCB桒原大知(3年)へ入れ替える。リードしている市立船橋は終盤も太田を中心に相手を上回る声。大宮は45+7分、種田の左クロスを高橋が頭で合わせて1点を返したが、このゴールがラストプレーとなり、試合終了の笛が鳴った。

 市立船橋はインナーハイ予選の中断期間まで1勝2分4敗と苦戦。だが、インターハイ予選で八千代高との伝統校対決から、中央学院高、習志野高、日体大柏高と続いた4試合を逞しく勝ち抜いたことで自信を掴んだようだ。

 郡司は「優勝して自信がついて、練習からみんなバンバンやっている。取り組みが変わった」と説明する。そして、波多監督は「自分たちのスタイルというか、ある程度自分たちのやるべきことというのがインターハイ予選なんかを通じてはっきりしてきた。自分たちの力の発揮の仕方が分かってきたというところで、今日は少し上回れたと思っている」。インターハイ予選決勝から3日後に行われたFC東京U-18戦は0-1で惜敗したものの、選手たちも新たな手応えを得る内容。この日は最後の局面での質の部分や、試合最終盤の失点など反省点もあったが、堂々の内容で白星を勝ち取った。

 注目されるインターハイの組み合わせも決定。北川は「(青森山田高、帝京高などと同ブロックで)厳しい山に入ったと思ったので、でもやることは変えずに一戦一戦やっていれば全国制覇が見えてくると思う。もう1つ2つレベル上げて最高の準備をして入りたいと思います」。伝統の守備と勝利の自信で復調。よりレベルを引き上げ、プレミアリーグでさらに勝ち点と自信を積み重ねて――名門が夏の全国舞台で躍動する。

(取材・文 吉田太郎)
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