beacon

[MOM4143]米子北FW福田秀人(3年)_120人の大声援に感動、1G1Aで5年ぶりプレミア復帰へ導いたエース

このエントリーをはてなブックマークに追加

米子北高FW福田秀人は1ゴール1アシストの活躍

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.11 高円宮杯プレミアリーグプレーオフ2回戦 米子北高 2-1 帝京高 バルコム]

 堅守速攻を武器とするチームは多いが、押し込まれる時間が多い中で勝つには、回数が少ない攻撃における最後の精度が必要になる。1得点1アシストでチームを勝利に導いたストライカーは、エースの役割を果たしてみせた。12月11日に行われたプレミアリーグプレーオフ。米子北高(中国1/鳥取)は、2-1で帝京高(関東2/東京)を破って、5年ぶりのプレミア復帰を決めた。

 2つの得点に関わったのは「ブロックの時間が長くなるのは分かっていたので、チャンスが来たら、それを絶対に決め切ろうと思っていた。この試合では自分が決めるという思いがあった」と話したU-17日本高校選抜のFW福田秀人(3年)だ。

 先制点は、試合開始80秒。左サイドのスローインを前方に放り込むと、FW森田尚人(2年)が下がりながらボールへ近づき、バックヘッドで前方へ反らした。すると福田(3年)がバイタルエリアへヘディング。走り込んできたMF仲田堅信(2年)がゴール右上へ蹴り込んだ。

 福田のヘディングは、勢い任せではなく、中央から前に出てきている仲田の動きを見て正確にコントロールしたものだった。その50秒ほど前、福田が左からのクロスをゴール上に外した場面もあり、チャンスのときこそ冷静さ、正確さが重要であると思い直したように丁寧なプレーだった。

 前半6分には、幻のゴールもあった。右からのクロスを受けたFW森田がシュート。ファーサイドへ転がったボールを福田が詰めたが、オフサイドでノーゴールとなった。「触っていなくても入っていたかなと思ったけど、ちょっと判断を間違えました」と振り返ったが、チャンスに必ず顔を出す勢いを感じさせるものではあった。

 自身で決めたのは、後半8分。カウンターアタックからラストパスを受けてゴール右上にシュートを決めて追加点を奪った福田は「ファーストタッチにこだわって、良いトラップができたので、シュートをしっかり決められた」と振り返った。ゴールを決めると、バックスタンドへ走った。

 隣県の鳥取県から部員120名で乗り込んだ米子北は、声出し応援可能となったバックスタンドから大声援を送ってホームゲームの雰囲気を作り出していた。今季もコロナ禍により、無観客開催や一般観戦禁止などが多く、声出し応援も禁止されていたため、初めて声援を受ける形となり、福田は「迫力があって、自分の力にもなった。スタンドにいる仲間に感謝しないといけない。自分が決めて喜んでくれている姿を見て感動した」と喜びを分かち合う高揚感に感激した。試合終盤、帝京に1点を返されたが、福田のゴールが決勝点となり、米子北が2-1で逃げ切った。

 5年ぶりのプレミア復帰は、下級生への置き土産であり、県リーグを優勝したBチームに17日から始まるプリンスリーグ中国参入戦へ出場権を与えるもの。チームに大きな財産を残したが、福田ら3年生には、まだ集大成の場が残されている。28日に開幕する全国高校サッカー選手権だ。

 夏のインターハイではベスト4。優勝した前橋育英高(群馬)にPK戦で敗れた。福田は「インターハイの悔しさもあるけど、ベスト8の壁があり、過去の最高成績なので、その壁を超える目標と、日本一を目指して頑張って来た。絶対に日本一になりたい」と、悲願の全国制覇にかける気持ちを表した。躍進には「パスを出したら絶対に決めてくれるFWだとチーム全員から信頼されるFWになりたい」と話すエースの活躍が欠かせない。堅守速攻を勝利につなげるフィニッシャーが、大仕事を果たしに行く。

(取材・文 平野貴也)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2022
●高円宮杯プリンスリーグ2022特集
●高円宮杯プレミアリーグ2022特集

TOP