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ユース取材ライターの川端暁彦氏と森田将義氏が選ぶ「東北新人11傑」

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川端氏、森田氏が「11傑」に選出したDF小泉佳絃(青森山田高2年)

 第22回東北高校新人サッカー選手権大会 (男子)は青森山田高(青森1)が2年ぶり9回目の優勝を飾りました。サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』元編集長で育成年代からJリーグまで幅広く取材する川端暁彦氏と関西を中心にジュニアから大学生、Jリーグまで精力的に取材する森田将義氏は例年と同じく“東北新人”全日程を取材。その両氏に“東北新人”で印象的なプレーを見せた11人を紹介してもらいます。

川端暁彦記者「雪国も多く含まれる東北地域の新人大会は『久々に思い切りサッカーができる』と喜ぶ選手たちの姿も毎年印象的です。今年もコンディションや試合勘に難のあるチームも少なくなかったものの、それを上回るモチベーションを感じさせてくれる大会でした。そんなトーナメントで地力の高さを見せた選手11人を森田記者と共同でピックアップしてみました」

森田将義記者「今シーズンの主役になれるだけの可能性を秘めた選手がたくさんいました。その中でもキラリと光る物を見せた選手をピックアップしました。またインターハイ、選手権で会えるのを楽しみにしています!」

以下、川端氏と森田氏が選出した11名

GK長谷川龍也(青森山田高2年)
北の大地からやってきた188cmの大型守護神は昨年まで県1部リーグを戦うCチームを主戦場にしていたが、最終学年を迎えAチームに昇格。怪我の鈴木将永に代わって、2回戦から出場機会を掴むと潜在能力の高さを感じさせるプレーで勝ち上がりを支えた。(森田)

DF小泉佳絃(青森山田高2年)
昨年はプレミアリーグでCBとして出場機会を重ね、自信を掴みながらも、選手権はアンカーで出場。「CBを取られた経験で、もっと頑張らなければと思えた」のは収穫で、本職に復帰した今大会は190cmの身長を活かした跳ね返しで圧倒的な存在感を見せた。(森田)

DF畠山哉人(遠野高2年)
今大会で大きな旋風を巻き起こした名門・遠野の主将。ディフェンスリーダーとして最終ラインを統率しつつ、「ポジション取りや予測で上回る」個人としての守備能力も披露。尚志撃破など躍進に貢献してみせた。(川端)

DF菅澤凱(青森山田高2年)
左SB、CB、右SBを自在にこなした守備の万能選手。「足元は得意」と自ら語る技術の高さと、「山田っぽい」とスタッフからも評されるファイターとしての資質を兼備。また「自分の売り」と言うセットプレーから4得点を叩き込んだ。(川端)

MF杉本英誉(青森山田高2年)
昨年シーズンの立ち上がりは度重なる怪我に苦しんだが、独特な感覚で相手の裏をとる巧みなドリブルはピカイチ。課題だった右足とスタミナを意識して挑んだ今大会はサイドから決定機を何度も演出し、決勝は全3得点に関与。MVP級の輝きを見せた。(森田)

MF昆野翔太(遠野高2年)
準優勝まで引っ張り上げた立役者であり、今大会最も評価を高めた選手だろう。主導権を握りにいく新しい遠野スタイルの象徴のような選手で、ぬかるんだピッチでもボールを運べるスキルの高さと、攻守両面での察知力が光った。(川端)

MF安齋悠人(尚志高2年)
見守るJクラブのスカウト陣も瞠目させたボールスキルの高さと突破力は雪解けのピッチでも光った。「抜くだけでなくパスもできるように」という言葉どおり、周りを使うプレーも覚えてより怖い選手になってきた。(川端)

FW池口遥葵(遠野高2年)
尚志を沈めた衝撃の2ゴールに加え、準決勝でもチームを救う値千金の同点ゴール。「もともと得意」と語るスピードを活かしたライン裏への鋭い飛び出しだけでなく、ゴール前での勝負強さも発揮。まさにエースの仕事だった。(川端)

FW渡邉陽路(聖光学院高2年)
ボディーバランスに長けた点取り屋。屈強なDFを苦にせずグイグイと進んでいく仕掛けは魅力十分で、初戦から3戦連続ゴールをマークした。青森山田との準決勝でも、持ち味を存分に発揮し、「自分としてもやれない相手ではないなと思った」と確かな手応えを掴んだ。(森田)

FW金子晴琉(学法石川高2年)
182cmの高身長と50mを6秒ジャストで走る俊足を備えた素材感溢れるストライカー。昨夏以降はCBでプレーした経験がプラスに働き、今大会は前線で輝きを放った。今季は「結果を残し、チームを勝たせられるような存在になりたい」と意気込む。(森田)

FW原田優汰(盛岡商高2年)
家長昭博に憧れる伝統校の10番の左足キックは東北でも屈指で、初戦のみのプレーとなったが、インパクトは十分。前線から中盤に落ちて、正確な展開でゲームを作りつつ、機を見て相手DFの背後へと飛び出す動きで、相手の脅威となった。(森田)

執筆者紹介:川端暁彦
 サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』元編集長。2004年の『エル・ゴラッソ』創刊以前から育成年代を中心とした取材活動を行ってきた。現在はフリーランスの編集者兼ライターとして活動し、各種媒体に寄稿。著書『Jの新人』(東邦出版)

執筆者紹介:森田将義
 1985年、京都府生まれ。路頭に迷っていたころに放送作家事務所の社長に拾われ、10代の頃から在阪テレビ局で構成作家、リサーチとして活動を始める。その後、2年間のサラリーマン生活を経て、2012年から本格的にサッカーライターへと転向。主にジュニアから大学までの育成年代を取材する。ゲキサカの他、エル・ゴラッソ、サッカーダイジェストなどに寄稿している。

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