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「頑張ってきて良かった」。大怪我乗り越えた青森山田DF多久島良紀が日本高校選抜で躍動中

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日本高校選抜DF多久島良紀(青森山田高3年)は左SBとして先発し、1ゴール1アシストの活躍

[2.12 練習試合 日本高校選抜 6-1 神奈川県選抜U17]

 大怪我を乗り越えたDFが、日本高校選抜で躍動している。DF多久島良紀(青森山田高3年)はこの日、本職のCBではなく、左SBとして先発出場。前半8分にCKの流れから縦に仕掛けて先制点を決めると、後半にはオーバーラップからアシストも記録した。

 ゴールについては「今回の合宿は点も取りたかったので。何としても取りたいというのがあった」と微笑む。2年時に青森山田“3冠世代”の左SBとしてインターハイ、プレミアリーグEAST制覇に貢献している多久島は、テストされたポジションでも堂々のパフォーマンスを見せた。

「SBもできた方が、幅が広がると思う。自分を磨く上でも良い機会だと思ったので、攻撃的に行こうと。きょうはいつも以上のパフォーマンスは出せたと思う」と振り返る多久島は、アグレッシブに前へ。球際の攻防で相手をねじ伏せるような強さを見せたほか、高い位置取りから一気にスペースへ飛び出すなど攻撃面での貢献度も高かった。

 チームがなかなか3点目を取れない中で迎えた後半10分、多久島はコンビネーションから一気に縦へ。「高い位置でボールを持って塩貝(健人)がいたんですけれども、『マイナス!』という声が聞こえたのでマイナスの選手を信じて出しました」。正確なラストパスをMF小池直矢(前橋育英高3年)が右足1タッチで決めた。

 前日の「NEXT GENERATION MATCH」(国立)では、後半開始からCBとして出場。多久島は21年11月に右ひざ前十字靭帯断裂の重傷を負い、優勝した21年度選手権はサポートメンバーに回っていた。連覇を目指した今冬の選手権は、国立競技場(準決勝、決勝、開幕戦の会場)目前の準々決勝で敗退。それだけに待望のピッチだった。

「前日から本当にワクワクして、前回も、今回の選手権も(国立には)出れなかったので、気持ちも高ぶって、最高の気持ちでできたと思います」。途中出場する難しさがあり、カウンターで背後を狙われるシーンも。失点もあったが、高さやビルドアップに加え、青森山田の全国タイトルの一因になっていたロングスローを披露するなど強みを表現していた。

「(ロングスローは)仲村浩二監督も『良い武器になる』と言っていたので、前日の練習からしっかりと合わせてやっていた。一つの武器になれば良いと思っています」。多久島は2年時の大怪我に加え、3年時の夏にも長期離脱を経験しているが、地道に努力を重ねてきたことが今に繋がっている。

「選手権悔しかったですけれども高校選抜に選出されて光栄ですし、全国から多くいる中で23人に選ばれている訳なので責任感もありますし、その中でプレーできている。(怪我で)苦しかったことも多かったですけれども、頑張ってきて良かった。サッカーは楽しいと思えるようになってきていますし、怪我は治ってきましたけれども、まだ再発だったり、他の部位の怪我のリスクも強度が上がるにつれて高くなっているのでしっかりと意識してやって、今までサッカーできなかった分、成長してさらに良い選手になっていきたい」

 最終18名に残って海外遠征を経験できれば、より成長して大学4年間をスタートすることができる。「(海外の選手相手に)自分の強みの対人やヘディングがどのくらい通用するのか楽しみですし、そこは負けるつもりはないので、そういったところにチャレンジしながら課題を少しでも見つけられたら良いので、まずはメンバーに入れるようにアピールしていきたい」。次は今月末に開幕するデンソーカップチャレンジ。CB、左SBで大学生と戦えることを証明し、海外遠征のチャンスを勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
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