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[新人戦]退場者出し、同点に追いつかれるも試合終了間際にエースが決勝点。好チーム・大社が米子北を下し、中国3位に

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後半33分、大社高の選手たちがFW岩田凌汰主将の決勝点を喜ぶ

[3.19 中国高校新人大会3位決定戦 大社高 3-2 米子北高 Balcom広島]

 公立の大社高(島根)が第15回中国高等学校サッカー新人大会(広島)で3位に食い込んだ。19日、3位決定戦で米子北高(鳥取)と対戦した大社は、退場者を出しながらも3-2で勝利。3位で大会を終えた。

 大社は後長直樹監督が「しっかり使って、公式戦を楽しまそうと。(また、夏冬の全国大会予選へ向けて)慣れさせておかないと」と狙いを口にしたように、今大会は4試合で登録30人中29人を起用。前日の準決勝はサブ組中心の構成にも関わらず、優勝校・高川学園高(山口)と0-1の接戦を演じて見せた。

 この日の対戦相手はプレミアリーグ勢の米子北。MF仲田堅信(2年)がU-17日本高校選抜活動中で、最終ラインの要であるCB石倉亜連(2年)を怪我で欠くなど、米子北は主軸数人が先発を外れていた。それでも、U-17日本高校選抜候補DF梶磨佐志(2年)らを擁した相手に対し、大社は主導権を握って試合を進める。

 前半4分、大社はMF栗栖伊吹(2年)が左中間から巧みな身のこなしでPAへ切り込み、左足シュート。ゴール前の混戦でこぼれ球を拾った注目エースFW岩田凌汰主将(2年)が奪い返しに来るDFを外し、右足シュートをゴールへ流し込んだ。

 幸先良く先制した大社は、俊足FW岩田や運ぶ力のある注目MF佐々木碧(1年)と栗栖のダブルボランチの技巧などを活かし、長短のパスで前進。左SB児玉晴(2年)の左足もアクセントに追加点を目指す。

 一方の米子北は、いずれもSBが本職の梶と樋渡蓮音(1年)をSHでテスト。樋渡がインターセプトから一気に前へ出る力を見せ、梶も縦への仕掛けからクロスを上げるシーンがあった。また、石倉不在の最終ラインでCB藤原壮志朗(2年)が非常に存在感のある動き。インターセプトを連発し、岩田との1対1を止め切って見せる。加えて、左右両足からの正確なキックも。大社は30分、児玉のロングパスで岩田が抜け出したが、米子北はGK岡田海琴(2年)が1対1をストップし、1点差で前半を終えた。

 その米子北は後半開始から3枚替え。主将のMF上原颯太(2年)と10番FW森田尚人(2年)をピッチへ送り出すと、3分、FW愛須隆聖(2年)の左FKに森田が競り、最後はこぼれ球をMF堀大夢(2年)が左足で決めて同点に追いついた。

 さらに、セカンドボールを上原中心に回収して攻撃に結びつけたが、大社が次の1点を奪う。10分、この日攻撃力を披露した佐々木が、右サイドからクロスを上げる。これをファーサイドでフリーのMF井上太陽(1年)がダイビングヘッドで合わせて2-1。だが、米子北は森田を中心に高さとパワーを持って反撃する。

 そして、21分、愛須のFKから折り返しを森田が左足シュート。ここまで守備の中心として奮闘していた大社CB山岡楽太郎(2年)が身体でブロックするが、手で阻止したという判定で米子北にPKが与えられ、山岡にはレッドカードが提示された。

 米子北はこのPKを森田が右足で決めて同点。大社は10人での戦いを強いられたが、後長監督が「今年は気持ちよいやつが多いです。(自分たちが)下手なことが分かって自主練でできることを増やしたりしている」というチームは受け入れてこの状況下でやるべきことを徹底する。

 そして、右SB野津瑠星(2年)がタックルを決めるなど相手に食い下がると、「(退場者が出た際に)自分たちがやることをやって絶対に最後は勝てるようにみんなで頑張ろうという話をしました」という主将が、劇的な決勝ゴールを決める。試合終了2分前の33分、大社は相手のビルドアップを敵陣でインターセプト。抜群のスピードを持つ岩田が佐々木のスルーパスで抜け出し、最後はGKをかわして右足シュートをゴールへ流し込んだ。

 この後、米子北の反撃を封じた大社がプレミアリーグ勢を撃破。大社は20、21年度と2年連続で選手権に出場したが、昨年は攻撃面で苦戦するなどプリンスリーグ中国で9位降格に終わり、全国大会出場を果たすこともできなかった。だが、今年は新人戦で島根制覇。中国大会でも登録のほぼ全選手が出場時間を得て、成長と結果も残した。

 今後へ向けて後長監督は「1個1個ですね」と語り、岩田は「(昨年全国に行けなかった)その悔しさは今年出ているメンバー全員持っているので、今年は絶対に勝たないといけない」ときっぱり。今大会、プリンスリーグ勢の就実高(岡山)、広島の強豪・広島観音高、そして米子北を破って力を示した好チームが、さらに力を磨いて全国舞台で躍動する。

(取材・文 吉田太郎)

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