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[ガバナー杯]春遠征不敗を続ける青森山田が長崎U-18に勝利も反省。「すぐに修正する力を」

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前半30分、青森山田高MF川原良介が先制ゴール。MF芝田玲と喜ぶ

[3.23 ガバナー杯兵庫ユースサッカー 青森山田高 2-1 長崎U-18 三木防災陸上]

 兵庫県のチームが県外の強豪を迎えて行う交流親善大会「ガバナーカップ兵庫ユースサッカー2023」が23日に開幕。オープニングゲームの青森山田高V・ファーレン長崎U-18の一戦は、2-1で青森山田が勝利した。

 10日のTOKINOSUMIKA CHALLENGEから始まった青森山田の遠征は、この日で13日目。5日間に渡って行われたサニックスカップで全国トップクラスのチームと対戦した影響もあり、正木昌宣監督は「そう簡単に疲れは取れない」と口にする。ただ、それを言い訳にしないのがこのチームの逞しさである。「身体が動かない状況でも、できることはきっとある。インターハイや選手権では必ず連戦があるので、きっちり戦おうと言っていた」(正木監督)。

 試合序盤は連戦の疲れと慣れない天然芝に苦しみ、自陣でボールを持てるものの、なかなか攻撃のスイッチが入らなかったが、選手たちがピッチの中で軌道修正。MF芝田玲(2年)は「前半の途中からそれぞれが前に出ようと意識した」と振り返る。縦を意識しながらも、上手く幅を使った攻撃を展開すると、前半20分には右サイドでボールを引き出した芝田のスルーパスから、FW米谷壮史(2年)がシュート。28分には右サイドからゴール前に入ったロングボールのこぼれから、MF杉本英誉(2年)がゴールを狙った。

 先制点が生まれたのは、30分。相手のクリアボールをDF小泉佳絃(2年)が高い位置で回収し、すぐさま前線にクサビを展開。米谷がダイレクトで右サイドに叩き、右サイドを駆け上がったDF小林拓斗(2年)がクロスを上げると、最後はファーサイドのMF川原良介(2年)が頭で合わせて、青森山田が先制した。直後の33分には小林のオーバーラップから右CKを獲得。杉本が上げたボールのこぼれ球を小林がダイレクトで打ち返し、リードを2点差に広げた。

 追い掛ける展開を強いられた長崎は後半開始と共にエースのFW七牟禮蒼杜(2年)を投入。七牟禮ら6選手は長崎が育成業務提携を結ぶドイツ、レバークーゼンU-19への武者修行を終えて、帰国したばかり。「持ち味は裏抜けだけど、ドイツでは個での勝負が大事だと感じ、強さでも勝負しなければいけないと思った」と口にする七牟禮の力強いボールキープから、サイドを攻め込み、相手エリアでの時間を増やした。反対に青森山田は後半6分に主将のDF山本虎(2年)がベンチに退いてからはゲームが落ち着かず、「後半にメンバーを代えてからは、余計に疲れてしまう展開になってしまった」(正木監督)。

 そうした青森山田の隙を長崎は逃さない。15分にはMF岩本悠也(1年)のスルーパスから、「上手く相手DFの視界から消えることができた」七牟禮がDFラインの背後を突破。前に出たGKを冷静にかわして、無人のゴールネットを揺らした。28分にはDF田橋征也(2年)が自陣から入れたフィードを七牟禮がおさめて、左に展開。MF宇佐川眞央(1年)がカットインからのシュートを狙うなど、敗れはしたが、長崎の流れのまま試合を終えた。

 春の遠征では負けなしを続ける青森山田だが、試合後の選手に笑顔は見られない。「上手くいかない時に自分たちで修正できる力がまだない。そこが今日の大きな課題。プレミアリーグを戦っていく中で、90分間ずっと良い試合なんてない。悪い時間帯にどこが悪いかをしっかり見極めて、すぐに修正する力を付けないといけない」と口にするのは芝田だ。「今日の後半は負けと捉えて良いようなゲームだったので、みんなに言い聞かせたい。プレミア開幕までガバナーの2試合しかないので、優勝という結果だけでなく、内容に拘っていきたい」。そう続けたように大会の残り2試合では内容でも相手を圧倒し、プレミアリーグでの好発進に繋げる。

(取材・文 森田将義)

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