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[MOM248]早稲田大MF中田航平(4年)_走りぬいたワセダのリーダー

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.11 関東大学リーグ1部第11節 早稲田大2-1中央大 西が丘]

 終盤、同点に追いつこうと必死の反撃を展開する中央大選手との距離を猛然と詰める早稲田大の背番号4。「身体能力はあまり高くない。でも体力は自信をもっているので、意識をしています。きょうは身体的にも調子が良かったので前半から飛ばしてプレッシャーをかけた。後半の最後も少しでも緩めたらやられると思っていた。より強く行きたいなと思ってプレーしていました」という主将、MF中田航平(4年=横浜FMユース)の運動量、守備面での高い貢献が早大の上位対決勝利につながった。

「今年の中で一番良かったかな、と。気持ち的にも凄くリラックスしていた」という中田。ダブルボランチの一角として先発した中田は前半からオープンスペースへ正確にボールを動かし、先制点の起点となるパスも出した。そして27分にはやや前方に位置していた相手GKの虚を突く自陣からの超ロングシュート。これはわずかにクロスバーの上方へ外れたが、「咄嗟に身体が動いた」中で相手に冷や汗をかかせるプレーも見せた。特に守備面では「自分は足元よりも運動量が持ち味だと思っている。そこは常に意識しながらボールを奪うことだったり、奪ったあとに攻撃に参加することを意識しながらやっている」と献身的にボールを追い、セットプレーのキッカーも務める攻撃面でも積極的にボールに絡んでいた。

 横浜FMユース時代の09年には全日本ユース選手権優勝。決勝で磐田ユースを7-1で沈めた“最強世代”の主将を務めていた。そして早大進学後は1年からベンチ入り。自身に対する期待も大きかったというが怪我が続き、2、3年ではポジションを奪取することができなかった。最上級生となり主将を務めることとなった今季の前半戦もベンチスタートが続いたが、「辛かったですけど、その中でもキャプテンとしてリーグ優勝したかった」。陰からチームを盛り立て、ライバルの怪我もあり出場機会を得ると、運動量を活かして攻守に貢献。その後ポジションを守り続けている。

 父は現在JFAアカデミー福島のU-18チームの指揮を執る中田康人氏。普段はなかなか会う機会はないが、サッカーについてのアドバイスをもらうこともある。「(今年の)春先、自分がスタメン奪われて悩んで悩んでという時に父親がゲームを観てくれて、何がいけなかったかというのをメールで凄く長文で送ってくれた。表もつくってくれて攻撃、守備はこういうプレーをした方がいいという話とかしてくれて、それが自分へのアドバイスとなって、実際に自分のパフォーマンスが上がったことにつながっていますね。(具体的には)ボランチとしての動き方や足が止まっているとか、こういう時に動いて、こういう時に受けるんだぞとか、そういうポジショニングだったりを教えてくれました」。自身が苦しい時に支えてくれたチームメートたち。そして父の存在、アドバイスも中田のプレーを向上させるきっかけになった。

 名門で主将を務めるプレッシャーはもちろんある。「歴史があるし、凄く重圧を感じたりもしている。でも、それがいい経験ですし、周りも取り組んでくれていますし、自分の手で関東リーグ優勝ができたら名前を歴史に残すことができる。楽しみながらやっています。(前半戦)自分はプレーを見せられなかったですけど、その分仲間たちが戦ってくれて、いい順位で後半戦を迎えられた。それで自分が出て後半戦失速したら自分のせいとなってしまう。前半戦よりいいゲームができるように心がけています」。本格的なサッカーは大学までと決めている。怪我で苦しんだ分も「残り短い時間で力を出し切らないといけないと思っています」と誓う主将が早大をリーグ戦、全国大会で勝利へと導く。

(取材・文 吉田太郎)
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