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[総体]鹿島入り杉本決勝アシスト!帝京大可児が村瀬劇的V弾で初の16強進出!

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[8.2 全国高校総体2回戦 帝京大可児 1-0 阪南大高 西南学院大学田尻グリーンフィールド]

 平成25年度全国高校総体「2013 未来をつなぐ 北部九州総体」サッカー競技は2日、各地で2回戦を行い、帝京大可児(岐阜)が交代出場のFW村瀬勇人(2年)の決勝ゴールによって阪南大高(大阪1)を1-0で下し、初の16強進出を果たした。帝京大可児は3回戦で國學院久我山(東京2)と対戦する。

 鹿島アントラーズ内定のU-17日本代表MF杉本太郎、清水エスパルスに練習参加している12年U-17日本代表MF三島頌平主将(ともに3年)を中心としたポゼッションスタイルで日本一を目指す帝京大可児が、劇的な勝利で2回戦を突破した。0-0のまま突入した後半アディショナルタイム、帝京大可児は村瀬と目が合ったという杉本が「村瀬は速くて、浮いたボールの処理が上手い」とDF間に浮き球のラストパス。「トラップすると見せかけて前に出た」という背番号16が絶妙なコントロールで身体ひとつDFの前に出て左足を振りぬく。これがゴール左隅へ吸い込まれて劇的な決勝ゴールとなった。殊勲の村瀬は「(杉本を)信じて走ったら出してくれた。あとは蹴りこむだけでした。嬉しいです!」。両手をいっぱいに伸ばして喜びを爆発させた村瀬はベンチ前でチームメートたちにもみくちゃにされていた。

 苦しい試合だった。序盤、帝京大可児はボールを動かすものの、全体的にその位置が低く、またミスもあってなかなか相手ゴールへ近づくことができない。一方の阪南大高は最終ラインから好フィードを連発していたCB南木健宏(3年)を中心に長めのボールを多用して相手を押し下げると、5分には右サイドから仕掛けたMF吉田恵人(2年)の折り返しを10番FW高橋佳(2年)がシュート。6分にもFW奥平翼(2年)からパスを受けた高橋がDFを外して決定的なシュートへ持ち込んだ。阪南大高は攻撃のテンポの悪い相手からボールを奪うと、フィジカルコンタクトの強さを発揮する高橋やMF松田吏王(3年)をポイントにチャンスをつくった。

 だが、帝京大可児は前半半ばごろから相手ダブルボランチの横のスペースに狙いを定めて攻撃のリズムを掴んでいく。アンカーを務める三島がプレスを巧みに外して前進。そして絶妙なパスで攻撃を活性化したほか、SBとの好連係で中盤を切り崩していく。またFW熊谷翔太朗(2年)のドリブル突破もアクセントにアタッキングゾーンから仕掛ける回数を増やしていく。17分には左サイドでDFを外した三島の左クロスからFW川瀬凌(2年)が決定的なヘディングシュート。32分には杉本の仕掛けからこぼれを拾った熊谷が右足を振りぬく。

 阪南大高はGK園良友樹(3年)の好守で凌ぐが、後半は前半以上に帝京大可児がボールを支配する展開。低い位置からのスルーパスをカットされるなど攻め切ることができていなかったが、ポゼッションと熊谷のドリブルなどによって阪南大高の体力を削り取っていた。阪南大高は終盤、膝に手をつく選手も出るほど厳しい戦いに。アディショナルタイム突入後の36分には交代出場のFW中尾孝吉(3年)がマークを外してシュートまで持ち込んだが、GK正面をついてしまう。逆に前半よりも高い位置でボールを動かしていた帝京大可児が37分に決勝点をもぎ取った。帝京大可児の榊原耕平監督は「(前半よりも前進できたのは)前がランニングしたということが一番ですかね。あとは中盤までちゃんとボールが運べているというところからのスタートだったので、ゴールに対して射程圏内に入れたということが一番ですね」と分析。終盤まで体力を落とすことなくスプリントを続けていた前線、チームの動きが最後の最後で1点をもたらした。

 全国大会では過去1勝が最高成績だった帝京大可児にとっては初の全国2勝。1年時に全国総体1勝を経験している三島は「期待されていたので、自分たちの代で結果を出そうと言っていたので、まずはこのインターハイで歴史を変えられて嬉しいです。ボールを持っている分、こっちの方が精神的にも楽。自分たちはボールを持って主導権を握って戦うというサッカーなので、主導権を握ってどんどん走らせてというサッカーが次も展開できるようにしたい」。3回戦の相手は同じくボールを保持して攻撃サッカーを展開する國學院久我山。帝京大可児は難敵以上に自分たちのサッカーを展開してまたひとつ歴史を塗り替える。

(取材・文 吉田太郎)
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