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[MOM231]東京学芸大MF茶島雄介(4年)_「ずっと夢だった」広島入り決めた司令塔が2点演出!

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.11 関東大学リーグ2部第7節 東京学芸大2-1拓殖大 味スタ西]

 8日に来季のサンフレッチェ広島入り内定が発表された東京学芸大の全日本大学選抜MF茶島雄介(4年=広島ユース)が、大学サッカー界屈指の技術を駆使してチームを勝利へ導いた。広島入り発表後、初めての公式戦。チームの後輩DFが「練習でも茶島クンからはボールが取れない」と語り、この日会場からも「茶島、上手いわ」という声が上がっていたが、東学大の10番は雨中でも抜群の存在感を放っていた。

「学芸とか2部の試合で簡単にボールを失っていたら、(プロ入りやその舞台で活躍すること)それはないだろと自分の中では思っている。去年の関東1部の時もそうだったんですけど、自分の中でのハードルは高く持って練習している部分はありますね」という司令塔は安定したボールコントロールで攻撃を組み立て、絶妙なアングルのスルーパス、ドリブルから決定機をつくり出した。

 そして2ゴールを演出。前半33分には楔に入ったMF佐々木陽次からの落としを「結構、自分の予想していないところに来た。でもそこでしっかり反応して前に出せたのは良かった」と動き直してからスルーパスを通し、先制点の起点となると、後半アディショナルタイムには左FKから「セットプレーの練習は毎試合やっている。練習どおりに蹴れた」と佐々木の決勝ゴールをアシストした。そして球際でも厳しいチェックを見せていたMFは「試合内容は満足のいくものではなかったですけど、結果が出て良かったと思います」と微笑んだ。

 登録168cmの小柄な技巧派は広島入りを強く願ってきた。「小さいし、高さもないし、身体も強くない」と語っていた広島ユース時代も司令塔として活躍。U-18日本代表候補にも選出されていたが、トップチーム昇格の夢はかなわなかった。だが東学大では下級生時から全日本大学選抜に選出されるなど、実力を認められてきた茶島は昨夏、広島に練習参加し、今年2月には“古巣”から獲得の意思を伝えられていた。そして発表前日にサイン。「本当に一番好きなクラブなんで、そこでサッカーやるのがずっと夢だったので、サンフレでサッカーができることは本当に嬉しいですね。小1から高3までずっと、全部をサンフレに育ててもらったので、その(広島に入りたいという)気持ちは強かったですね。(トップチームに昇格ができず)関東に出てきた時は、今まで出戻りの前例がなかったので、その時は自分の中でも厳しいんじゃないかと思っていて、関東のクラブに引っかかってやるぞという気持ちで来たんですけど、結果的に一番いい方向に来たので嬉しいです」

 常に自身にハードルを設定して、成長することだけを考えてきた。関東2部でも身体は小柄。それでも動きの中で的確にボールを扱い、早く判断してボールを出して、動いてを繰り返し、アシストだけでなく点も取ることのできる選手に成長してきた。だが、広島入りの決まった現在は危機感しかない。「成長するのは日々のトレーニングだと思っている。自分でハードルを下げずに高いものを求めてやっていかないといけない。今は危機感しかないですね。来年からは甘えのきかない世界だと思っている。大卒でも出れる選手と出れない選手がいる。それを見ると危機感しかない」と気を引き締める。

 それでも広島の毎試合を映像で確認し、自分が入ってプレーするイメージをつくりあげている。「今の段階ではサンフレッチェに入っても即レギュラーで活躍というのはイメージしづらいところがあるんですけど、毎試合見てボランチやシャドーのポジションでプレーするイメージをして、学芸の練習でも取り組んでいるので、そこで自分のプレーが出せれば十分にチャンスがあるんじゃないかと思います」と意気込む。支えてきてくれた人たちに広島で必ず恩返しすること。「(加入発表された後)凄いいろいろな方からコメントを頂いて、こんな自分を知って頂いていたのかと驚いている。決まったのは嬉しいんですけど、チームの力になれるように力を付け直して、(現在)大学でサッカーをやっていますし、応援して頂いたら嬉しいです」。この1年間、ひとつでも多くのハードルを乗り越えて憧れの世界へ飛び込む。

(取材・文 吉田太郎)
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