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[MOM818]真岡GK谷田部晃輔(3年)_「喜び過ぎず、悲しみ過ぎず」平常心の守護神が3連続完封

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.5 全国高校総体準々決勝 真岡0-0(PK8-7)滝川二 博多の森陸上競技場]

 PK戦8人目。止めれば勝利の決まる滝川二DF福田風太のシュートを右へ跳んでストップした真岡GK谷田部晃輔(3年)は、静かにセンターサークル方向へ歩き出した。一般的にPK戦でシュートを止めて勝利を決めたGKは、歓喜を爆発させながらチームメートの下へ走り出す印象があるが、真岡の背番号1は明らかに違う態度。満面の笑顔で駆け寄ってきたチームメートたちに祝福されている間もわずかに表情を緩めただけだった。

 試合後もベスト4へ進出した興奮はほとんど見られず、平常心のまま。「監督とか、チーム全体とも、ここまで来ていて勝っても、負けても、『喜び過ぎず、悲しみ過ぎず』というのがあったし、実際に自分は(PK戦で)7本決められている。5本目までに(勝利を)決められていれば違った喜び方もあったかもしれないですけど。7、8本目まで行ってキッカーにも迷惑をかけている。みんなが決めてくれたからこっちにも(止める)チャンスが来た」。ヒーローはむしろ、自分自身の不甲斐なさを悔しがっていた。

 それでも谷田部の貢献度は大きかった。CB柿沼俊祐主将はCB大塚勇気や谷田部の好守によって相手に1点も与えなかったことを勝因に挙げていた。立ち上がりから決定的なピンチが何度もあった真岡だが、谷田部は相手のアーリークロスを出足のいい守りで弾き返し、ディフェンスラインの背後へのボールもケア。「かなり押し込まれていて、実際に危険な場面もあった。そこで決められなかったことは(自分たちにも)チャンスがあるということなので、そこはディフェンスラインとすぐに話し合って修正するようにして、流れを切れるようにした」。攻めこまれても冷静さを失わなかったGKは枠へ飛んできたボールも安定したセービングで封じ続け、そしてPK戦では最後の最後に大仕事。チームを救う70分間とPK戦だった。
 
 守護神は周囲への感謝も忘れなかった。「全国決まって応援してもらっているのもある。先輩たちもここで頑張ってもらいたいということで、お金出してくれたり、メールとかで応援してくれたりしているので、期待に応えたいなと思っていました」。多くの支えによって躍進を続けられていることを感謝。準決勝では優勝候補の流通経済大柏(千葉)と対戦するが、自分のできることをするだけだ。そして応援してくれている人たちのためにも、真岡の快進撃がフロックではないことを証明する。「ここで大量失点したらこれまでの試合も“メッキ”だったと思われるんで、締めていきたいと思います」。現在3試合連続無失点。V候補の強力攻撃陣の前に真岡の背番号1が立ちはだかる。

(取材・文 吉田太郎)
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