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[総体]立ち上がりの猛プッシュから前半5発!市立船橋が強さ見せつけて4強進出!

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平成25年度全国高校総体
「2013 未来をつなぐ 北部九州総体」サッカー競技(福岡)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.5 全国高校総体準々決勝 市立船橋5-0帝京大可児 博多の森陸上競技場]

 5日、平成25年度全国高校総体「2013 未来をつなぐ 北部九州総体」サッカー競技準々決勝が行われ、最多7回の優勝を誇る市立船橋(千葉1)が前半の5得点によって帝京大可児(岐阜)に5-0で快勝。強さを見せつけて正智深谷(埼玉2)と対戦する準決勝へ進出した。

「精神的なピークをこのタイミングに持ってきている。選手も精神的なピークを持ってこれたので、前半立ち上がりから上手く行ったのかなと思っています」。朝岡隆蔵監督はそう振り返り、日本高校選抜CB磐瀬剛主将(3年)は「前よりも立ち上がりが良くなっている。立ち上がりからどんどんゴールヘ向かうようにしている」と頷いた。休養日明けの準々決勝をターゲットに集中してきた市立船橋は、立ち上がりから凄まじい勢いで相手をプッシュし、2得点。その後も効率よく加点して前半の5ゴールで試合を決めた。

 相手の出方を見るのではなく、立ち上がりでリズムに乗る、一気に試合を決める。その意識はチーム全体に浸透していた。それがまず現れたのが開始2分にMF藤井拓(2年)が見せたドリブル突破だ。ボランチの藤井は右中間でボールを持つと、相手のプレスが緩いと見るや虚を突くドリブルでその守備網を切り裂いていく。「基本的にそういうタイプではないですけど、彼の判断の中で、あそこでパスを探さずに仕掛けていったのは彼の素晴らしい判断だったと思います」と指揮官も絶賛した好プレー。これで一気にゴールライン際まで切れ込んだ藤井が左横へつなぐと、FW横前裕大(3年)がすぐさま中央へ折り返し、飛び込んできたMF室伏航(3年)が右足で先制ゴールを流し込んだ。

 さらに5分、市立船橋は加点する。中央でボールを受けたエースFW石田雅俊(3年)がターンから前進すると、素早いシュートモーションから右足のトゥーキックでグラウンダーの一撃をゴール右隅へ叩き込む。J注目のFW石田が抜きん出た得点力を示す一撃を決め、市立船橋はわずか5分で2点のアドバンテージを得た。

 帝京大可児もポゼッションから鹿島内定のU-17日本代表MF杉本太郎(3年)のスペースへの飛び出しなどで反撃しようとする。だが素早いプレッシャーでボールを奪い、ダイレクトのショートパスを連続で通すなど攻める市立船橋は22分に3点目。左SB山之内裕太(3年)がPAへ飛び出した横前へ絶妙なアーリークロスを送ると、横前が右足ダイレクトのループシュートでゴールヘ沈めた。ショートパスでの攻撃が続きベンチから「ダイナミックに」という声が上がった直後のプレー。左足の好キックでゴールを演出した山之内は「自分は結構ああいう形が得意。この形が増えてくれば相手の脅威になるかなと思っていた。中も攻めて、外も攻める。中がダメだったら外、外がダメだったら中。それを上手く使い分けているからこういう(5-0という)結果が生まれたと思う。(多彩な攻撃によって)誰にマークをつければいいか、相手も分かっていなかったと思います」

 帝京大可児にとっては意気消沈しそうな展開だったが、今大会で初の8強入りを果たした新鋭も会場を沸かせるシーンをつくる。26分、杉本のアングルのつけたパスから左SB長尾圭祐(3年)がクロス。これに右SB西川達也(3年)が決定的な形で飛び込み、27分には右FW上野椋介(3年)が相手の逆をとって右中間を縦に切れ込みラストパスを送る。ただ追撃することができなかった帝京大可児を市立船橋は容赦なく突き放す。31分、左サイドへ開いた横前が入れ替わるようにPAへ飛び込んだ石田へラストパスを送ると、石田が左足シュートを叩きこんで4-0。さらに33分には左CKから藤井が自ら放ったシュートのこぼれ球を頭で押し込んで前半で勝負の行方を決定づけた。

 後半、帝京大可児は決定的なピンチを迎えながらもGK一法師崇人(2年)の好守に支えられて何とか追撃を試みようとする。だが12年U-17日本代表MF三島頌平主将が中盤で相手選手を剥がし、杉本の鋭いターンからの攻撃や上野の2本のシュートも得点にはつながらず。一方の市立船橋は疲労の色が濃くなった終盤、明らかに運動量が低下。足が止まり、シュートやパス交換が雑になってしまっていたが、それでも前半の大量リードによって3年ぶりとなる4強進出を決めた。

 今大会、初の3勝を挙げて勢いに乗っていた相手を立ち上がりの集中攻撃で怯ませ、試合をコントロールしながら相手に隙ができたところを逃さずにゴールを陥れる。後半には課題も残したが、十分に強さを見せつける5-0での4強入り。横前が「みんなチャンピオンしか狙っていない。気持ちはひとつになっています」という頂点まであと2勝に迫った。

[写真]前半33分、市立船橋はMF藤井がダイビングヘッドで5点目

(取材・文 吉田太郎)
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