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5月以来の出場を果たした仙台DF上本「リーグ戦じゃなくてよかった」

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[8.8 ナ杯準々決勝第2戦 F東京2-0仙台 味スタ]
※2試合合計4-2でF東京が勝利

 チームは敗れたものの、90分フル出場したベガルタ仙台のDF上本大海には、安堵感もあった。「自分にとって不甲斐ない復帰戦でした。90分間プレーできたこと。収穫はそれくらいですね」と悔しさを口にしたが、5月19日の名古屋戦(4-0)で負傷して以来、初めて公式戦のピッチに立てた喜びも、その表情からはうかがえた。

「とにかく楽しくサッカーをしたい」という思いでピッチに立ったと言うが、やはり久しぶりのプレーということで、違和感もあったようだ。「FC東京のサッカーに付いていけない部分があり、焦りもありました」と明かしつつ「でも、その焦りをパワーにして乗り越えました」と、振り返る。

 試合を終え、周囲は彼のヒザの状態を気にしていた。だが、「最後の方は、コンニャク状態でした。力が入らなくて」と、苦笑する上本が気にしたのは、自身のヒザの状態よりも、ピッチ内での戦い方だった。

「もう少しチーム全体で前から守備にいかないと、強いチームには勝てない。今日は点を取らないといけなかったこともあり、少し空回りしていた面もあったと思う。でも、もう少し一人ひとりがどういう風に戦うかを考えながらやらないといけない」と言い、この敗戦を、きっかけにしないといけないと続けた。

「勝って次につなげることも大切ですが、負けないと課題は出てこない。引き分けが続いていたときに『また引き分けか』と言いながら、問題が曖昧になっていた部分もあったと思う。けれど、今日は負けたので、チームを見直す機会になったと思う。これが(現在首位に立っている)リーグ戦じゃなくて良かったし、リーグ戦では強いチームに勝てるように、今日の敗戦をつなげないといけない」

 勝利、そしてタイトルをサポーターに届けたい。ケガをしたことで、その想いがより強くなったと上本は言う。

「ケガをした選手、戦列を離れた選手に、サポーターの声がより届くんだなって、すごく感じました。僕は大きなケガをしたのは初めてだったのですが、本当につらいリハビリも、みなさんの声があったから乗り越えることができました。今度はピッチの中で勝利を挙げて、サポーターのみなさんと喜びを分かち合いたいと思います」

 ナビスコ杯はベスト8での敗退が決まった。だが、頼れるDFが戻ってきた一戦は、リーグ戦で首位に立つ仙台にとって、喪失感だけが残るような試合ではなかったはずだ。

(取材・文 河合拓)

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