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先制点を挙げたF東京 MF石川「3度目を獲りたい」

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[8.8 ナ杯準々決勝第2戦 F東京2-0仙台 味スタ]

 取り組んできたことの成果が出た一発だった。後半36分、MF米本拓司からのロングボールが前線に送られる。最終ラインと駆け引きをしたMF石川直宏は、このボールに素早く反応した。ゴールマウスを飛び出したGK林卓人より一瞬早く石川が蹴ったボールは、高く舞いあがった。「打った瞬間から『入れ、入れ、入れ!!』と思っていました」と笑顔を見せる石川のシュートは、その願いどおりにベガルタ仙台のゴールネットを揺らした。敵地で2-2のドローをつかんでいたFC東京が、大きく準決勝進出に近づいた瞬間だった。

「相手が少し高いラインを引いていましたし、裏っていうのは僕だけではなく、出しての米本も含めて狙っていました。チーム全体の裏への意識は非常に良かったと思います。(今日は)足元のつなぎもしっかりできていたし、裏への飛び出しもできていたので、バランス良く攻撃できていたのかなと思います」と、石川は先制点を振り返り、チームの攻撃についての手応えを語った。そして、米本のパスが絶妙だった、と話す。

「良いボールでしたね。グラウンドも悪かったんですけど、うまく止まってくれた。あれくらい(長いパス)だったから、GKも『反応しないといけない』と考えたと思うので、僕にとっては良いボールでしたね」

 今シーズンの開幕直後から、石川は最終ラインの背後でボールを受けることを意識していた。オフサイドに引っかかる回数も多かったが、相手の最終ラインとの駆け引きをやめることはなかった。すべてはチームメイトとの呼吸を合わせるためだったという。

「僕の動き方もそうですが、オフサイドを取られることが前半戦は多かったと思います。でも、僕の飛び出すタイミングがあるので。そのタイミングに合わせてほしかった。オフサイドになっても僕が続けることで、周りが僕のタイミングを理解してくれると思ってやっていました。中でボールをキープしている(長谷川)アーリア(ジャスール)だったり、ヨネ(米本)だったり、(梶山)陽平だったりに、常に顔を上げてくれと思っているんです。顔を上げてくれたら、僕はそのタイミングで走れる。ヘッドダウンしていると僕自身も走れないので。そういう意味では、ここ最近、みんなが顔を上げてプレーしているシーンが増えているから、僕も動きやすいです」

 これで優勝した09年以来となる4強入りを果たした。石川は自身とチームにとっての3度目のナビスコ杯制覇に、強い意欲を見せる。

「これまでに2度、ナビスコ杯のタイトルを獲っている中で、3度目を獲りたい気持ちが非常に強いですね。個人的に一度はケガで試合に出られなかった経験もしているので、あの(決勝の)ピッチに立ちたいというモチベーションは非常に高いですし、その舞台に立つためにも、準決勝も勝ちたいですね」

 どうすれば点を取れるか。その形をしっかりとイメージし、取り組んできた男の目は、はっきりと3度目の聖杯獲得を見据えている。

(取材・文 河合拓)

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