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[大学MOM70]明治大MF田中恵太(3年)_“努力の人”が無敗進撃の推進力に

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.15 関東大学1部第7節 中央大 0-3 明治大 西が丘]

 「彼は“努力の人”。系列校(明大中野高)からの入学で、当時はボクも含めて誰も知らないような選手だった」と明治大の神川明彦監督が説明する背番号19、MF田中恵太(3年=三菱養和SCユース)がこの日、首位決戦を制して無敗を守った指揮官がマン・オブ・ザ・マッチに指名したプレーヤーだった。

 本来は個人で仕事をしてのけるドリブラー。だがMF山田大記主将(4年=藤枝東高)やMF小林裕紀(4年=ヴェルディユース)らタレント揃う明大の中盤でレギュラーとして起用されている理由は、惜しみないフリーランニングと守備での貢献にある。この日は自身が得意だと分析する縦パスへのサポートを欠かさず、そこからドリブルで切れ込みPAへ進入。また守備面でも、相手の快足SB佐藤秀行(4年=塩釜FCユース)との1対1をストップするなど勝利への貢献度は大きかった。

 そして技でも「魅せる」。1-0の後半43分には「あれは“してやったり”。相手の裏を取る動きができていて、それを鹿野(崇史)さんがしっかり見てくれていた」と右サイドでパスを引き出すと、バランスを崩した相手DFを鮮やかに抜き去り、走りこんだ小林へ折り返す。これを小林が左足でゴールへと沈めて勝利を決定付ける2点目が生まれた。

 チームを勝利に導いたMFも高校時代に在籍していた三菱養和SCユース(東京)では「出たり出なかったりの選手だった」という。それが高校時代に年代別日本代表だった選手や、全国大会で活躍してきた選手たちが居並ぶ大学日本一軍団・明大でレギュラーを張っている。シーズン序盤に力を発揮できなかったこともあり「日々危機感を感じています」と苦笑するが、献身的な姿勢を貫くMFは現在のところ、指揮官の評価とチームメイトからの厚い信頼を勝ち取っている。

 自身の技だけでは試合に出ることができないことを田中自身も知っている。「(明大は)みんな技術が高い。自分は動きの質と量を求められている。以前も(ボールを持てば)1人は外せる自信があったけど、レベルが上がると難しくなる。ただ、それができなくても走ればいいと。(実際現在は)ボールをもらう前の動きでDFを外すことができるようになってきている」。

 ただし、さすがはアタッカー。運動量だけでの貢献だけでは「足りない」と感じている模様。「前(攻撃的MF)で使ってもらっているので得点に絡まなければいけない。ゴールは意識していきます」。“努力の人”はレギュラー死守とフィニッシャーとしての「魅せる」活躍も誓っていた。
 
(取材・文 吉田太郎)

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