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栗原先制もPKで失点…両チーム退場者出し日本はオーストラリアとドロー

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[6.12 W杯アジア最終予選 オーストラリア1-1日本 ブリスベン]

 W杯アジア最終予選は12日、第3節を行い、日本代表はアウェーでオーストラリア代表と対戦し、1-1で引き分けた。後半10分にオーストラリアのDFミリガンが退場。数的優位に立った日本は後半20分、最終予選初先発となったDF栗原勇蔵の2戦連発弾で先制したが、同25分にPKで追いつかれる。後半44分には栗原が2枚目の警告で退場。そのまま1-1で試合終了となり、3連勝はならなかったが、敵地で勝ち点1を獲得し、6月の3連戦を2勝1分で終えた。日本は次節、9月11日にホームでイラクと対戦する。

 日本は8日のヨルダン戦(6-0)で右膝内側靭帯を痛めたDF吉田麻也が欠場。代わってDF栗原勇蔵が最終予選初先発を飾った。体調不良のため前日11日の練習を休んだDF今野泰幸も先発出場。栗原以外はこれまでの2試合と同じメンバーとなった。
 オーストラリアは8日のオマーン戦(0-0)で出番のなかったFWティム・ケーヒルが先発。FWキューウェルがベンチスタートとなった以外はオマーン戦と同じ先発で臨んだ。
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 試合開始早々の前半1分、ホームのオーストラリアがいきなりチャンスを迎える。ケーヒルの左クロスをMFウィルクシャーが落とし、エリア外からDFカーニーがボレーシュート。前半5分にはMFブレシアーノのボールキープから右サイドを駆け上がったDFノースの折り返しをFWアレックスがヒールで落とし、MFバレリが左足ミドルで狙った。いずれも枠を大きく外れたが、シンプルに放り込み、パワーで日本守備陣をこじ開けようとするオーストラリアが立て続けにチャンスをつくった。

 前半6分、自陣からDFオグネノフスキが放り込んだロングボールをケーヒルが前線でキープ。鋭い切り返しで栗原をかわし、左足を振り抜いた。GK川島永嗣が鋭い反応で弾くと、オーストラリアはセカンドボールをつなぎ、今度はウィルクシャーが右サイド角度のない位置からシュート。これもゴールの枠を捉えていたが、またも川島がビッグセーブを見せた。

 日本は前半8分、MF遠藤保仁の縦パスを受けたMF本田圭佑が素早く反転し、左足を振り抜く。強烈なシュートにGKシュウォーツァーは思わずボールを前にこぼしたが、DFがクリア。このプレーでCKを獲得すると、遠藤のショートコーナーからMF長谷部誠の左クロスにFW岡崎慎司が頭で合わせたが、ゴール前でワンバウンドしたシュートはゴール右に外れた。

 オーストラリアは前半13分、ブレシアーノがDFミリガンと交代するアクシデント。ミリガンはそのままボランチの位置に入った。それでも、抜群の跳躍力とフィジカルの強さを見せるケーヒルが立て続けにチャンスを演出。前半17分、ノースの右クロスから栗原に競り勝ちヘディングシュートを放つと、同20分にもロングボールを頭で落とし、DFニールの折り返しにアレックスが詰める。ゴールは目の前だったが、アレックスのシュートは何とかDF内田篤人が体に当て、こぼれ球を栗原が倒れながらクリア。決定的なピンチも守備陣が体を張ってしのいだ。

 しかし、ケーヒルの脅威は変わらない。前半22分にはカウンターから抜け出そうとしたケーヒルを後方から引っ張ってしまった栗原にイエローカード。なかなか自分たちの形を出せない日本は前半27分、長谷部がミリガンからボールを奪ってドリブルで駆け上がる。しかし、ラストパスを受けたFW前田遼一のシュートはDFのブロックに阻まれた。逆に同29分には長谷部のパスミスからボールを奪ったアレックスを倒してしまった今野に警告。アジア3次予選から累積2枚目のイエローカードを受けた今野は次節9月11日のイラク戦が出場停止となる見通しだ。

 オーストラリアのパワーを前面に押し出したサッカーにも徐々に対応し、試合はこう着状態に入る。日本は少しずつパスが回り出したが、なかなか決定機は生まれず。前半43分には本田、FW香川真司とつないで、オーバーラップした内田が一気にPA内まで進入したが、シュートはゴール上へ。前半は0-0のまま折り返した。

 後半に入ると、徐々に日本ペースの時間帯が増えていく。後半7分にはゴールほぼ正面の位置でFKを獲得。本田が左足で直接狙ったが、壁に当たった。すると後半10分、オーストラリアは日本のPA内で内田に対しファウルを犯したミリガンが警告を受ける。この日、2枚目のイエローカード。残り35分のところで退場者を出し、日本が数的優位に立った。

 10人のオーストラリアを押し込む日本は細かくパスをつないでチャンスをうかがうが、最後のところでかみ合わない。なかなかフィニッシュまで持ち込めず、後半16分には波状攻撃から最後は岡崎の左クロスに前田が飛び込んだが、GKへのファウルを取られた。

 ケーヒルが下がり気味に中盤もカバーし、穴を埋めるオーストラリアは後半19分、MFマッケイに代えてFWルカビツヤを投入。そのまま中盤の左サイドに入った。

 すると直後の後半20分、日本がセットプレーからついにオーストラリアゴールをこじ開ける。右CKのチャンスに本田がショートコーナーで長谷部につなぎ、リターンパスを受けると、ゴールライン際をドリブルで突破。折り返しをファーサイドの栗原が右足で押し込んだ。

 ヨルダン戦に続く栗原の2試合連続ゴールで先制した日本。しかし、この直後にまさかの展開が待っていた。後半23分、オーストラリアの左CKのチャンス。ウィルクシャーがゴール前に上げたボールはGK川島が弾いたが、ボールとは関係ないところで内田がアレックスを抑えていたとして主審の笛が鳴る。PKの判定に日本の選手は抗議するが、内田にはイエローカード。内田も累積2枚目で9月11日のイラク戦は出場停止となる。

 後半25分、オーストラリアはこのPKをウィルクシャーがゴール正面に決め、1-1の同点に。日本は同28分、内田に代えてDF酒井宏樹を投入し、最初のカードを切った。4万189人が押し寄せたスタジアムのボルテージも一気に高まり、オーストラリアの選手を後押しする。後半32分にはCKのこぼれ球からオグネノフスキが右足でシュートを狙うと、クロスバーを直撃。10人のオーストラリアが完全に息を吹き返した。

 日本は後半33分、DF長友佑都の左クロスから香川がヘディングシュートを狙うが、ミートせず、GKがキャッチ。同34分、再びオーバーラップした長友から香川がパスを受け、PA内に仕掛けたが、左足のシュートはGKに防がれた。後半41分には岡崎に代えてFW清武弘嗣を投入。数的不利の相手に対し、最後まで勝ち越しゴールを目指した。

 ところが、後半44分、栗原がアレックスを倒したとしてこの日2枚目の警告を受け、退場処分。土壇場で10人対10人の数的同数となった。このプレーで与えたウィルクシャーの直接FKはGK川島が好セーブ。後半47分には香川に代わってDF伊野波雅彦がピッチに入り、栗原の穴を埋めた。結局、試合はそのまま1-1で終了。互いに譲らず、勝ち点1を分け合った。

(取材・文 西山紘平)

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