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PK戦を制したイタリアが、ベスト4最後の切符をつかむ

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[6.24 EURO準々決勝 イングランド0-0(PK2-4)イタリア キエフ]

 EURO2012(欧州選手権)は24日、準々決勝の4日目を行った。今大会初のPK戦にもつれた一戦は、00年大会以来3大会ぶりの4強進出を目指すイタリアが、イングランドをPK戦の末に4-2で下して準決勝進出を決めた。前半から攻勢に試合を進めたイタリアは、多くのチャンスをつくったが得点を挙げることはできず。延長後半も人数を掛けた攻撃でイングランドゴールに迫ったが、120分間ゴールを挙げられなかった。結局、試合は0-0のまま勝敗の行方はPK戦にもつれ込む。両チーム、1人ずつが失敗して迎えたイングランドの4人目、DFアシュリー・コールのシュートをGKブッフォンが止めると、イタリア5人目のMFディアマンティが決めて、イタリアが勝利した。イタリアは28日の準決勝でドイツと対戦する。

 グループステージ第3戦のウクライナ戦(1-0)で、FWルーニーの出場停止処分が解けたイングランドは、布陣に変更はなし。伝統の4-4-2で、この一戦を迎えている。

 一方、グループステージで3バックと4バックを併用したイタリアは、MFデ・ロッシを本来の中盤で起用する4-4-2を採用した。しかし、グループステージの第3戦のアイルランド戦(2-0)で負傷したDFキエッリーニ、MFチアゴ・モッタはベンチでキックオフを迎え、代役としてDFボヌッチ、MFモントリーボが先発に名を連ねた。また、FWバロテッリも2試合ぶりにスタメン出場を果たしている。

 今大会、「まるでイタリアのようだ!」と守備的な戦い方が、不評を買っているイングランドは、この試合の立ち上がりも中盤と最終ラインの8人がブロックをつくる慎重な戦いぶりを見せる。対するイタリアは、キックオフからアグレッシブにプレスを仕掛けた。2分にはデ・ロッシが左足で放ったシュートが左ゴールポストを叩き、イングランドゴールを脅かした。

 いきなり、あわやのピンチをポストに助けられたイングランドも、これで目が覚めたのか、5分に反撃に出る。右サイドからパスをつなぎチャンスをつくると、ゴール前に侵入したDFグレン・ジョンソンがゴール前でフリーになって、シュートを放つ。しかし、これはブッフォンが落ち着いて防ぎ、得点を許さなかった。

 これを機にイングランドは左右から積極的に仕掛けて、チャンスをつくり出す。12分には再び右からグレン・ジョンソンがチャンスメーク。クロスはブッフォンにパンチングされたが、こぼれ球をMFパーカーが拾ってシュートを放ったが、右に外れて行った。15分にもグレン・ジョンソンのクロスにルーニーがヘッドで合わせたが、これも枠を捉えることはできなかった。

 押し込まれたイタリアが、鋭いカウンターを見せたのは25分だった。MFピルロのロングボールをバロテッリが最終ラインの背後を取って、ループシュートを狙った。しかし、戻ってきたDFテリーにブロックされて、チャンスを生かせない。32分にもバロテッリはイングランドDFラインの裏に入り込み、ボレーシュートを放ったが、シュートはマンチェスタ・シティでのチームメイトであるGKジョー・ハートにキャッチされた。

 33分にはイングランドのマンチェスター・ユナイテッドでもコンビを組む2トップがゴールに迫る。ルーニーとのワンツーからFWウェルベックがイタリアゴールを狙ったが、シュートをふかしてしまった。

 37分には見せ場の少なかったFWカッサーノもミドルシュートでゴールを狙ったが、コースが甘くGKハートにしっかりと抑えられる。41分にもイタリアはピルロがPA内右のカッサーノに柔らかいボールを入れる。カッサーノが頭で折り返したところにバロテッリが詰めたが、寸前でDFにクリアーされた。互いに多くのチャンスをつくった前半は、0-0で終了。

 前半61%のボール支配率を誇り、相手の3倍となる12本のシュートを放ったイタリアは、後半も最初にチャンスをつかむ。3分にゴール前でデ・ロッシがボレーシュートを打ったが右に外れて行った。後半7分にもイタリアは猛攻を見せる。デ・ロッシのミドルシュートをハートが弾くと、バロテッリが詰める。これもハートが弾くとモントリーボが詰めたが、シュートは枠の上を越してしまう。同15分にもバロテッリはテリーを背負いながらも高く浮いたボールを胸でトラップし、オーバーヘッドシュートを狙ったが、得点にはつながらない。

 押し込まれているイングランドは、後半16分に一気に2人を交代して流れを変えようとする。MF ミルナーとウェルベックを下げて、MFウォルコットとFWアンディ・キャロルがピッチに入った。

 後半20分には途中交代の2人がチャンスをつくる。右からウォルコットが折り返したボールを、ゴール正面でアンディ・キャロルがDFと競り合い、こぼれたボールをヤングが狙ったが、DFにブロックされた。同32分にもMFジェラードのFKにルーニーが飛び込んだが、合わせられず。ゴール前に飛んだボールはブッフォンがキャッチした。

 後半33分にはイタリアも最初の交代を行う。カッサーノを下げて、MFディアマンティが起用された。さらに35分にデ・ロッシに代えてMFノチェリーノを送り出す。36分にはディアマンティがミドルシュートでゴールを狙ったが、これもハートにキャッチされた。44分にはノチェリーノがPA内でロングボールを受けて、シュートを放ったが、グレン・ジョンソンがブロックした。

 後半ロスタイムにイタリアは、DFアバーテを下げて、DFマッジョを起用し、交代枠を使い切った。ロスタイム4分にはイングランドもアシュリー・コールが左サイドを攻め上がり、クロスを入れる。ファーサイドでアンディ・キャロルが折り返し、ルーニーがオーバーヘッドで狙ったが、シュートは枠の上に外れて行った。このまま90分をスコアレスで終えた両チームは、今大会初の延長戦を戦うことになった。

 延長前半4分、イングランドはパーカーを下げて、MFヘンダーソンを送り出し、交代枠を使い切った。イタリアは1トップ気味になったバロテッリにボールを集めると、バロテッリはやや遠くからでもシュートを狙うが、ゴールは決まらない。同11分にもディアマンティのクロスが、ゴール前に流れて左ポストに嫌われる。

 105分を終えて得点の入らない試合は、延長の後半を迎えた。イタリアは最後の力を振り絞り、イングランドゴールに迫る。延長後半8分にはDFバルザレッティの折り返しを、ディアマンティが狙ったが、シュートは枠外へ飛ぶ。延長後半10分にはディアマンティが縦へ突破し、ゴール前にクロスを入れる。これをノチェリーノが合わせてゴールネットを揺らしたが、オフサイドと判定されてゴールは認められない。このまま120分は0-0で終了し、ベスト4最後の切符はPK戦で決着をつけることとなった。

 先行のイタリアは、1本目をバロテッリが決める。対するイングランドも、キャプテンのジェラードがゴール左に決めて1-1。イタリアの2人目のキッカーを務めたモントリーボは、ゴール左にシュートを外してしまう。イングランドの2人目のルーニーはブッフォンの逆を突き、後攻のイングランドが2-1とリードした。イタリアの3人目を務めたピルロは、フワリとボールを浮かせるチップキックを決める。続くイングランドの3人目、ヤングは右足を思い切り振り抜いたが、シュートはクロスバーを叩き、3人目を終えて2-2となる。イタリアの4人目のノチェリーノは、GKの逆に決める。イングランドは4人目にA・コールがキッカーを務めたが、シュートは右に飛んだブッフォンにキャッチされてしまう。イタリア5人目のキッカーとなったディアマンティが冷静にシュートを決め、イタリアが3大会ぶりの4強進出を決めた。


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