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[大学MOM47]中央大FW新田圭(3年)_悪夢の1年振り払う復活弾

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[大学サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.20 第58回全日本大学選手権1回戦 中央大 2-0 中京大 NACK]

 今年一年間、誰より苦労をしてきたストライカーが全国大会初戦でついに復活した。中央大のFW新田圭(3年=桐光学園高)は昨年の全日本大学選手権決勝で同点ゴールを決め、大会優秀FWに選出されたストライカー。そのFWは0-0の後半25分、ゴール前でMF柴橋浩太が相手GKと競ってこぼれたボールにいち早く反応。左足でゴールへと押し込んだ。

 「久々すぎて。本当にヤバイです」と何度もかみ締めるように語った新田。それだけ思いのつまったゴールだった。昨年度の全国大会の活躍により、自信を深めていた新田にとって、3年生として迎える今季は「将来へ向けた勝負の年」という位置だった。
 関東リーグではチームのエース候補として開幕戦から4戦連続先発出場。だが、その新田を悪夢が襲う。5月に右鎖骨を骨折し、3ヵ月のリタイア。さらに回復途上で折れた骨が接合しないという信じられないような症状が重なり、右手を使えば「再骨折で手術、再離脱」という不安を抱えたままプレーしなければならなくなった。

 「周りからも自分の存在を忘れられていた」悔しい日々。それでも11月に「奇跡的に」骨が接合し、再び全力でプレーできるようにになった。ただ「勝負の年」と位置づけていた09年は、1月の大学選手権決勝のゴールを最後に、公式戦で1ゴールも奪えないまま12月を迎えていた。

 今大会にかける思いは引退のかかった4年生と同等、もしくはそれ以上のものがあるのかもしれない。後輩FWの負傷により、この日先発のチャンスを得た新田は「やるしかない。きょう結果を出さなければいけない」と走り回った。久々の先発ということもあり前半はチームになじめなかったが、後半にその得点感覚を発揮。苦戦していたチームを救う先制ゴールを決めた。

 「きょうはもっと取らないといけなかった。まだまだ。今大会は1試合1点獲る」。まだ、自分に納得はしていない。約1年ぶりのゴールはあくまでスタート。悪夢の1年間を振り払った新田は、復活弾をこれから自分とチームの未来を切り開くための足がかりとする。 

(取材・文 吉田太郎)

特設:大学選手権09

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