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[MOM114]浜松大FW大石明日希(1年)_“無印ストライカー”が決勝ロスタイムヘッド弾

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.18 全日本大学選手権1回戦 北海道教育大岩見沢校2(延長)3浜松大 平塚]

 ドラマの主役となったのは1年生FW大石明日希だった。延長後半3分から途中出場すると、同ロスタイム、やや長めのFKに身体能力を生かして飛び込んだ。頭部てっぺんに当たり「決まるとは思わなかった」そうだが、囲まれたDF陣より頭一つも二つも高く舞い、土壇場で3-2と勝ち越すミラクルゴールを生んだ。

 「ほんと感覚で行きました。入ってよかった。いつもFKではターゲットになるけど、こういうゴールを決めたのは初めて。めちゃくちゃ嬉しいです」

 大石は笑顔を振りました。呼ばれた瞬間、役割は分かっていた。長澤和明監督に「決めてこい」とだけ言われた1年生は、がむしゃらにゴールだけを目指した。「正直、きょうの雰囲気とか、試合展開を見てて、ちょっと厳しいなと思った」と出場することに気弱になっていたそうだが、いざピッチに立つとFWの本能にスイッチが入る。きっちりとゴールを決めるあたりは、1年生ながらベンチ入りしている実力通りだ。

 実は入団早々、レギュラーをつかんでいた。「島田工業という無名の学校からだけど、身体能力が高く、個人能力は高かった」と長澤監督が明かしたが、持ち味のスピードと体のバネを活かして東海大学リーグの前期では、2トップの一角に君臨した。しかし、悪夢と“若き才能”にありがちな落とし穴があった。腰を痛めて調子が落ちた上に、長澤監督によると、レギュラー定着で「鼻が伸びてしまった」。後期リーグでは控えに回り、出番が減った。だが、「最近は努力することに目覚めた」(長澤監督)ようで、今大会はベンチ入りを果たし“スーパーサブ”の座をつかんだ。

 背番号10で司令塔のMF安間ム月(4年)とセンターフォワードの高嶋淳(4年)の大黒柱が、それぞれ右足第5中足骨骨折と左足首負傷のため万全ではなく、この日もベンチスタートだった。それだけに大石がこのゴールで勢いに乗ると、次戦23日の筑波大戦が楽しみとなる。

 「持ち味は空中戦とドリブルです。この大会でいい経験をしたい。またゴールを取れるように頑張りたい」と大石。サッカーを始めてから自身初となる全国舞台。筑波大はかなりの強敵で、再びベンチスタートの可能性が高いが、勝てない相手ではない。もちろん名前の“明日希”の通り、浜松大に明るい希望を見出すつもりだ。ラッキーボーイは再び“おいしいとこ取り”を狙う。

[写真]決勝ヘッドを決めた大石。左は表情で右はそのシーン※合成

(取材・文 近藤安弘)
第59回大学選手権特集

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