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[MOM118]筑波大DF今井純(2年)_目指すは中澤佑二。“急造CB”から本格CBへ

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.18 全日本大学選手権1回戦 筑波大1-0立命館大 平塚]

 FWや中盤のタレントに注目が集まる筑波大だが、この日チームを救ったのは背番号28のDF今井純(2年)だった。序盤から中盤のパスミスが目立ち、攻めているのに突然カウンターを食らうというDFには苦しい試合だった。そんな中、1-0の後半36分に絶体絶命のピンチを作られたが、冷静な今井が魅せた。

 横パスをつながれ、最後は前グルノーブルの清水FW伊藤翔の弟で、途中出場の立命館大MF伊藤了(3年)にDFラインを割られた。そして飛び出したGKの頭を抜く柔らかいシュートを打たれた。誰もが目をつぶりそうになった瞬間、今井が戻り、ラインぎりぎりでクリアした。これが決まっていれば勝敗の流れが確実に変わっていただけ大きなプレーだった。

 「ぎりぎりでしたね。クリアできてよかったです。予測してた? GKの三浦くんが前に出たので、対応しないといけないと思った。三浦くんならうまくコースに入るだろうなと思っていたので(カバーのエリアが分かった)。守備に回る時間が多かったけど、DFとしては1点も入れられずに勝ててよかった」

 まさに“1点もののビッグセーブ”。チーム全体で露呈したパスミスの面では今井も反省していたが、DFとして無失点に封じたことは満足そうだった。このプレーだけなく、この日は主将のDF須藤壮史(4年)とともに最終ラインに鍵をかけた。カウンターを食らったが、粘り強く跳ね返した。守備陣の勝利だともいえる。

 「まだまだ周りの選手についていってる感じです。ほんと最近、試合に出られるようになったばかりで……」

 “シンデレラ・ボーイ”というと大げさだが、今井は今秋まではBチームの選手だった。それも昨年まではサイドバックで、今年からCBに転向した。居残り練習や目標とする日本代表DF中澤佑二(横浜FM)の出ている試合のDVDを見て“CBのイロハ”を研究した。そんな努力が実り10月にAチームに昇格し、リーグ戦のベンチ入りから先発出場、そしてこのインカレと着実に地位を築いている。左足のフィードと1対1の強さが武器だと自負しているが、あまりに“とんとん拍子”で、本人はどこか評価されてレギュラーに抜擢されているか、整理しきれていないというほどだ。

 だが、気後れするつもりはない。名門・筑波大の一員として、何よりBチームの仲間たちのためにも-という思いがある。「ずっとBチームだったので、トップの試合に出られて光栄です。他の部員の気持ちを背負ってるので、下手なプレーはできないです」と今井は言い切った。 まだまだ“伸びしろ”があり、日々成長できるセンターバック。“急造CB”から中沢のような本格派CBへ。今井はこの大会でさらに経験を積み、心技体を磨きあげる。

[写真]前線にフィードする今井。チームの危機を救う守備を見せた

(取材・文 近藤安弘)
第59回大学選手権特集

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