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PK戦の死闘制す!!ザックジャパンが宿敵・韓国を下し2大会ぶり決勝へ

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[1.25 アジア杯準決勝 日本2-2(PK3-0)韓国 アルガラファ]

 ザックジャパンがPK戦を制し、2大会ぶりの決勝進出を決めた。日本代表は25日、アジア杯準決勝で韓国代表と対戦。前半23分、DF今野泰幸が与えたPKをMFキ・ソンヨンに決められ、先制を許したが、同36分にFW前田遼一のゴールで追い付いた。
 1-1のまま延長戦にもつれ込んだ激闘は延長前半7分、MF本田圭佑のPKがGKに弾かれたボールを途中出場のMF細貝萌が押し込み、2-1と勝ち越す。ところが、延長後半15分、セットプレーからこぼれ球をDFファン・ジェウォンに押し込まれ、2-2の同点。まさかの展開でPK戦に突入したが、ここでGK川島永嗣が2本セーブする活躍を見せ、PK3-0で勝った。宿敵を破り、29日の決勝進出を決めた日本は次回15年大会の予選免除となるシード権も獲得した。

 DF吉田麻也が出場停止の日本はDF岩政大樹が今大会初先発。右SBではDF内田篤人が出場停止から復帰し、それ以外のメンバーは21日の準々決勝・カタール戦(3-2)と同じだった。
 韓国はDFイ・ジョンスが出場停止で、代わってDFチョ・ヨンヒョンがCBに入った。システムは日本と同じ4-2-3-1で、2列目は右からイ・チョンヨンク・ジャチョルパク・チソンと並び、1トップに19歳のFWチ・ドンウォンが入った。
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 試合は静かな立ち上がりを見せた。高い位置から積極的にプレッシャーをかけてくるかと思われた韓国はブロックをつくって日本の攻撃を迎え撃つ。日本は中盤をコントロールし、主導権を握って相手陣内へ攻め込んだ。

 立て続けにセットプレーのチャンスをつかみ、前半3分、MF遠藤保仁の右CKに合わせた岩政のヘディングはゴール左へ。同7分には遠藤のショートコーナーからDF内田篤人が右クロスを上げたが、FW岡崎慎司のヘディングシュートも左へそれた。

 前半15分過ぎには両チームが決定機を迎える。韓国は前半16分、左サイド角度のない位置からのFKをMFキ・ソンヨンが直接狙うと、GK川島永嗣の弾いたボールをイ・チョンヨンがヘディングシュート。これはゴールライン上でDF今野泰幸が何とかクリアした。

 日本は前半17分、MF本田圭佑とのパス交換から遠藤が鋭いスルーパス。左サイドを抜け出したDF長友佑都のクロスに岡崎が頭で合わせたが、GKの手を弾いたボールは右ポストに跳ね返り、惜しくも得点とはならなかった。

 試合は意外な形で動く。前半22分、韓国は自陣からのロングフィードにパク・チソンが反応。PA内に飛び出すと、今野が肩で当たりにいったプレーがファウルを取られ、韓国にPKを与えてしまう。これをキ・ソンヨンが落ち着いてゴール左に決め、韓国が先制点を奪った。

 1点ビハインドとなった日本はさらに攻撃の枚数を増やし、同点ゴールを目指す。前半26分、MF香川真司が右サイドにスルーパスを通し、フリーの内田がクロス。逆サイドのMF本田圭佑がヘディングで合わせるも、GKの正面だった。

 前半34分にはチ・ドンウォンのドリブル突破から岩政がかわされ、ピンチを招くが、長友がカバーに入る。守備では不安定さも見せる日本だが、前線のFW前田遼一、本田圭が起点となり、効果的にサイドを突き、チャンスをうかがった。

 すると、前半36分、狙い通りの形で試合を振り出しに戻した。本田圭のスルーパスから長友がDFチャ・ドゥリの背後を取り、ドリブルでPA内に切れ込む。マークを引き付け、マイナスに折り返したところに前田が詰め、倒れ込みながら右足でゴールネットを揺らした。

 1-1の同点に追い付き、勢い付く日本は前半38分、本田圭が強烈な左足ミドル。同39分には内田の右クロスから本田圭がヘディングシュートを放つもゴール上に外れた。同44分にも決定機をつくり、香川とのワンツーから本田圭がマークを引き付け、鋭い縦パス。ゴール正面でフリーの前田が胸トラップから右足を振り抜いたが、ゴール上に外してしまった。

 前半はそのまま1-1で終了。日本ペースと言える内容で45分を折り返した。後半立ち上がりは中盤のせめぎ合いが続く一進一退の攻防となり、韓国は後半16分、左サイドを抜け出したチ・ドンウォンがドリブル突破。縦に仕掛けて岩政をかわし、ゴール前に折り返すと、走り込んだク・ジャチョルが左足で狙ったが、シュートはゴール左へ外れた。

 韓国は後半21分、チ・ドンウォンに代えてDFホン・ジョンホを投入。ホン・ジョンホがアンカーに入る4-1-4-1にシステムを変更し、ク・ジャチョルが1トップの位置に入った。バイタルエリアで起点をつくる本田圭を封じるための対応とみられ、中盤を厚くし、2列目からの飛び出しでチャンスを狙った。

 後半27分には遠藤のファウルから韓国がゴール正面、絶好の位置でFKを獲得するが、MFイ・ヨンレが左足で狙ったキックはわずかにゴール右へ。我慢する時間の続く日本は同34分、MF長谷部誠の縦パスを受けた岡崎が絶妙なトラップから前を向き、左足でシュート。しかし、これはGK正面を突き、同35分に本田圭の左クロスに合わせた岡崎のヘディングもゴール上に浮いた。

 守備の安定しない日本は後半36分、連係ミスからピンチを招く。ロングボールがPA内でワンバウンドすると、岩政と川島が重なり、ボールがこぼれる。ゴール前にパク・チソンが詰めたが、川島が何とかボールを抑えた。

 韓国は後半37分、イ・チョンヨンがベンチに下がり、FWソン・フンミンがそのまま右サイドに入る。日本も同42分、この試合初めての選手交代を見せ、香川に代えてMF細貝萌を投入。韓国と同じ4-1-4-1にシステムを変更し、遠藤がアンカーに入り、本田圭が右サイド、岡崎が左サイドに回った。

 結局、試合は1-1のまま90分間を終え、延長戦に突入。延長前半6分、韓国はDFイ・ヨンピョの左クロスにク・ジャチョルが合わせるもゴール右へそれる。すると、その直後、本田圭のスルーパスに反応した岡崎がDFファン・ジェウォンに倒される。前半22分に今野がPKを与えたときと同じようにボールとは無関係に肩で止めに行ったプレーをファウルと取り、判定はPK。ペナルティーエリアぎりぎりの判断だったが、日本に運も味方した。

 キッカーは本田圭。左足で狙ったキックはコースが甘く、GKのセーブに阻まれたが、こぼれ球に細貝が猛然と詰め、左足でゴールに叩き込む。2-1。日本がついに逆転に成功し、勝ち越した。

 追い込まれた韓国は延長前半13分、DFチョ・ヨンヒョンに代えてFWキム・シンウクを投入。ホン・ジョンホがCBに下がり、キム・シンウクとソン・フンミンが2トップを組む4-4-2にシステムを再変更した。

 一方の日本は延長前半ロスタイム、前田に代えてDF伊野波雅彦をピッチに送り込む。岩政が最終ラインの中央に入り、右に伊野波、左に今野が位置。両SBの内田と長友も自陣深くに引き、5-3-2の守備的布陣で逃げ切りを図った。

 怒涛の反撃を見せる韓国だが、延長後半2分、ソン・フンミンの左足ミドルはゴール右へ。体を張って韓国の猛攻を跳ね返す日本は延長後半12分、長谷部に代えてMF本田拓也を投入。3枚目のカードを切ると、このまま2-1で勝利かと思われたが、韓国は延長後半15分、FKからゴール前で混戦となると、ソン・フンミンのシュートのこぼれ球をファン・ジェウォンが左足で蹴り込む。劇的な同点ゴールで2-2となり、試合はPK戦にもつれ込んだ。

 先攻の日本は1人目の本田圭、2人目の岡崎がともに成功。後攻の韓国は1人目のク・ジャチョル、2人目のイ・ヨンレが立て続けにGK川島のビッグセーブに阻まれる。日本は3人目の長友がゴール上に外したが、韓国の3人目、ホン・ジョンホもゴール右へ外した。日本の4人目は今野。これを落ち着いてゴール右に決め、PK3-0で日本が死闘を制した。

(取材・文 西山紘平)

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