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[MOM145]早稲田大FW小井土翔(4年)_「90人の部員のために」決めたPK

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.8 総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント関東代表決定戦Cブロック決勝 駒澤大0-1早稲田大 流通経済大G]

 PKを決めた瞬間、FW小井土翔(4年=千葉U-18)はベンチではなく、スタンドへ一目散に走り出した。その先には応援に駆けつけたチームメイトの姿。「PKに関しては自分個人というよりも90人の部員のためにも取って、全国行きを決めたかった」。強い思いを胸に決めたゴールを、まずはベンチに入ることのできなかった仲間と喜んだ。

 自ら獲得したPKだった。スコアレスで迎えた後半24分、左サイドでのゴール前混戦。迷いなく放ったシュートが相手MFの手に当たり、相手は一発退場。駒澤大が判定に異議を唱え、このタイミングで早稲田大のGK赤堀勇太(4年=磐田ユース)がスパイクを取り替えたため、試合は約4分間中断した。その間も早稲田の選手たちは「気持ちを切らすなよ!」と声を掛け合った。そして試合が再開。緊迫した状況で迎えたPKを小井土が冷静に右足で決めた。

「今までは個人個人と自分のことしか考えてなかったが、チームのみんなのことを考えてプレーするようになった。試合に出ている自分はプレーでみんなに恩返しがしたい」

 これまでも泥臭いプレーが持ち味だったが、この日はより献身的なプレーが目立ち、強引にシュートに持ち込むよりも下級生をサポートする動きが多かった。そして、サポートに回りながらもチャンスは見逃さず、果敢にシュートを狙っていった。ゴールへの貪欲さは健在だ。シュートへの迷いのなさが、この日のPK獲得にもつながった。

「4年生がスタメンに3~4人しかいないので、下の代をどう引っ張っていくかは課題」。下級生を引っ張りながら、3年ぶり16回目の夏の大学日本一決定戦へ。「いざというところでは個人でも打開したい」と小井土は力強く意気込んだ。

(取材・文 片岡涼)
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連載:大学マン・オブ・ザ・マッチ

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