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[MOM150]関西学院大MF梶川諒太(4年)_JデビューMFが変化示すスーパーゴール

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8・7 天皇杯兵庫県予選準決勝 関西学院大2-0バンディオンセ加古川 三木総合]

「変化」を示すスーパーゴールだった。0-0の後半8分、関西学院大のMF梶川諒太(4年=関西学院高)が敵陣中央から右足を振りぬく。強烈な一撃はゴール左ポストを直撃し、まるでピンボールのように弾かれたボールは勢いそのままにゴールへと吸い込まれた。会場にどよめきの声もあがったスーパーゴール。梶川は「打っていこう、と言われていたので狙ったけれど、あんなミドルで入ったことないです」と苦笑いだったが、「シュート意識を高めることが自分自身にとっても課題。思い切って打って入った。これまではああいう場面でラストパスのことばかり考えていたけれど、シュートも出せることがわかったし、ふたつを使い分けることができる」と自信を深めた様子だった。

 チャンスメーカーから試合を決めることのできる存在へ。「4回生になって自分の考えが甘いことがわかった」と意識の面から変えてきたと言う背番号7をJの経験も後押ししている。7月21日にJFA・Jリーグ特別指定選手として東京ヴェルディに登録されたMFは、7月31日の大分戦で早くもJデビュー。後半37分からの8分間プレーした。東京Vの川勝良一監督も「落ち着いてプレーしていたね。彼はうちらしい選手。小柄だけと、技術が高い。使い続けたい? 向こう(大学)との兼ね合いもあるけど、そうですね」とその動きを高評価していたが、大学生でJデビューした実力をこの日改めて証明した。

 名門・関学大で下級生時から出場機会を得てきた、技術で違いを生み出すことのできる選手だ。この日もバイタルエリアで再三ボールに絡み、決定機を演出した。前線からの守備によって敵陣でインターセプトし、自らシュートへ持ち込む場面もあった。ミスのない正確なテクニックに加え、スピード、判断力、そして運動量も大きな武器。その実力者は大学在学中ながらも、周囲より一足早くJデビューを果たした。プロ入りへ向けて順調に歩みを進めている。ただ本人は「プロサッカー選手を目指してやってきて現実的に近づけてきている。でも満足してしまったら終わり。(プロの舞台でやることを)意識しながらやっていかないといけない」。164cm、58cmと小柄な身体。Jで得た経験もあり、自分の武器をより高めていかなければ生き残っていけないと理解している。そのためにも現状に満足せずにさらなる高みを目指す。

 この後は一週間の予定で再び東京Vに合流。「Jで出れたことは自信になった。でもまだまだボールをもらってからの判断ミスが多い。向こうでできれば大学で余裕を持ってやれると思う。次の一週間、成長できるように頑張る」と誓う一週間で再び成長し、天皇杯本戦でのJ1撃破、大学日本一を目指すチームに戻ってくる。まだ全国的には無名の存在。ただ「ミスの少ないプレーとチャレンジする姿勢を見てほしい」と話す梶川がこれからJの舞台で、そして関学大でその名を全国に知らしめる。

(取材・文 吉田太郎)

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