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[大学MOM_10]慶應義塾大MF織茂敦(4年)_“影”の司令塔

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[大学マン・オブ・ザ・マッチ]

[5.3 関東大学サッカー1部第5節 早稲田大 1-1 慶應義塾大 西が丘]

 中盤の華麗なパス回しからゴールを連発する慶應義塾大。アンカー役として、後方からその攻撃をコントロールしていたのがMF織茂敦(4年=國學院久我山高)だ。中盤の底の位置で先発した早稲田大もミスのないパフォーマンスは際立っていた。「ここまでの5試合で一番プレッシャーがなかった」中盤でボールを持つと巧みなボールコントロールから大学屈指の中盤を形成するMF中町公祐(4年=高崎高)やMF河井陽介(2年=藤枝東高)、そしてサイドへと展開。この日ややミスもあった前線がボールを失っても、献身的にボールを拾い再び攻撃をスタートさせていく。その動きにイ・ウヨン監督も「今日の試合でひとりを挙げるとしたら織茂。雰囲気があった」と高評価していた。

 10番のMF中町とトップ下・河井との中盤のトライアングルは爆発な得点力を発揮している慶大の生命線。ゴール、アシストと決定的な仕事をする両MFに対し、どちらかというと前に出るタイプではない。決して目立たないが、素早い判断から的確なパスでボールを捌く背番号6の存在はチームに欠かせない。攻撃の芽を摘み、そして相手の隙を見逃さないドリブル、ミドルがこの日も相手の脅威となった。だが、1-1での引き分けに「ミスもあってボケていた部分がある。入学してから早慶戦では一度も勝ったことがなかったので強い気持ちで勝ちたいと思っていた。相手に負けている気はしていない。負けに等しい引き分けです」と悔しがった。

 國學院久我山高(東京)卒業時にはJクラブからのオファーもあったほどサッカーセンス抜群のMF。それでも「何が何でもプロになりたいと固執していなかった」と当時2部だった慶大への進学を決めた。「慶應に入ったときの目標が1部に上がること」。昨年、中盤の軸のひとりとしてチームを2部優勝へ導き、念願だった1部でのプレーする機会を大学最終年で得ている。
 開幕4試合で14得点を挙げるなど、1部復帰1年目ながら猛威を振るっているチームの中心にいる今季。「1部でこんなに戦えている。充実している」と笑顔を見せた。

 開幕前は就職活動でなかなか練習に参加できなかったが企業の内定を獲得し、サッカーに専念。J入りのチャンスがあれば懸けてみたいという気持ちもある。その中で目標は「サッカーをやってきてこれまで日本一になったことがないので日本一になりたい。チームはその目標を掲げていないですけど、可能性はあると思う。リーグ戦で勝ち点を重ねてインカレで日本一になりたい」と力をこめた。

(取材・文 吉田太郎)

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