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Jを目指せ! by 木次成夫

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第143回「“群雄割拠”北信越1部 JAPANサッカーカレッジが首位で折り返し!」
by 木次成夫

北信越リーグの“Jリーグを目指す”クラブにとって、“JFLを目指す”JAPANサッカーカレッジは、“大きな壁”です。

[JAPANサッカーカレッジとは?]
“アルビレックス新潟のアマチュア育成組織”でもある専門学校で、校名と同じ名称のJAPANサッカーカレッジ(以下JSCと略)がトップ・チーム。以下、CUPS聖籠(北信越2部)、NIIGATA  J.S.C(新潟県1部)、SEIROU2002(県2部)、FORTUNA CUPS(県3部A)、CUPS 03(県3部B)……。

トップチーム(JSC)は、03年に北信越リーグ昇格を果たし(当時は1部リーグ制)、同年優勝。以降、04年=2位、05年=2位、06年=優勝、07年=3位、08年=2位と、JFL昇格に向けて“あと一歩”の連続。北信越と“全国レベルの”JFLでは、学校のPR効果が大きく違うでしょうから、Jリーグ・トライアウトなどにも参加して、選手を勧誘するのも理解できます。

今季6節(5月24日)終了時点で上位4チームの順位は

1位=JSC(勝ち点16、5勝1分)
2位=長野パルセイロ(同14)、
3位=松本山雅(同13)、
4位=ツエーゲン金沢(同10=1試合未消化)……

▼5月31日
北信越1部7節 
長野パルセイロ 1-1 JSC

[JSCスタメン]
GK、諏訪雄大(23歳、前・アルビレックス新潟。昨季はレンタル移籍で、今季は完全移籍)
右SB、長谷部彩翔(19歳=今季加入、前・アルビレックス新潟)
CB、フィッツジェラルド・マイケル(20歳=今季加入、前・アルビレックス新潟)
CB、山澤誠広(23歳=今季加入、前・駒澤大学)
左SB、渡辺圭二(25歳=今季加入、前・名古屋グランパス)
MF(ボランチ)、本田真吾(21歳=今季加入、前アビスパ福岡)
MF(ボランチ)、麻生 瞬(24歳、昨季はCUPS聖籠に所属)
MF、田村洋平(23歳=今季加入、前・流通経済大学)
MF、池川修平(19歳、静岡学園高校)
MF、山本真也(24歳、前・神戸広陵高校)
FW、宇野沢祐次(26歳、前・アビスパ、元・柏レイソル)

[得点経過]
50分 1-0
(パルセイロ=FW藤田 信)
*FK→ヘディング・シュート

60分 1-1
(JSC=FW宇野沢祐次)
CK→ヘディング・シュート

[試合総括]
観客=1349人(雨天)。共に得点は“セットプレーがらみ”ながら、パルセイロの「人もボールも(スムーズに)動く(ことが多い)」サッカーに、質という点では“地域リーグの頂点”を実感した試合でした。シュート本数はパルセイロ=14本(前半6本、後半8本)に対して、JSC=6本(前後半各3本)。パルセイロのシュート精度が低かったというよりは、JSCのGK諏訪が大健闘。ちなみに、パルセイロの得点を決めたFW藤田(25歳)はJSC出身で、在学時はリーグMVP、得点王に輝いた実績があります。現在は病院勤務とサッカーを両立させている点も、学生たちの勉強になったと思います。

JSCはスタメンのうち元Jリーガー6人(うち宇野沢を除く5人は昨季までJリーガー)。相対的豪華な布陣ながらも、パルセイロに比べると、チーム完成度がイマイチ、つまり、発展途上。主将の宇野沢(加入2年目)いわく「自分たちの“つなぐ”リズムでサッカーができた時間帯もありましたし、今年のチームは、ちょっとした“きっかけ”で、激変する可能性があると思います」。

[北信越1部7節、他試合の結果と順位]
ツエーゲン金沢 0-1 松本山雅(観客=1254人、曇り)
グランセナ新潟 3-2 ヴァリエンテ富山
サウルコス福井 3-0 上田ジェンシャン

首位=JSC(勝ち点17)5勝2分
2位=山雅(同16)5勝1敗1分
3位=パルセイロ(同15)4勝3分
4位=ツエーゲン(同10)3勝2敗1分=1試合未消化
5位=サウルコス(同9)3勝3敗=1試合未消化
6位=グランセナ(同6)2勝5敗
7位=ジェンシャン(同4)1勝1分5敗
8位=ヴァリエンテ(同0)7敗

ツエーゲン対サウルコスは6月7日開催。

[今年の国体は新潟県開催]
JSC選手たちにとって、今季は地元、新潟県開催の国体(国民体育大会)優勝も目標のようです。宇野沢いわく「昨年(大分県開催)は1回戦で宮崎に負けましたが、今年(の国体)に向けて、チーム強化してきたと聞いています」。

従来の国体“文化観”では「なるほど」という感じですが、アルビレックス新潟に次ぐ県内のクラブ・チームはグランセナ新潟(北信越1部)だという現状を考慮すると、この際、卒業生の進路(受け皿)という点で、「同校学生、卒業生、一般アマチュア」が集える市民クラブをJSC主導で作る策もアリではないかとも、思います。県内には、新潟経営大学、新潟医療福祉大学など「サッカー強化」をしている大学もありますし、例えば、同校のある聖篭町の近隣で、国体サッカー競技の開催地でもある新発田市に――。

[専門学校、大学、社会人]
地域リーグには、専門学校チームだけでなく、大学の“セカンド・チーム以下”が所属しています。例えば、阪南大クラブ(関西1部)、中京大FC(東海1部)、クラブ・ドラゴンズ=流通経済大学の“サード・チーム”(関東1部)。「より多くの選手にプレーする場を提供する」という配慮は理解できますが、では、なぜ、“トップ”だけ大学リーグで、“セカンド以下”は社会人リーグなのか? 例えば、専門学校、大学などを含めて、社会人リーグに一括したら、何か問題があるのでしょか? Jリーグから順にレベル別にリーグ構成したほうが、学生選手も自分の実力を把握しやすい上に、進路決定の参考にも、なるのでは?

もし、「教育としての学生サッカー」という趣旨を優先したいのであれば、

1.すべての大学リーグで、同一大学の全チームが大学リーグに所属できるようにする。
2.専門学校チームの希望しだいでは、大学リーグに参加できるようにする。

など、再編策は“ある”のでは? 

[追記:アルテ高崎“大健闘”中]
パルセイロ対JSCの前日、つまり30日は、JFL13節のアルテ高崎対TDKを見ました。結果は、2-2。アルテは3位から4位に落ちたとはいえ、依然、“ミラクル”です。2得点を決めて、得点ランク1位になった久保田圭一(24歳、前・流通経済大学)はキレまくり。“再チャレンジの場”としてのクラブがあることの重要性を再認識しつつ、出番が少ない若手Jリーガーのために新たな大会を創設するよりも、JFLや地域リーグ所属クラブへのレンタル移籍を奨励した方が得策では? と思いました。

▼Jリーグを目指すクラブの動向

・東北リーグ1部
6節(5月31日)
秋田カンビアーレ 1-2 グルージャ盛岡(昨季優勝)
福島ユナイテッドとグルージャが勝ち点16(5勝1分)で並び、得失点差で福島Uが首位。

・北信越2部
7節(31日)
新潟医療福祉大学 0-1 アンテロープ塩尻 
*首位=テイヘンズ(勝ち点16)、2位=アンテ(同15)。CUPS聖籠は6位(同9)

・四国
6節(31日)
愛媛FCしまなみ 1-2 カマタマーレ讃岐(昨季優勝)
ヴォルティス・2nd 5-0 南国高知FC
*首位=カマタマーレ(勝ち点18、6連勝)、2位=ヴォルティス・2nd(同16)。南国高知は6位(同5)。次節(7日)は、ヴォルティス・2nd対カマタマーレの首位決戦

・中国
9節(31日)
レノファ山口(昨季優勝) 1-5 佐川急便中国(昨季2位)
*レノファは4勝1分3敗で4位(勝ち点13)。首位=佐川急便中国(同22)、2位=NTN岡山(同19)、3位=宇部ヤーマン(同16)

<写真説明>パルセイロFW佐藤大典〔左)とJSCのCBフィッツジェラルド・マイケル

※本コラムは毎週火曜日更新予定です。ぜひ感想やあなたの地元クラブの情報をこちらまでお寄せください。

▼関連Photoニュース
5/30アルテ対TDK
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JFL2009
紹介クラブリスト09
紹介クラブリスト08年以前

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