beacon

玉乃淳の玉手箱

このエントリーをはてなブックマークに追加

「伝説? イニエスタ練」

 皆さんこんにちは。先日、天下分け目の戦いと言われたクラシコを見ましたか? みた方は何を感じたでしょうか? 残り8試合となったリーガエスパニョーラも大詰めを迎え、リーガとチャンピオンズリーグを両立しているバルサに対し、レアルはリーガしかない状況のなか、勝ち点も並んでいるこの対戦に全世界が注目していました。スペインでは起こらないと言われる地震もこの日に限ってはスタジアムも町全体も揺れています。マグニチュード・クラシコです(笑)。

 このプレッシャーのかかる試合で大胆不敵にもアウェーのバルサがいつものポゼッションサッカーで完勝しました。なぜあんなサッカーを世界で一番手ごわいレアル、しかも完全アウェーのなか淡々とできてしまうのか・・・。今回タイムマシーンに乗って10年前に戻り、ユース時代に彼らがどんな練習をしていたか探ってみる事にしました。

 シャビ、イニエスタ、ブスケッツ・・・彼らが持っている共通点・・・ん? これだ!! アトレチコユース時代、僕をよくスタメンから外して大嫌いだったあの監督がやっていたあの練習だー!!

 その名もズバリ、「イニエスタ練」です。中学、高校から伝説的な存在だったイニエスタのプレーをアトレチコの同学年の選手たちが彼のプレーをマネするための練習があったのです。

 当時、アトレチコユースもヨーロッパチャンピオンに輝くなど国内でも敵なしで、プライドの高い選手ばかりでした。ただそんな彼らもイニエスタ様の前では、ひれ伏せるしかありません(笑)。目の色をかえて超難関の「イニエスタ練」に取り組んでいました。

 どんな練習かといいますと、センターサークルの中で、四方八方からくるパスをトラップして、そのトラップした反対の足でステップを一歩も踏まずに、サイドチェンジをする練習です。ステップを踏まないことが重要なポイントなんですが、これができるようになると、試合の中で自分の周りに一切のスペースがなくても、ボールを失わず次の展開につなげられる、ある意味究極の技術です。

 ちなみに僕はドリブラーなので練習では何回か成功しても、試合になるとついついドリブルを選択してしまい、ベンチに追いやられる事も少なくありませんでした。シンプルにプレーする場所、ドリブルで仕掛ける場所、これはレベルが上がるほど必要になってきます。

 おそらく、その監督はこれを究極の技術と考えると同時に、これができなければ上のカテゴリーではできないという、絶対条件を僕らに示してくれていたのかも知れません。今の時代、バルサTVで全ての試合、イニエスタのプレーが見れるので大いに活用し「本物の選手」から技、戦術眼を盗んで欲しいと思います。

 そのイニエスタですがココ最近は怪我に悩まされていますが、必ず最後にバルサに大きなものをもたらしてくれるでしょう。佳境を迎えたリーガ、チャンピオンズリーグ。対戦相手のレベルが上がり、プレスがきつくなってスペースがなくなったときほど、イニエスタの輝きは増すことでしょう。だって「とめて、蹴る」が世界一うまいんですから(笑)。

本コラムの感想はこちらまでお寄せください。

TOP