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南アフリカW杯便り

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ブブゼラで分かる南アの人々のテンション

[6月27日午前5時@ヨハネスブルク]

 写真は、ヨハネスブルクのショッピングモールで買った「ブブゼラ」です。南アフリカでは出場32ヵ国をモチーフにしたブブゼラが売っていて、記念に日本版を購入しました。

 以前、メディアセンターで目の前の席に座っていた外国人記者が大きなくしゃみをしたとき、「Natural Vuvuzela」と言って笑っていたことがありました。今大会と言えばブブゼラかジャブラニかといった感もありますが、6月11日の開幕戦で初めて生のブブゼラの大音量を聞いたときは驚いたものでした。あれから2週間。今ではブブゼラの聞こえるスタジアムにもすっかり慣れ、ほとんど気にならなくさえなっていました。

 自分の耳が慣れたのかなと思っていたんですが、今日は久々に「やっぱりうるさいな」と感じました。ラステンバーグで行われたアメリカ対ガーナの試合。アフリカ勢最後の砦となったガーナを「アフリカの代表」として応援しようと、南アフリカの人たちも多数駆け付けていたのです。

 南アの人たちの心理や行動は単純というか、非常に分かりやすいところがあります。チャンスや得点時にはブブゼラの音も大きくなりますが、いざリードされると徐々に弱まり、それでも反撃のチャンスにはブブゼラを吹き鳴らしますが、最後は尻すぼみに…。

 16日にプレトリアで行われた南アフリカ対ウルグアイの試合では、後半35分にGKが退場し、決定的な2点目を奪われると、観客は次々と帰路につきました。残り10分、選手はまだ必死にピッチで戦っていましたが、そんなことよりも帰りの大渋滞が心配になってしまう人たちなのです。

 南アフリカの敗退、アフリカ勢の不振。大会が進むにつれ、地元の人たちが気落ちしていくのは目に見えて分かりました。それに伴い、音量も下がっていくブブゼラ…。今日の試合で、久々にブブゼラのブブゼラらしい大音響を聞いた気がします。

 大会が盛り上がるには、やはりアフリカ勢が頑張るしかありません。準々決勝進出を果たしたガーナですが、なんとかアフリカ勢史上初となる4強入りを果たしてもらいたいと思っています。それによって南アフリカの人たちも再び熱狂し、ブブゼラの音も大きくなっていくはずです。

 ブブゼラは人間の聴覚機能に悪影響を及ぼすなんて調査結果もありましたが、今はそれに目をつむって、南アの人たちに最後までW杯を楽しんでもらいたいと思っています。

(文 西山紘平)

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