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南アフリカW杯便り

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久々に聞くブーイング

[7月3日午前4時@ヨハネスブルク]

 W杯はいよいよ8強の激突となり、2日の準々決勝ではブラジルがオランダに敗れる波乱が起き、ウルグアイがPK戦にもつれ込む激闘の末、ガーナを下しました。

 地元・南アフリカの人たちが「アフリカの代表」として応援していたガーナ。延長後半ロスタイムにPKを獲得したときは、8万4017人の大観衆で埋め尽くされたスタンドが揺れるほどでした。だれもが勝利を確信しただけに、PK戦による敗戦のショックも大きかったと思います。

 8万を超える観衆が吹き鳴らすブブゼラの音はさすがに頭に響きました。と同時に、久しぶりにブーイングを聞いた気がしました。ガーナに不利な判定があると、スタンドからはブーイング。PK戦でも、ウルグアイの選手がキックするときはブーイングが飛んでいました。

 もちろん、これまでの試合でもブーイングが起きることはありましたが、その大半はブブゼラの音にかき消されていました。地元の観客は応援するチームのチャンスにはブブゼラを吹きますが、ピンチには特にリアクションがなく、静かに見守る傾向が強かったという印象を持っています。

 ところが、今日の試合ではウルグアイに対するブーイングがはっきりと聞こえました。ブブゼラとブーイング。その両方を駆使して、ガーナの選手を後押ししていたのです。

 南アフリカの人たちの願いは通じず、これでアフリカ勢はすべて大会から去ることになりました。初めてアフリカで開催されたW杯。そこで新たな歴史をつくるべく、アフリカ勢史上初のベスト4をだれもが夢見ていましたが、W杯はそう簡単なものではありませんでした。

 ただ、今大会を通じて、アフリカの人たちのサッカーに対する愛情や熱を感じることができたのは確かです。南アフリカW杯はここから佳境に入ります。ガーナの敗退に悲しんでいる地元の人たちも、明日からは気持ちを切り替え、世界最高峰の戦いを楽しんでもらえたらと願っています。

(文 西山紘平)

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