beacon

南アフリカW杯便り

このエントリーをはてなブックマークに追加

「もしも」が許されるなら

[7月4日午前3時@ヨハネスブルク]

 今日はヨハネスブルクのエリスパークで準々決勝の取材でした。カードはパラグアイ対スペイン。サッカーに「たら・れば」は禁句ですが、今日だけは“解禁”させてください。

 もしも日本がパラグアイに勝っていれば、スペインと対戦していたのは日本だったのです。

 無数のスペイン国旗が揺れるスタンド。ブブゼラの大音響。選手入場のとき、「もしここにいるのが日本代表だったら」と、思わず想像してしまいました。

 準々決勝では、それぞれの試合前に両チームのキャプテンが人種差別に反対する声明を読み上げます。日本が勝ち残っていれば、長谷部誠が同じように声明を読んでいたはずです。そのときは日本語がスタジアムに流れたのでしょうか(人種差別への反対声明ですから、母国語で読むのでしょうね)。

 試合中も、今のフェルナンド・トーレスなら田中マルクス闘莉王、中澤佑二のセンターバックでも止められたかなとか、長友佑都抜きで(累積警告で出場停止になるはずだったので)、あのダビド・ビジャをどうやって抑えればいいんだろうとか、妄想ばかり頭に浮かんできました。

 それにしても、パラグアイは強かったですね。正直、日本戦のときより格段によかったと思います。しかも日本戦から先発6人が替わっていたのですから驚きです。日本だったら、なんとか耐えて耐えてというところまではいっても、あそこまで攻撃でスペインを脅かすことはできなかったかもしれません。

 すでに帰国した日本代表選手がテレビでこの試合を見ていたら、どんな風に思ったのでしょうか。僕のように感傷に浸るのではなく、あらためて悔しさがこみ上げてくるのかもしれませんね。あと一歩のところで届かなかったベスト8。夢の続きは、4年後まで取っておきます。

(文 西山紘平)

TOP