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神の子メッシ、4年後もまだ27歳

[7月9日25時@ヨハネスブルク]

 決勝を2日後に控えた今日は、大会の最優秀選手に与えられる『2010FIFAワールドカップ アディダス・ゴールデンボール・アワード』の候補として、10人のノミネート選手が発表されました。

 たくさん点を取っている選手、チームが上位に進んでいる選手。そういった顔ぶれの中で、無得点、チームはベスト8止まりという選手がいました。

 メッシです。

 初出場の2006年ドイツ大会では、セルビア・モンテネグロ戦でアルゼンチン史上最年少ゴールを決めるなど、あふれる才能の片鱗を見せました。

 その後のバルセロナでの大活躍は周知の通りで、今回は「メッシの大会」になるだろうとの呼び声も高く、最大の注目を集めての出場でした。無得点に終わったのが大変残念なのですが、それでいてMVP候補に名を連ねるのですから、やはりすごい選手です。

 この4年間で世界のトップ・オブ・トップの位置を手に入れた彼の成長ぶりは、プレーのみならず顔にも表れています。

 メッシの代表デビューとなった06年3月3日のアルゼンチン対クロアチア戦。スイスであったこの試合を取材したときのインパクトは、すさまじいものがありました。
 4分、DFを完全に崩した後、絶妙なパスでテベスの同点ゴールをアシストすると、それまで相手の個々の特徴を見極めるためか、あまり動かなかったメッシが、センターバックに襲いかかり始めました。6分にはボールを奪ってそのままシュート。これが神の子の代表初得点となりました。

 試合後のミックスゾーンには、まだ幼さの残る表情のメッシがいました。大勢の記者の質問に消え入りそうな声で答えている姿は、ユースの選手にしか見えなかった記憶があります。

 ところがどうでしょう。今回、23歳になったメッシはすっかり精悍な顔つきになり、シャイな少年から立派な大人へと、見事に変貌を遂げていたのでした。

 敗れたドイツ戦の後、メッシはロッカールームで大粒の涙を流したそうです。誓ったのは4年後の雪辱。27歳で迎えるブラジル大会での活躍が今から楽しみでなりません。
(文・矢内由美子)

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