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スペインで戦うフットサル選手・荒牧太郎の挑戦 by 荒牧太郎

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客観視する眼
by 荒牧太郎

 2012-2013年のリーグ戦もいよいよ2部は今週末、1部は来週末で終わります。1部の上位8チーム、2部の上位4チームは優勝&プレーオフ争いの真っただ中。そしてリーグが終了してからいよいよプレーオフが始まります。1部の上位チームはプレーオフからが本番という考えです。リーグ戦だけではなく、カップ戦や代表としての活動もある中、本当に1年中試合をしている彼ら。もちろん毎試合結果が求められ、強い相手とも戦い続けなければならない彼らは本当にタフですね。彼らからすればそれが当たり前の日常なので、彼らに追い付き追い越すには、まだまだ足りないことだらけだなと、日々感じています。

 さて、今回はスペインに来て、磨かれたかな? と思うものについて書こうと思います。それはずばり、自分を客観視する眼です。なぜ、それが磨かれたと思うのかというと、日本から離れて誰も自分のことを知らない、自分のプレーを見たことがない人達を認めさせる為に、結果を求め、自分の長所について、ストロングポイントについて日々考えて、練習の中から強く意識したからだと思います。

 誰も自分のことを知らないんだという事実を受け入れることは、簡単な作業ではありませんでした。選手同士はもちろん、監督もそうです。そうなるとゼロからのスタートをしなければなりません。自分の長所やストロングポイントを改めて示さなければなりませんし、何が出来て何が出来ないのか、それを練習試合はもちろん、練習の中からみんなに伝えなければなりません。そういう状況になると、自分自身が一番自分の長所を知っていなければならなくなります。

 特に昨シーズンは1部だったので、メンバーもそれぞれ特徴を持った選手が多く、この中で自分の何が他の人の持っていない武器なのかということを日々考えていました。

 しかもそれなりのプレーではなく、誰が見ても良いと思うようなものではないと、今までスペインでプレーをしてきて、実績を積んだ選手に対する評価を逆転することは出来ません。そういう中で日々練習し、自分自身と向き合ってきた結果、自分自身を客観視する眼が磨かれたかなと思うわけです。

 自分自身を客観視することで、さまざまなことに気付くことが出来ますが、それは良いことばかりではありません。現実を知ることになって、それはなかなか受け入れられない厳しいものだと感じることも多くあります。特に感じることが自分の実力に対して。自分が目指す場所に到達できていない理由は、間違いなく自分の実力不足です。スペインは実力さえあれば、それに相応しい舞台にどんどんステップアップできる環境にあります。ステップアップ出来ていないということは、実力がないんだと受け入れざるを得ないわけです。

 じゃあそれで諦めてしまうのかというと、決してそんなことはなくて、それでも自分を信じている部分があって、「お前には無理だ」と人に言われて、それで諦めてしまうような想いでやっているわけではないんだということも、同時に気付かされます。

 それでもやはり時間に限りはありますし、トップになる為にすべての能力を上げて勝負するとなると、すべての能力を上げている時間は正直残されていません。だからこそ自分の長所を特に重点的に効率よく伸ばさなければならないということにも気付きます。

 客観的に自分を見る眼が磨かれたことによって、今まで気付かなかったことにもいろいろ気付けた気がします。それは磨こうと思ったものではなくて、磨かれた、磨かざるを得なかったものなのかもしれません。厳しい環境に身を置くことで、伸ばされる能力もあるんだと僕は感じています。

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