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POINT OF SOCCER by 長谷川望

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ドログバの慈善活動から分かるアフリカサッカー事情
by 長谷川望

 J1リーグの最終節を迎え、今年も1年早かったなぁと感じます。横浜F・マリノス対川崎フロンターレの神奈川ダービーは、1-0で川崎Fが勝利しました。惜しくも優勝を逃した横浜FM、サッカーの厳しさを目の当たりにした気がしました。しかしこれから天皇杯があり、まだまだ目が離せませんね。

 更には、来年はW杯イヤーです。今月7日に日本のグループ分けが発表され、いよいよ実感が湧いてきました。第一戦は、主将ディディエ・ドログバ選手率いるアフリカ勢「コートジボワール」。ヤヤ・トゥーレ選手など黄金世代と称されるメンバーで構成されており、経験、実力共に申し分ない相手と言えます。

 そこで今回は、アフリカのサッカー環境について調べてみました。人口約10億人とされているアフリカ。石油、天然ガス、ダイヤモンドなど豊富な資源を要していますが、資源の有益は不正に一部に偏ってしまっているため、貧富の差が深刻な問題となっています。

 そしてアフリカで高い人気を誇っているサッカー。特に前回の南アフリカW杯では、「ブブゼラ」を使った熱狂的な応援が印象的でしたね。サッカーはアフリカ人にとって、心の支えとも言えるスポーツです。そんな大好きなサッカーをしたくても多くの貧困層の子供たちは、サッカーボールを買うことが出来ません。そこで立ち上げられているのが「Alive & Kicking」(アライブ・アンド・キッキング)という活動です。

「Alive & Kicking」とは、子供たちへはボールを、大人には仕事を提供し、スポーツを通じて健康教育を促進する目的でボールを製造しているアフリカの社会的事業です。2004年以来、50万を超えるボールを作っています。ここで作られるボールには、感染症に関するメッセージがプリントされており、ボールと共に健康意識が7万人以上の子供たちとその家族へ発信されています。この活動はUEFAも協力しており、日本が対戦するコートジボワール代表のドログバ選手も支援しています。

 ドログバ選手は他にも、貧困をなくすための世界的運動「STAND UP SPEAK OUT」の呼びかけや、国連開発計画(UNDP)の親善大使に任命され、貧困、感染症など世界の様々な問題について世界中の人々に知ってもらう為に貢献してします。更にマラリアに苦しんだ経験を持つドログバ選手は、母国コートジボワールの病院建設費として自身のスポンサー契約金を寄付しているそうですよ。サッカーを通じて数多くの慈善活動に積極的に取り組んでいるのが分かりますね。同時にアフリカの厳しい現状も知ることが出来ました。

 毎年多くのアフリカの若者たちが、自国での育成環境が整っていないため、プロ選手を目指してフランスに渡ることが多いそうです。ポテンシャルが高いアフリカ人は、フランスで活躍しクラブの力強い戦力となっていますよね。一方で、夢を絶たれ残された移住者たちの問題は絶えません。アフリカの若者たちのプロになりたいという気持ちを利用した悪徳代理人が渡航費を騙しとるというケースもあるようです。

 近年、資源が高騰している事からアフリカ経済が成長しており、多くの国が注目しています。経済が潤うことで、教育環境の改善などの社会開発に期待したいと感じました。

◆著者プロフィール◆
長谷川望(はせがわ・のぞみ)
1987年生まれ。福島県出身。ロンドン五輪でなでしこジャパンや女子レスリング金メダリストの伊調馨らを取材。フジテレビ「とくダネ!」に出演するなど現在スポーツライターとして活躍中。
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