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I PLAY FOR… ~大学サッカー・ゲキサカ連動企画~ by  

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Vol6. 筑波大学学生トレーナー 生駒泰右「チームを勝たせる為に出来ること」
by  

 12月14日に全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)が開幕します。ゲキサカでは大学サッカー連盟と合同でコラム企画を実施。インカレに携わる人達の想いを全10回で掲載します。第6回は12月14日に行われたインカレ一回戦、IPU環太平洋大学戦を3-0で勝利した筑波大学蹴球部を支える学生トレーナーの生駒泰右さんです。


I play for...『一日一生』
【理由】『一日一生』は母校である広島県立神辺旭高等学校の校訓となっている言葉で、「一日は一生に一度限りのものと考え、今日という日を全力で生きよう」という意味です。この言葉はお世話になった担任の先生が受験生を叱咤激励する際によく使っていたのですが、スポーツ選手に置き換えても当てはまる言葉で、トレーニングや睡眠・栄養管理にしても一日一日の積み重ねが無ければ確かな技術や強い体を作り上げ、成長することは出来ません。また、そのことを選手に伝えるのは僕たちトレーナーの役目だと思っています。


―そもそもサッカーを始めたきっかけとは?
「2002年の日韓W杯に出場していた松田直樹選手のヘアバンドや宮本恒靖選手のフェイスマスクをTVで見てサッカー選手ってかっこいいなと思い(笑)、また鈴木隆行選手のゴールで父さん母さんが盛り上がっていたのを見てサッカーって凄いなと思ったことがきっかけです」

―大学までサッカーを続けてきた理由とは?
「単純に、高校年代はインターハイ・選手権共にベスト16止まりで不完全燃焼だったということ。また将来もサッカーに携わり続けたいという思いがあり、筑波大学でサッカーをすることにしました」

―Jユース出身選手と高校サッカー出身選手の違いは、どのようなところだと思いますか?
「大学に来て初めてJユース出身選手と関わったのですが、Jユース出身者は総じて技術レベルが高いです。ただ、高校サッカー出身選手には力強さがあって、Jユース出身選手と比べて逆境や勝負どころで自分本来のパフォーマンスを発揮できる選手が多いと感じています」

―高校年代のサッカーと大学サッカーの違いは、どのようなところだと思いますか?
「高校年代のサッカーと大学サッカーとではフィジカルの強さの面で差があると思います。また、Jのチームと練習試合をすると痛感するのですが、大学サッカーとJリーグの違いもまたフィジカル面にあると思います。カテゴリーが上がる毎に技術面で差が出ているのではなく、フィジカル面で差が出ているのかなと感じています」

「トレーナーとして大学サッカーのレベルを向上させるには、体作りの為にフィジカルトレーニングやウエイトトレーニングはもちろんのこと、栄養管理の重要性についても選手に伝えていく必要があると思います。寮生活をしている選手は心配不要かもしれませんが、多くの大学サッカー選手は一人暮らしをしており、十分な栄養のある食事を摂れていないのが現状です。フィジカルトレーニングやウエイトトレーニングについては各大学のトレーナー主導でしっかり取り組めていると思うので、あとは栄養管理について選手個人の意識を変えていければと思っています」

―トレーナーの仕事をする上で意識していることはありますか?
「最初、コーチに言われたのは「選手が怪我をした時に止めるのは医者の仕事で、復帰させるのはトレーナーの仕事だ」という教えで、3年生の春までは僕もその考えを持って活動していました。しかし、学生トレーナーをやっていて先輩のトレーナーやJリーグチームのトレーナーとお話させて頂く機会がある中で、自分自身がトレーナーとしてどうあるべきか考えているうちに「選手の状態や監督の要望を踏まえてプレーさせることも必要だけど、選手のことを想って止めることも必要だ」と考えるようになりました。選手の今後のキャリアやパーソナリティを考慮した上でプレーさせるかどうかの判断をする必要があると思います」

「また、『トレーナーの仕事は何だろう?』と先輩のトレーナーに問われた時に僕は選手のケアやコンディション調整と答えたのですが、それは違うと一蹴されました。その先輩は『トレーナーの仕事も選手と同じでチームを勝たせることだ』と仰っていて、その言葉がとても胸に残っています。チームスタッフは役割が決まっているけれど、選手と同様に活動目的はチームを勝たせることに設定するべきで、そこから逆算してトレーナーに出来ることを探して取り組んでいます」

―大学サッカーの魅力とは?
「大学サッカーは選手だけでなく、運営や審判員、トレーナーとしても色々な場面で学生が活動していて、Jリーグやサッカー業界で働く為の下積みができる場所ではないかと思います。また観客の立場からすると今後プロで活躍する選手を間近で見ることができたり、試合後に話しかけたりできる距離感の近さは魅力のひとつだと感じています」

―インカレに対する想い、意気込みを教えてください。
「自分は1年生の時にリフレ係と言ってチーム運営のサポート役としてインカレに携わったのですが、結果としては一回戦で中京大学に0-2で敗退しました。その時の先輩たちの姿からインカレに懸ける強い想いを感じたのですが、それと同時に1年生の頃の僕はまだその想いを感じ得ることができませんでした。僕自身3年生になり、タレント揃いと言われた今シーズンの筑波大学蹴球部ですが、怪我で離脱する選手がとても多かったのでベストメンバーが揃うことは少なくて…。そこはトレーナーとして自分は悔しく思っているし、もっとやれたんじゃないかとも思っていて。でも今回インカレに出場することができたので、せめてインカレの舞台では選手が100%のパフォーマンスができるように、まだ戦線復帰出来ていない選手も戻って来ることができるようにしっかりサポートをしてインカレを獲りに行きたいと思います」

―子供たちにとって大学サッカーとはどんな舞台であるべきでしょうか?
「繰り返しになってしまうのですが、大学サッカーの魅力は将来サッカーに関わる為のキャリアの下積みが出来るという点と観客と選手の距離感が近いという点が魅力であると思っています。そして大学サッカーもJリーグと同じように子供たちにとって夢を与えられる場所であるべきだと思います。大学サッカーの舞台でプレーしている選手を子供たちが間近で見て、またその選手が大学卒業後にTVの向こうでJリーグの舞台や海外でプレーしていく姿を見て、『僕もあの選手みたいになりたい、あんなに近くでプレーしていた選手が大舞台で活躍しているんだから僕だって…』と思えるような場所にしていけたら良いと僕は考えています」


 繋いできた想いは、最後の国立へ。
 平成25年度第62回全日本大学サッカー選手権大会決勝 12月25日(水)15時Kick off !!



●生駒泰右
広島県立神辺旭高等学校を卒業後、筑波大学へ進学し蹴球部に入部。プレーヤーとしての活動に励む傍ら、学生トレーナーとして筑波大学蹴球部を支えている。今年3月に開催されたデンソーカップチャレンジサッカー島原大会においては関東大学選抜チームトレーナーを務めた。

(協力 一般財団法人全日本大学サッカー連盟)


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