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I PLAY FOR… ~大学サッカー・ゲキサカ連動企画~ by  

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Vol8. テレビ朝日・学連OB 櫻井健介「大学サッカーの魅力は学生の手作り感」
by  

 12月14日に全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)が開幕しました。ゲキサカでは大学サッカー連盟と合同でコラム企画を実施。インカレに携わる人達の想いを全10回で掲載します。第8回は12月25日(水)インカレ決勝の生放送をBS朝日にて担当するテレビ朝日 スポーツ局の櫻井健介さんです。


I play for...『学生力』
【理由】4年間で色々と考えて、悩んで……。大学は色々な形の選択肢を持てる場所であってほしいと思います。


―インカレとの関わりを教えてください。
「5歳の時にキャプテン翼の影響でサッカーを始めました。色々なサッカーの試合を観るのが好きだったので、大学サッカーも観ていましたね。その当時もテレビ朝日でインカレ決勝の中継はしていたのかな…?『大学サッカーの一番を決める大会なんだ』と観ていたのが最初ですね」

「親元を離れて埼玉県の武南高校に進学したのですが、越境入学する時の両親との約束が『強豪校での3年間で自分の実力を試して、プレーヤーとして駄目だったら大学は就職を見据えた形で入る。浪人は絶対にしない』というものでした。結果は選手権に出られず3年生の秋で引退してしまって…。自分に合った大学を探した時に、取り柄であるサッカーやスポーツという長所を伸ばせるということと、昔からテレビが大好きだったのでテレビ局に入りたいというのが頭にありました。しかも、何故かアナウンサー志望という夢を持っていて(笑)。そこに辿り着くにはどうしたらいいかを考えた時に、普通の大学に進学して普通の大学生をやっていたらなれないだろうなと思っていました。自分の特技に特化して勝負をしようと思って、スポーツマネージメント学科のある順天堂大を選びました。順天堂大に入ってからはプレーヤーとしてはやるつもりがなく、マスコミと関われる活動を探した時に先輩に誘われて、1年生の夏頃から学連に入りました。子供の頃は『いつかは自分が出たいな』と思っていたインカレですが、運営する側になっていましたね」

―学生時代の思い出を教えてください。
「昔は西新宿の地下に大学サッカー連盟の事務所があって、マンガやドラマに出てくるような学生っぽい雰囲気の狭い部屋だったんです。そこに毎週、各大学の学生幹事が集まって幹事会をやって、夜な夜な運営の準備をしていました。一方で、高校までサッカーばかりしていたので、サークルに入ってチャラチャラ遊びたいなという想いもありました。でも就職するため、親に恩返しをするために真面目に頑張ろうとした中で、学生らしい学生生活が送れたのではないかと思います。他大学の色々な人と関わることができて、サッカー協会やJクラブ、選手といった自分の好きなサッカーでの人脈が広がったことが一番良かったことです」

「あとは、デンソーカップ日韓大学サッカー定期戦の運営で、当時の韓国チームにアン・ジョンファン選手(亜洲大学校卒/元韓国代表)がいたんです。日本チームは当時FWだった盛田剛平(駒澤大卒/現:サンフレッチェ広島所属)の得点で勝ちました。その試合の表彰式でアン・ジョンファンが『こんなに盛り上がる良い大会を運営してくれて、ありがとう』と僕に声を掛けてくれて。その彼が2002年の日韓共催W杯で韓国代表のエースとして活躍していたので、すごく印象深いですね」

「それと、インカレの決勝を小野伸二や稲本潤一、高原直泰がいたシドニー五輪を目指す日本代表とアルゼンチン代表の壮行試合と一緒に開催したんです。その時は1枚のチケットでインカレも代表戦も見られるしということで、国立に3万を超える観客が入りました。大盛り上がりした中でインカレの決勝ができて、多くの人に大学サッカーという自分たちがいるものを見せられたというのが思い出に残っています。理事の先生と協会の方が中心となってやってくれたことで、学連が何をしたというわけではないんですけどね(笑)。3万人を超える規模の大会を、国立で運営できたというのが良い思い出です」

―大学サッカーの魅力とは?
「学生の手作り感。大人になる一歩手前の学生たちが自主的に学連に入って、企画・運営をして。チームにも監督やコーチがいるけれど、選手が自分たちで考えてチームとしてどうしたいか、個人としてどうしたいか。いずれ来るプロの道と、そうではない道との選択のビジョンを持って取り組んでいて。大人も関わってはいるけれど、学生が夢に向かって動いているというのが大学サッカーの一番良いところかなと思います」

「あと、大学はJリーグの開幕当初から多くのJリーガーや日本代表選手を生み出してきた大きなカテゴリーであることに間違いありません。2010年のW杯で言えば、永井謙佑(福岡大卒/現:名古屋グランパス所属)や山村和也(流通経済大卒/現:鹿島アントラーズ所属)がバックアップメンバーに選ばれていたし。過去にもその時々で日本サッカーを代表する選手を輩出してきていて、将来の日本サッカーを代表する選手が生まれる舞台であるのも魅力の一つだと思います」

―櫻井さんが活動していた当時と、現在の大学サッカーを比べていかがですか?
「学連も含めて、年々スタイリッシュになっていると思いますね。学連の事務所が日本サッカー協会の建物内に移ったのもそうだし」

「あとはJリーグとかもそうだけど、外から得られる情報量が圧倒的に変わってきていると思います。海外サッカー情報も手に取るようにわかるし、指導者のレベルも上がってきていて、全体としてやろうとしているサッカーの質やレベルが上がってきていると思います。大学サッカーも他のカテゴリーと遜色なくレベルアップしていると思いますね。Jリーグの強化担当者にしても大卒選手の方が自分のビジョンをより明確に持っているし、サッカーに対する取り組み方や考え方がしっかりしているから、即戦力として考えやすいというのがある。そういう意味でも大卒選手を採るチームは増えている。環境っていう部分でも、大学サッカーは高いレベルにあるのかなと思いますね」

―子供たちにとって大学サッカーはどのような舞台であるべきだと思いますか?
「僕は高校時代にも大学サッカーを観に行っていたんだけど、当時は名波浩さん(順天堂大卒)がいて。右サイドから駆け上がってラボーナという技でセンタリングを上げていて…。『何だ、この人!』と思いましたね(笑)。勝ち負けにこだわる姿勢や学生らしいハツラツとしたプレーもそうなんだけれど、選手はもっと魅せるプレーというのを意識してくれればいいなと思います。子供たちに『大学でサッカーがしたい!』と思ってもらえるような舞台になってほしいです」

「あとは大学サッカーの役割として、高校を卒業してプロに挑戦して、壁にぶち当たって2、3年で解雇されてしまった人たちがもう一度立て直す『受け皿』としての部分がすごく大きいと思う。早咲きで挑戦したけれど駄目で、大学で4年間頑張ってもう一度プロを目指す。やり直しが効くという意味で大学サッカーの担う部分は大きいなと思います。大学の4年間というのは人生の分岐点だと思います。自分がこの先どうして行くのかを考える時間で、サッカーのみならず人が社会に出るための人生の大きな分岐点の一つだと思います。僕が学生時代にできなかったことなんだけれど、文化部や他の学生のコミュニティと繋がって情報を発信したり、自己表現したりする場が大学サッカーやインカレであればいいなと思います。大学生が一生懸命やっている舞台が大学サッカーやインカレだと、子供たちにとっても夢のある場になるのではないかな。大学サッカーに関わる人だけでなく、大学生が頑張って、試合をするのが自分の大学以外でも『観に行こうよ』って言ってもらえるような場が大学サッカーやインカレであってほしいですね」


 繋いできた想いは、最後の国立へ。
 平成25年度第62回全日本大学サッカー選手権大会決勝 12月25日(水)15時Kick off !!



●櫻井健介
順天堂大学在籍時は学生幹事として大学サッカー発展のために日々奔走し、大学卒業後はテレビ朝日に入社。社会人になった後もテレビ放映という形で大学サッカーの魅力を広めるべくインカレ決勝の生放送に携わっている。

(協力 全日本大学サッカー連盟)

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