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POINT OF SOCCER by 長谷川望

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「メンタルトレーニング」と「ルーティンワーク」の関係
by 長谷川望

 今回も引き続きメンタルについて取り上げていきたいと思います。Jクラブやトップアスリートのメンタルケアも担当されている水戸協同病院の金井貴夫先生にお話を伺いました。本番に弱い、メンタルに弱いという理由で、可能性を狭めるのではなく、トレーニングによって改善させることができ、どんな選手もよりハイレベルのメンタルの状態になりうるということも知っておいて欲しいです。

しかし、なかなか通院までは出来ないというのが現状です。そこで自分で出来るメンタルトレーニング法をお聞きしました。「まずは呼吸法、リラクゼーション法、イメージトレーニング、目標設定があります。なかでも目標設定は具体的に、短期、中期、長期で分ける。選手は問題にばかりフォーカスがいきがちだが、目標やいいイメージにのみフォーカスを当てることが大事」。最近では本田圭佑選手の卒業文集が話題となっていますが、驚くほど細かく具体的な内容です。情景をリアルに想い浮かべていた事が分かります。具体的な目標を持っていた事で、強いモチベーションを保てていたのでしょう。目標を見失わずモチベーションを保つためには、具体的な目標設定を毎日行う事が効果的です。

 ここで注目したいのが「毎日行う事」。前回ご紹介したメンタルトレーニングの一つである「呼吸法」も、ポイントは「毎日行う事」でした。習慣づける事、つまり「ルーティン」なのです。「ルーティンワーク」は様々なスポーツ選手が行っています。有名なのはイチロー選手。あのバッターボックスでの一連の動作はイチロー選手の「ルーティンワーク」の一つ。金井先生は「以前失敗したからと言って、試合前に動作を変えると、どんどん混乱してしまう。こうしたゲン担ぎは止めて、一連のルーティンを確立しているのが良い選手」と分析しています。

 一連の動作を毎日続けて心身ともに馴染ませます。その動作をすることによって、自然に集中できる精神状態が呼び起されるようになるまで習慣づけます。自分で出来るメンタルトレーニングの「呼吸法」や「目標設定」を決まったタイミングで行い「ルーティン化」することは、前回紹介した「ゾーン」の状態を生み出し、緊張や不安に左右されず自らが集中できるスイッチとなるでしょう。

「メンタルトレーニングをすることで、自分が日々努力した事をそのまま試合本番でも表現できる。そのようなプレーが出来たら勝っても負けても納得がいくので、豊かな競技人生に繋がっていくと思う」と言うように、豊かな競技人生を歩むためにメンタルトレーニングと「ルーティン」を上手く活用していきましょう。

◆著者プロフィール◆
長谷川望(はせがわ・のぞみ)
1987年生まれ。福島県出身。ロンドン五輪でなでしこジャパンや女子レスリング金メダリストの伊調馨らを取材。フジテレビ「とくダネ!」に出演するなど現在スポーツライターとして活躍中。
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